チュヴィン

もり ひろし

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第1章 100の仲間たち

04話 和寿、たくさんの鳥や動物たちと友達になる

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 翌朝早く、まだ太陽がギリギリ昇らない頃、和寿起きてきてまずは文鳥のブンちゃんの水浴びのお湯をくんであげた。そして餌箱を鳥かごから外し軒先まで持って行くと口でふいて雑穀の殻を吹き飛ばした。さらにご飯を少し足してまた餌箱を鳥かごに戻した。
 ブンちゃんは「ありがと」と言って朝風呂に浸かった。さてチュヴィンはどうしているだろう。軒先から下履きに下りてまだ寝ている皆を起こさないように小声で呼んだ。
「チュヴィン」
 チュヴィンは後ろから仲間を15羽ぐらい引き連れて現れた。
「ご主人、おはようございます。今日は今年生まれたばかりの精鋭を連れてまいりました」
とチュヴィンが言った。すると1羽が言った。
「チュヴィンが世話になったというのはこの人かい。ぼくらと同じ子どもだね」
「ああ。鳥の心が分かる優しいお人さ。子どもにはやはり子どもだね。だからぼくが、少し細工してぼくらと話すことができるようにしたのサ」
とチュヴィンが言った
もう一羽が言った
「さすがチュヴィン。チュヴィンにはできないことは無いというからね。スズメの中のスズメさ」
「ご主人。僕の生まれはどうやら貴族の血筋らしい。変わった能力を受け継いだようなのサ」
さらにもう一羽のスズメが話し始めた
「ご主人が我々や動物と話せるようになったのは半分はご主人の素質だけれど、もっと大事な半分はチュヴィンの力なんですよ。もはや魔法と呼べる力なんです」
和寿が話し始めた
「僕もびっくりしたよ。僕の思いが鳥や動物に通じていたなんてね。でも一方通行だったんだね。それが双方向につながった、なんか夢みたいな話さ。僕はずっと君らと話したいと思っていたんだ。あ! 紳吉おじいさんが起きてきた。もうこんな時間か! 雑穀しかないけど食べていくだろ、じゃあ取って来るよ」
おじいさんはすれ違いざま、庭のスズメたちを見た。しかしおじいさんには普通のスズメにしか見えなかった
「お待たせ」
それはブンちゃんと同じご飯だった。それでもスズメたちにとってはご飯が調達しにくいこの時期の大切なご飯だった。おかわりをあげると皆は喜んで食べてくれた。チュヴィンと先ほど話した3羽は手乗りで食べた。なんてかわいい友達ができたのだろう。
「さて僕も朝食をすますかな」
 今朝、母さんは夕べ遅かったので起きてこなかった。和寿は朝食を用意して、紳吉おじいさんと共に朝食を食べた。そして家で出た野菜くずをもって登校だ。今日は担任の動物ぎらいで有名な本宮先生に教室の動物の待遇について相談をすることにきめていた。



 動物の世話を手早く済ませてしまうと職員室の本宮先生に話しをつけに行った。先生は動物のことはわたしはノータッチでお願いという一言で簡単に話はついた。さあ、今日の一時限目のホームルームの時間は教室の動物の世話について話し合われることになった。さて和寿は教壇に立って計画通りウサギとハムスターの散歩係をつのっている。放課後に係がウサギやハムスターにリードをつけ散歩させようという企画だ。ウサギやハムスターが運動不足になっているという何だか根拠のない話だったので、みんなはあんまり乗り気ではなかった。和寿だけが知っている案件だった。実際にそう本人たちに頼まれたのだから。休み時間にウサギやハムスターと触れ合ってくれた女の子の中には、散歩の係になってもいいという子が現れた。男子はこういう時に頼りにならないなあと少し気落ちしたが、手を挙げた女の子8人と男子2人で散歩チームを作り上げてみた。ふたりで一組をつくり5ペアが出来た。ちょうどいいやこれで。土日をぬいた5日を曜日を決めて回そう。雨天は中止で散歩係も順延せずお休みにした。明日から開始だ。それと教室のみんなには野菜くずを毎日少しずつ持ってきてもらうことにした。



 はじめの一週は和寿が付いて散歩を回ることにした。ここでも女の子は丁寧だが、男子はまるで成ってない。動物を無理やり引っ張ったり動物の足を踏みそうになったり、すったもんだした。

 さて、時は経って一週間後、動物たちに新しい企画はどうだったかを聞いてみた。そこで、これらの新しい試みが諷された。特に男子のペアにあたった動物はひどい目にあったと振り返っていた。散歩中に踏みつけられそうになった案件は、俺を殺す気かという問題にまで発展した。しかし心配もあるが人手が足りない。様子を見ながら継続する運びとなった。野菜くず問題はこちらで選別が必要だが動物たちの胃袋を満たしてくれそうだ。これで動物たちも快く生活してくれるだろう。まだ話したことのない動物とも友達となった。和寿は満足した。



 ある帰宅時。帰り道に一羽のハクセキレイ現れて、ついて来た。もともと懐っこい鳥だし特に気にすることもなかった。ところがこのハクセキレイは話しかけてきた。
「ぼくにもチュヴィンと同じ力があるよ。家まで乗って行かない。僕、ハクっていうんだチュヴィンの友達だよ」
「背中を撫でてごらんよ、小人になれるから、そして僕の背に乗って飛ぶこともできるよ」
「本当かい」
ハクセキレイの背を和寿はそっとなでてみた。するとメリメリメリといって一瞬気を失ったが、気づいてみると和寿は小人になっていた。
「チュヴィンと同じだろ。さあ乗った乗った」
和寿はハクセキレイに身をゆだねて飛び立った。波状飛行というのが最初はびっくりしたけれど、馴れるにつけ、すこぶる気持ちがいい。
「何だか、ジェットコースターに乗っているような気分だよ」
「喜んでくれて光栄です。この能力を使うのは実は初めてなんです。なんせ人はちっともぼくらに理解が無いから」
アッというまに家に着いた。
「ハクといったね、ありがとう君はこの辺に住んでいるの」
「はい。ここのあたりはわたしの縄張りです」
「じゃあ友達になってよ」
「お安い御用で」
「わー。このところ鳥や動物の友達がたくさんできたな。チュヴィンの友達に学校のまだ話したことがなかった動物たちに、君。君もチュヴィンの友達だっけ」

 和寿はご機嫌に毎日を過ごしていた。
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