大賢者の二番弟子、転生後は伝説級の強者扱いされる 〜死んでいる間に一番弟子の暴走で大賢者の戦闘理論が失われ、一番弟子も消えたらしい〜

Josse.T

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第20話 二番弟子、変なお爺さんに変なことを言われる

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「ああ、美味しかったー」

「今度はもっとたくさん用意するから、また一緒に食べような」

実技の第1種目、剣術試験の会場に向かいながら、俺はマリカとそう約束した。
今日は、とりあえず自分用にと少量しか調理していなかったからな。
2人で分けると少なかったのだ。

試験は、列に並ぶのが早かった順に行われる。
俺たちの順番は……ちょうど真ん中くらいだな。

「結構待ちそうだな」

「もうちょっと早く並べばよかったかもね」

「確かに。暇だな。……そうだ、指スマしよう」

「それいいね」

「いっせーのーで3」

暇な時は、手遊びに限るな。

☆ ☆ ☆

「いっせ……あ、呼ばれた」

いよいよ、マリカの番だ。
これで、魔剣使いの本性が分かるってわけだな。

「試験番号0422-3番。マリカ・はい。配家のお嬢さんってことは、あの魔剣使いだな。どれどれ、それじゃあ実力を見せてもらおうか」

試験官と思われる、剣を持った男がそう言った。

配家って子爵家じゃねえか。ウチより地位が上とはな。
そういった垣根を越えて、平等に仲良くしようという性格が一致したのは僥倖と言えるかもしれない。

「お願いします」

そう言って、マリカは自身が持つ剣を抜いた。
それは刀身が総ミスリル製で、柄に魔石が埋め込んである剣だった。

おい。
まさか。

──そのまさかだった。

その剣は、魔石が輝くと共に魔力が充填されていき、斬撃を強化する術式を発動したのだ。

魔剣って、そういう事だったのか。

確かに、ミスリルなど一部の金属は「魔法金属」と呼ばれるくらい、異様に魔力伝導性が高い。
だから前世では、オーラバズーカやオーラレールガンの部品として用いられてきた。

とは言えだ。それを、剣にするとはな……。
何というか、違和感のかたまりを見ているような気分だ。



試験官は大人の男性。
いくらマリカの剣の腕が洗練されているとしても、本来なら力の差で押されてしまうだろう。

だが、斬撃を強化する術式も相俟って、マリカは明らかに他の受験者より長く試験管と渡り合っていた。

そして、制限時間が過ぎた。

「流石だな。魔剣の性能もさる事ながら、それに頼りきる事なくしっかりと腕も磨かれている。このままいけば、良い剣士になれるだろう」

そう言いながら、試験官は採点用紙の評価欄を埋めた。

「次の受験者は……0486-6番、テーラスじゅりか。2人連続で貴族とはな」

そう。
この学園には、貴族だけでなく平民も通う。

もっとも、平民の手には届かないくらい授業料が高いため、引退した元Sランク冒険者が運営する奨学金を借りるなどしつつ学園生活を送るのが一般的だそうだが。

「剣は……見たところ持っていないようだが、どこにあるのだ?」

試験官が、そう問いかけてきた。

悪いな、こちらからも質問があるんだ。

「剣、ですか。逆に聞きたいのですが、『魔剣』の定義、間違っていやしませんかね」

そう言って、気功剣を顕現させた。

「……気功剣、だと? ここは魔法学園だぞ?」

「当然、魔法を使いますよ。『魔剣』ですから」

俺が付与したのは、闇属性魔法だ。

「な、ちょっ、ちょっと待て。今目の前で、何が起きてるんだ……」

「あの……試験開始してください」

「いやしかし、気功剣の使い手を我が学園に入れるわけには……とは言え、確かに魔法も使ってるし、アリなのか?」

これは、しばらくかかりそうだな。
そう思っていると。

「ぷっ……気功剣に魔法付与とか変態すぎるやろ」

「あれもう満点評価でよくね?」

「えっこれ試験官負けるんじゃね? それはちょっと見てみたいわ」

試験官が狼狽え続けているせいで、他の受験者たちがざわつき出した。

期待されてるみたいだな。じゃあ、ちょっと面白いもの見せようか。

「……いよし。とりあえず、一閃交えよう。流石に、いくら非常識な技だからって、それだけで満点をつけるわけにはいかないからな」

そう言って、ようやく試験官が剣を構えた。

「始め!」

合図と共に、俺は勢いよく試験官に迫った。
そして、俺の気功剣と試験官の剣が激しくぶつか──らなかった。

代わりに、俺の剣は試験官の剣をすり抜け、正確に試験官の首元で寸止めされた。

今使った技は、透過撃。
闇魔法で、刀身の実体を無くしたのだ。

勿論、実体を消しっぱなしでは敵本体すらも透過してしまうので無意味だが、魔法のオンオフを即座に切り替えられれば実戦でも相当使い勝手が良い。

剣の実体があるつもりでかかってきた相手が高確率でバランスを崩す、という利点もある。

完全に初見殺しの技で、俺は開始2秒で勝利を収めたのだ。

と、その時。

一瞬の静寂の後、試合を見ていた受験者たちが、次々に笑い声をあげだした。

「あんなん笑うしかねえ……斜め上を行きすぎやろ……」

「剣って何だっけ?」

「すり抜けは規格外すぎだろっ」

目元に涙を浮かべながら、腹を抱える受験者たち。
うん。この時代だと、そういう反応になるのか。

何にせよ、場を和ませられたのは幸いだな。

ふと目をやると、マリカも口元を抑えつつ、肩を震わせて笑っていた。



俺は、先日の冒険者ギルドでの出来事で、一つ学んだことがある。
それは、「実力を見せた後だと、皆ノリが良くなる」ということだ。

「ピースピース」
両手をチョキの手にしてこう言うと、即座に反応が返ってきた。

「「「「イェーイ!」」」」

……試験でこの盛り上がりは、空前絶後だろうな。

☆ ☆ ☆

剣術試験で受験生たちを賑わせた後は、魔術試験だった。

内容は、「制限時間内に魔法で出来るだけ的を破壊する」というもの。

とりあえず的の数だけ棘甲羅弾をポイすると、制限時間の3分の1で全ての的を破壊できた。

試験官、泡吹いて気絶してしまったんだが、ちゃんと採点してくれるんだろうな。

そんなことを考えながら、俺は胸につけていた試験番号のプレートを返す先を探した。

どこも並んでるな、と思いながら辺りを見渡していたその時。
目の前のお爺さんが、プレートを渡せと言わんばかりに手を差し出した。

この人に渡して良いのだろうか?

まあ良いかと思いつつ、プレートを渡す。
すると、そのお爺さんはこう言った。

「ユー! 特待生になっちゃいなよ!」

……この爺さん、何言ってんだ?
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