「釘」

いちどめし

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怪談じみた話

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 馬鹿なことをしたものですよ。

 いえ、女性が、です。

 それでね。

 ここからが怪談じみてくるんですけど……。

 呪いのことを触れ回った人たちはみんな、死んでしまった。

 ははは、それがね。
 その女性は、今度は呪ってなんかいなかったそうです。

 呪うだなんて口だけで、本当はもう、呪いなんてごめんだったのでしょうね。

 もしも呪って、またその人が死んでしまったら、今度は女性の方がもちませんって。

 とりあえず、呪ってもいないのに、呪いのことを話した人たちは死んでしまった。

 みんな、ですよ。

 これでは、実際に呪っていなくても正気じゃいられませんよ。

 実際、彼女はどうにかなってしまったそうですよ。
 その後の彼女の行動ときたら、狂気の沙汰、だったのだそうです。

 さっき、噂が広まったって言いましたよね。

 その、広がった先々の、つまり呪いのことを知っている人たち全部を探し出して、一人ひとり、また、同じように脅したのだそうです。

 このことは誰にも言わないでください。

 言ったら、呪い殺しますよ。

 と、まあ、こういうお話です。
 私なりに、色を加えたぶんもあるんですけど。だけど、それにしたって――

 つまらない話だったでしょう。

 運転手さんは、その話をお客さんから聞いたんですって。
 それで、そのときから胸が痛み出したのだそうです。

 え? はい、ええ。
 このお話はね、ここまでです。
 落ちがないというか、これが落ちなんでしょうね。

 ああ、そうそう。
 このお話はね、こういう終わり方をするんですって。

 この話は、誰にも言わないでください。

 って。

 運転手さんも、そう言っていました。
 これを聞いたときからですよ。
 胸が痛み出したのは。

 とすん、と。
 何かが刺さったような気がしたんです。

 あれ、顔色がよろしくないようですが。

 飲みすぎたんですね、きっと。
 すみませんね、私が長く喋りすぎたせいです。
 今日会ったばかりなのに、こんな話を聞いてもらってしまって、本当にすみません。

 ああ、大丈夫ですか?

 立てますか?

 タクシーを呼びますから、ちょっと待っててください。

 あ、お代は私が払っておきますから。

 いえいえ。
 話につきあってくれた、ほんのお礼ですよ。
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