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髭のあるロボット
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つるりとした顎だった。
僕も、そしてリツトさんも。
抜いているのか剃っているのか、それとも生えない体質なのか、リツトさんの顎は、少年のようにつるりとしていた。
僕の顎には、リツトさんのとは違い鬚が生えていた。黒く短い鬚が、いっぱいに。
リツトさんはそんな僕の顔を見て、笑った。
おまえ、色白童顔のくせに、その鬚か。誰がデザインしたんだよ、そんな鬚。
悪意のない笑いだということは、すぐに分かった。それでも僕は、その言葉を無視せずにはいられなかった。
鏡を見ると、リツトさんの言ったように、色白童顔。その中で、しっかりと整えられた鬚は、まるで異質だった。
嫌で嫌で、たまらなくなった。リツトさんの言葉は、僕に僕自身のことを嫌いにさせた。
だから僕は、喧嘩腰になって言った。
だったらこんな鬚、剃ってやりますよ。
それ以来、僕の顎には鬚がない。ただの色白童顔になったのだ。
それ以来、僕の顎には鬚が生えない。僕はロボットだから。
僕はコミュニケーション用ロボットの試験機として、リツトさんの家に配布された。リツトさんは長身で色黒なだけの、気のいい男だった。心配事があれば、彼の方から相談に乗ってくれるような、面倒見のいい男だった。
小屋のような自宅にリツトさんは一人暮らしで、定職にも就かず、ゴミ山へ出向いては、拾い物をリサイクルとして売っていた。
それでも家の中は、狭いながらもきれいに整理されていて、普段は豪快なリツトさんの性格を、僕は肌から感じることとなった。
数ある試験機の中でも、僕ほど幸福なロボットはいないだろう。そう思わせてくれるほど、リツトさんとの生活は充実し、その日々はあまりに楽しかった。ゴミ捨て場の部品を拾い集めて、ボロボロのワゴン車を組み立てたこともある。あの時僕は、この上ない達成感を彼に得させてもらったのだ。
それを二人で乗り回したときのことなど、何年経っても、まるでほんの直前までそうしていたかのように、鮮明に思い出すことができる。
僕も、そしてリツトさんも。
抜いているのか剃っているのか、それとも生えない体質なのか、リツトさんの顎は、少年のようにつるりとしていた。
僕の顎には、リツトさんのとは違い鬚が生えていた。黒く短い鬚が、いっぱいに。
リツトさんはそんな僕の顔を見て、笑った。
おまえ、色白童顔のくせに、その鬚か。誰がデザインしたんだよ、そんな鬚。
悪意のない笑いだということは、すぐに分かった。それでも僕は、その言葉を無視せずにはいられなかった。
鏡を見ると、リツトさんの言ったように、色白童顔。その中で、しっかりと整えられた鬚は、まるで異質だった。
嫌で嫌で、たまらなくなった。リツトさんの言葉は、僕に僕自身のことを嫌いにさせた。
だから僕は、喧嘩腰になって言った。
だったらこんな鬚、剃ってやりますよ。
それ以来、僕の顎には鬚がない。ただの色白童顔になったのだ。
それ以来、僕の顎には鬚が生えない。僕はロボットだから。
僕はコミュニケーション用ロボットの試験機として、リツトさんの家に配布された。リツトさんは長身で色黒なだけの、気のいい男だった。心配事があれば、彼の方から相談に乗ってくれるような、面倒見のいい男だった。
小屋のような自宅にリツトさんは一人暮らしで、定職にも就かず、ゴミ山へ出向いては、拾い物をリサイクルとして売っていた。
それでも家の中は、狭いながらもきれいに整理されていて、普段は豪快なリツトさんの性格を、僕は肌から感じることとなった。
数ある試験機の中でも、僕ほど幸福なロボットはいないだろう。そう思わせてくれるほど、リツトさんとの生活は充実し、その日々はあまりに楽しかった。ゴミ捨て場の部品を拾い集めて、ボロボロのワゴン車を組み立てたこともある。あの時僕は、この上ない達成感を彼に得させてもらったのだ。
それを二人で乗り回したときのことなど、何年経っても、まるでほんの直前までそうしていたかのように、鮮明に思い出すことができる。
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