神北高校事件ファイル 水攻めの密室

ずんずん

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『君も歴史を遡ろう  もれなくお好み焼き割引券がついてくる』 

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「問題はどうやって警察に伝えるのかなのよね。ただ『平川が犯人です』と言っても警察もどうしようも無いのよね」
 豊田が困ったものだと眉をひそめる。
「そうですね被害者と平川とのつながりも想像なんですよね」
 と西崎。
「発言いいですか」
 杉山が口を拭いながら挙手する。
「クックック今回こそお役に立てます。虎ちゃんに部室の使用者名簿を見てもらったらいいんじゃない?昨日の事件の後だし学校にいるよ。被害者の名前と一緒に平川達の名前があれば一発だし」
 それだ!!と手を叩く部員達。
「早速連絡して!!」
 豊田はまた三井に丸投げする。
 確かに三井の方が交渉上手なのだが。
「もしもし2年の三井ですが、井原先生はいらっしゃいますが?……」
 三井は通話しながらオッケーサインをだした。
「昨日の事で気になる事……。使用者が……。受けていない……。確認……。」
 部員達は三井の通話に耳を澄ます。
「あった。ありましたか。よしっ、お願いします」
 三井が電話を切った。
「凄いぞ。杉山の言った通りだ。昨日の使用者名簿に平川と被害者の名前がバッチリ記載してあった」
 三井がガッツポーズする。
「あるもんだねえ、瓢箪から駒」
 豊田がしみじみと言った。
「私しゃ瓢箪かい」
 杉山は頬を膨らませている。
「それで警察への連絡は虎ちゃんがしてくれる。これで事件解決だな」
 電話をきった三井が部員達に向き直る。  
「新入部員の名探偵君のおかけで事件は解決。次は取材旅行と二人目の新入部員の獲得とイベント続きなので……。最後に部長、一言お願いします」 
 三井は豊田に締めのあいさつを促すと。 
「えっとごちそうさま?」
 急に挨拶を振られた豊田のなんとも締まらない挨拶で閉会となったのだった。
 

 一週間後、

 『君も歴史を遡ろう
   もれなくお好み焼き割引券がついてくる』 

 郷土史部の新入部員勧誘ポスターが貼り出された。
 今まで貼っていた昨年の流用ポスターでは新入部員の獲得は難しいとの豊田の判断だ。
 作成は菊池と三井。
 三井は歴史部のパソコンに歴史資料の名目で『信◯の野望』の部費でのダウンロード購入を学校に認めさせた優秀なネゴシエーターでもある。
 その資料を活用して何故か地元でもない武将がポスターで戦っている。
 事件については概ね西崎の推理の通りだった。
 違いは麻雀賭博出ではなく、乱闘するゲームでの賭博だったくらいだ。
 都合5名が学校からいなくなった。
 暫くは学校に抗議の電話が立て続けにかかり井原は愚痴を言っていたが、数日もすると慌ただしかった学校も日常を取り戻した。 
 生徒達も事件の後、空元気なのか明るくなった。
 歴史部の活動も部活紹介での部長の名演?と勧誘ポスターのおかげなのか、度々一年生からの問い合わせがあった。
 最もそのほとんどは『何をする部活ですか』との問い合わせであったのだが。
 豊田は部長席で自作の取材旅行の栞を眺めニヤついている。
 意外とマメな所もあるのだ。 
 車で1時間の所に旅行の栞がいるのかはさておき、いつも通りの郷土史部の放課後が過ぎていった。
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