転生彫り師の無双物語 〜最弱紋など書き換えればいいじゃない〜

Josse.T

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第24話 魔族には派閥があるようだ

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あーあ。
魔神オリジナルが来てしまったよ。

……さて、どうするか。
本来ならここが引き時なのだろうが、あの野郎よりにもよって俺を使って魔王の選抜で楽しやがった。
ここは一矢報いておきたいところだな。

「何しに来たんだよ、父さん! ここは俺に任せるって約束だったろ?」

とりあえず、せっかく作った設定を活かしてみることにした。

「父さん……? 何を寝ぼけたことを言っているんだ。我は淳の父親になった覚えなど無いぞ」

「父さんの方こそ何なんだよ。息子に雑事を押しつけといて、父さんだけ美味しいところを持っていくつもりかよ? そっちがそのつもりなら……これ以上邪魔するなら、ここのみんなに父さんの本名バラすからな!」

実は会話しながらこっそり魔神を鑑定していたのだが、そこには「魔神アール=エルシィは他の恒星系の魔神や破壊天使リンネル以外の者に本名で呼ばれるのを良しとしない」と出ていたのだ。
本名で呼ばれることの何が悪いのかよく分からないが、実に使える切り札だ。

「ふん、知りもせんものを。」

「魔族の皆、改めて父上を紹介しよう。この者が先代の魔神である、アール=──」

「ちょ待・て・よ」

慌てて魔神が遮った。
いい感じに流れを引き寄せられてるな。

そして都合のいいことに、先の試合で優勝した赤髪の少女が流れに拍車をかけた。

「あの……結局、私はどちらに魔王として認めていただけばよろしいのでしょうか」

そして──この発言をキッカケに、なんと魔族たちは2勢力に分かれて口喧嘩を始めたのだ。
一体何が起きているのだろうか。魔神の方も、不測の事態に唖然としてしまっている。

よく耳をすませていると、聞こえてきたのはこんな言葉だった。

「あの自称魔神は偽物だったんだ。だからさっきの試合は全部無効だ! 改めて魔王候補を決め直せ!」

「ふざけるな! まだあの方がなりすましと決まった訳じゃねえだろ。本当に親子喧嘩しているだけかもしれないんだぞ!」

どうやら、片方の勢力が試合の結果に不満があり、魔王の決定を覆したがっているようだな。
しかし何故なのか。最強が誰かははっきりしたのだから、そこで争う理由は無いと思うのだが。

……というか魔王再選派、さっきの会話の流れ掴めているのだろうか。魔神が楽するために俺を利用したあたり、再選の余地は無いと思うのだが。

不思議に思っていると、先ほどの少女が説明してくれた。
「すみません、魔神様。こうなってしまったのも、旧魔王直轄領出身の魔族が、魔王妃領出身の私が魔王になることを快く思っていないもので……」

少女の話を要約すると、こういうことだった。

そもそも、旧魔王直轄領の魔族と旧魔王妃領の魔族の間では、長い年月をかけて修復不能なほどの軋轢が生じていた。
原因は、魔王妃がかけた「強制徴税」の魔法。この影響で重税を負わされた旧魔王妃領の魔族たちには魔王らに対する鬱憤がたまる一方、善政が敷かれていた旧魔王直轄領の魔族は魔王たちを敬愛していたためすれ違うことが多かったそうだ。
そこで魔王妃と魔王が死に、この軋轢が表面化することとなった。

そこへやってきたのが今回の新魔王選抜。
両者とも、「何が何でも自分たちの地域から魔王を輩出したい」と意気込んでいたそうだ。
結果は先程の通り、旧アタミ領出身の少女の優勝となった。

本来、魔族には「より強い魔族に従う」という本能がある。
よって、一度魔王が(暫定的にでも)決まればそれを覆そうとするものは皆無なのだそうだ。
だが、領地を挟んだ不仲は本能をも覆す憎悪を生んだ。
そこへ偽の魔神説が拍車をかけ、今に至るという。

何より衝撃的だったのは、少女が最後に放った言葉だ。

「私たち魔王妃領の魔族は、ぶっちゃけどっちが本物の魔神かなど問題視しておりません。強いて言うならば、より強い者から加護を受けられればと考えているくらいです。あと……実は魔王妃領にも何人か、本物の魔神はあちらだと知っている高齢の魔族がいますが、今回の件は黙認してくださるそうです」

つまり、だ。
俺がすべきことはただ一つ。
魔神オリジナルを倒し、魔王妃領の魔族たちに俺が「真に加護を与えるに相応しい者」だと認めてもらうのだ。

今は言い争いに興じている旧魔王直轄領の魔族とて、流石に「魔神より強い者」を目の前にすれば本能に従うだろう。
問題は──魔神がこの話に乗るか、だな。

……と思っていたのだが。
「この有様だ、淳。こうなっては、よもや我とお主で決闘をするより他あるまい。……敗北条件は、『降参する、戦闘不能となる/死ぬ、時空魔法を使う』のいずれかを満たした時点で敗北ということで」

何と、魔神オリジナルの方から乗ってきた。

というかこいつ、しれっと敗北条件に「時空魔法」を入れやがったな。
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