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2-10 聞いてました?
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「それにな、黒佐沢だって、どけって言えば素直にどくぞ。あいつは変だけど、言葉は通じるからさ」
「いや、さすがに言葉が通じないだなんて思ってはいないよ。言ってみればその、変だっていうところが嫌なんだよな」
そう、それだって知っている。なにしろ高観とのつき合いは今年で二年目になるのだから。生真面目な高観のことだ、黒佐沢のようなイレギュラーな存在とは共存できないのだろう。
「だけどな、タカミ。友達と友達が、少しぐらいは仲良くしてくれないと、おれはやりにくいぞ」
おれの言葉に、生真面目な顔が苦々しく染まった。
しまった。黒佐沢の話をしすぎたか。
「そ、そういえばタカミ」
時計を見ると八時半。もう、担任の教師がいつやって来てもおかしくない時間になっている。最後に、これだけは聞いておきたかった。
「さっきの話、聞いてたか?」
高観はポケットからハンカチを取り出すと、ああ、と気のなさそうな返事をして、
「魔法の話なら、おれは遠慮しておくよ」
汗をふき取り、そのハンカチで自分の首もとを扇ぎだした。
「いや、さすがに言葉が通じないだなんて思ってはいないよ。言ってみればその、変だっていうところが嫌なんだよな」
そう、それだって知っている。なにしろ高観とのつき合いは今年で二年目になるのだから。生真面目な高観のことだ、黒佐沢のようなイレギュラーな存在とは共存できないのだろう。
「だけどな、タカミ。友達と友達が、少しぐらいは仲良くしてくれないと、おれはやりにくいぞ」
おれの言葉に、生真面目な顔が苦々しく染まった。
しまった。黒佐沢の話をしすぎたか。
「そ、そういえばタカミ」
時計を見ると八時半。もう、担任の教師がいつやって来てもおかしくない時間になっている。最後に、これだけは聞いておきたかった。
「さっきの話、聞いてたか?」
高観はポケットからハンカチを取り出すと、ああ、と気のなさそうな返事をして、
「魔法の話なら、おれは遠慮しておくよ」
汗をふき取り、そのハンカチで自分の首もとを扇ぎだした。
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