神北高校事件ファイル 水攻めの密室

ずんずん

文字の大きさ
1 / 7

朝から不運だ

しおりを挟む
『朝から不運だ』
 高橋美弥はボヤく。
 昨日の放課後、軽音部の部室に筆記具を忘れてしまった。 
 帰宅途中に気が付いたがその時には急なゲリラ豪雨が降り出したのだ。
 お陰でいつもより早く起きて職員室で鍵を借りないといけない。
『部室棟って遠いのよね』
 部室棟の部室に入るには正門から入って左側の教場棟で職員室に立ち寄り、部室の鍵を借りる必要がある。
 その後で渡り廊下を通って正門正面の第一体育館と剣道場の横を通過して一番奥に第二体育館、通称『部室棟』まで行く必要がある。 
 増築された部室棟は他の棟と比べて築浅な分綺麗で最新の設備が投入されている。 
 特に耐震、防火には注力しており、免震構造に加えて全室スプリンクラー配備だ。
『あれ?』
 高橋が軽音部の部室の鍵を開けようとしたところ北側通用口から野球部のグラウンドを真っ直ぐに部室棟まで伸びる一組の足跡が見えた。
 北側通用口は普段は使われていない。
 3年生の高橋の記憶でも野球部に新型のバッティングマシーンが納入された時くらいしか開いている所を見たことがない。
『気になるなあ』
 部室棟の外廊下は腰壁が設けられているためグラウンド側の様子が見えない。
 上から覗き込むか、靴を履き替え腰壁のスリット部分からグラウンドに出るしかない。
 高橋は当然に手軽な前者を選択した。
『一番端は歴史部か』
 軽音部の北側の隣は空室で又隣が歴史部だ。
 高橋は腰壁から下を覗き込む、
『脚だ』
 学校指定のローファーが見えた。
 恐る恐る視線を手前へ移動させる。
 ずぶ濡れのグレーのスラックス、紺のジャケット、身長180センチと言った所か。
『制服だ』
 さらに視線を手前に寄せると男子生徒の後頭部……。
 挫創が見えた。
『死んでる?110番?取り敢えず職員室に』
 高橋は悲鳴をあげる間もなく職員室に走った。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

M性に目覚めた若かりしころの思い出

kazu106
青春
わたし自身が生涯の性癖として持ち合わせるM性について、それをはじめて自覚した中学時代の体験になります。歳を重ねた者の、人生の回顧録のひとつとして、読んでいただけましたら幸いです。 一部、フィクションも交えながら、述べさせていただいてます。フィクション/ノンフィクションの境界は、読んでくださった方の想像におまかせいたします。

とある男の包〇治療体験記

moz34
エッセイ・ノンフィクション
手術の体験記

借金した女(SМ小説です)

浅野浩二
現代文学
ヤミ金融に借金した女のSМ小説です。

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

セーラー服美人女子高生 ライバル同士の一騎討ち

ヒロワークス
ライト文芸
女子高の2年生まで校内一の美女でスポーツも万能だった立花美帆。しかし、3年生になってすぐ、同じ学年に、美帆と並ぶほどの美女でスポーツも万能な逢沢真凛が転校してきた。 クラスは、隣りだったが、春のスポーツ大会と夏の水泳大会でライバル関係が芽生える。 それに加えて、美帆と真凛は、隣りの男子校の俊介に恋をし、どちらが俊介と付き合えるかを競う恋敵でもあった。 そして、秋の体育祭では、美帆と真凛が走り高跳びや100メートル走、騎馬戦で対決! その結果、放課後の体育館で一騎討ちをすることに。

処理中です...