マサキは魔法使いになる

いちどめし

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2-4 いろいろある

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「だったらなんなんだよ。ただの意地悪っていうやつか」
「はっはっは。確かにいたずら心がなかったといえば、それは嘘になるけれどねぇ。マサキくん、魔法と言えばキミの想像している通りの魔法というものが一から十まで完全に、他人に伝わると思ったら大間違いだよ」
 人差し指を立てて、黒佐沢はちっちっ、とジェスチュアをしてみせる。憎たらしい行動だ。
 それはいったいどういうことだ。おれがそう聞くことすら待たずに、黒佐沢ときたら勝手に喋りだす。
「ほら、魔法といってもいろいろあるだろう。キミがどんなメディアから影響を受けたのかは知らないけれどね、それぞれ魔法の扱い方なんて違うじゃないか。魔法の覚え方から使い方や仕組みまで、何もかもの認識を共有していないと、この話は成り立たないだろう」
 黒佐沢はいちいち大げさな身振り手振りで話の節々を強調しながら、ぐいっ、と再び恋人にしか許したくない領域へ進出すると、
「たとえば」
 この距離でなければ聞こえないであろう、小さな声だった。
「マサキくんは今、科学的で論理的なトリックによって魔法が行使される、そんな物語を読むなり観るなりして、それに感銘を受けているのだとしよう」
 ふふん、と黒佐沢は笑い、しかし、と続けた。この天然パーマときたら楽しそうに喋りまくっているけれど、おれの話を聞くつもりは果たしてどのくらいあるのだろうか。
「ワシのマイブームが、科学的に検証することなんかまったく意味のない、何でもありの魔法だったらどうする。話が噛み合わないどころか、君は機嫌を損ね、ワシの夢は打ち砕かれてしまうじゃないか」
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