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第一章 プロローグ
【映画撮影の難しさ/夢を目の前で作る】
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(映画撮影専門用語満載回w)
おそらく幾人かは俺が『世界広しと言えど俺位しかいない』と言っているのを笑っている事だろう。
ここで特撮映画に詳しくない方々にも少しだけ判りやすく困難な理由を説明しよう。
まあ、一般的な映画でもアイドルに出演して貰うものはそのアイドルの人気によるところがあり「そのアイドルの魅力をどう引き出し、ファン達にどう見せるか?」がポイントになる。
特撮の場合も名前の売れた怪獣映画であればアイドルと同じく「その怪獣の魅力をどう引き出し、それが懐かしい人達にも子供達にもどう見せるか?」がポイントだが、この話の場合には全く撮影されている自覚のない『主人公』を魅力的に『主人公に対して』見せなければならない。
流石にこれは少し想像して頂くだけでも至難の業だという事がご理解頂けるだろう。
本人にそう見せる訳だから、例えば通常の映画撮影で使われる鉄パイプで簡単にこしらえる足場の『イントレ』もレフ版などを固定する万能バサミ『エレン』や簡易のレフ版『カポック』などの撮影機材が主人公から見えてもダメだ。
勿論、何かそぐわない物ががかぶって(写り込んで:主人公から見えて)もダメな訳だ。
普通に映画を撮影する場合と違い、特撮映画の場合には、
造形デザイン打ち、
絵コンテ打ち、
特撮合成打ち、
造形チェック、
仕上げ合成打ち
というステップが加わる。
『打ち』というのは業界用語で打ち合わせの事だ。
これは一般的な特撮の場合の話で今回のものがどう違うのかを簡単に説明しよう。
『造形デザイン』は例えば何か魔物であればどんな魔物か絵を描いて考え、プロトタイプを作り、モデルをウレタンで作って塗装して仕上げ、とやっていく訳だが、そもそもそんな普通の作り物のおもちゃでは慎太郎にバレてしまう。
相対する慎太郎から見て違和感なく本物のように動き、慎太郎が退治する物を作らなければならない。
もしくは裏がハリボテであっても慎太郎がそう思うように見せるのだ。
『絵コンテから仕上げ合成』が普通の特撮だが、今回は後で合成する訳ではない。
そして撮影する本人にカメラを見せる訳にはいかない。つまりカメラはあらかじめどういう絵面で取りたいのかを予測しそこに先に仕込む。
寄る絵(アップ)が欲しければそれなりに長玉(望遠)の隠しカメラを先に仕込むだけでも相当難しい作業だ。
俳優の立ち位置も通常は足の位置を撮らなかったり、後で修正したりするが、ガムテープなどで『ばみる』(位置を判りやすいように印をつける)だけでいいが今回はそれも出来ない。
自然物で偽装するかこちらがモニターして本番で共演者に指示を出すしかないだろう。
そのカメラの数にも限りがあるので撮影が終えたら直ぐに取り外し新しい箇所に仕込み直すのを繰り返す。
正直これにはかなり無理がある。
不自然でない撮影なら仲間が撮影するというセミドキュメンタリー映画(今はそういう言い方はないが)のようなものを考えなくてはダメかもしれない。
昔のセミドキュメンタリー映画というのは、元々ハリウッドの映画は全てスタジオ内で撮影されたものでロケーション撮影などはなかった。
街路樹なども全部スタジオ内のセットでやっていた訳だが今ではロケーション撮影は普通になっている。
ここでは記録映画と劇映画の融合という当初のセミドキュメンタリーという意味で言っている。
つまり、一緒に居て普通に「撮影するよ」と本人の了解をとって日常撮影していれば違和感はないだろうという意味だ。
勿論全部をそうする気はないし劇映画要素も満載にするつもりだ。
また、普通では例えば怪獣を撮影し、背景が緑のクロマキー合成を行う為の演技を怪獣のいない緑のカーテンの前のセットで演じて貰う訳だが、こいつはそうじゃない。
一発勝負の本物が相手だ。
魔法はVFXのCGがあるだろうだって?
『魔法』の表現もCGの後での合成なんかは出来ない。
あんなのは何もやってない偽物だろ?
演じている本人にそう見せなければならないのに後付けのCGなんて使えないんだ。
しかも今回はこのスタジオのエリアに電源などないからバッテリー電源のみでやらなければならない。
アクションのある映画だから危険だろうと言っても他の俳優達にもスタントマンなどは使えない。俳優本人が出来なければならない。
それでも有名なアクション俳優はビジュアルがそのままでは使えない。こんなのは本人に直ぐにバレる。
しかも慎太郎に怪我をさせる訳にはいかない。
更に特に難しい場面、例えばピアノを上手に弾くとか、手品をするなどはプロにやってもらい、手元だけを撮影して合成することもあるが、これらも全て俳優本人が出来なければならない。
まあ最終的にジイさんに見せる際には、音声などの多少の編集アレンジはするだろうが、全てを計算通りに進ませ撮影をしていく訳だ。
俺が『ドキュメンタリー』で『特撮を撮る』という途方もない事をやろうとしているのを少しは理解して頂けただろうか?
『ドキュメンタリー』は物凄く臨場感があるので個人的には好きなのだが、どの映画を見てもカメラの画角が情けない事この上ないので見ているとこっちが息苦しくなる。
自主制作映画ではないのだ。そんなのでは全くダメだと言いたい。
つまりそこいらのドキュメンタリー映画監督や特撮映画監督の特撮のやり方では不可能な訳だ。
そしてこれは出演者の名声に頼る訳でもない。
普通の特撮と違いどれ程難しい事をやろうとしているのか少しは理解して頂けたかと思う。
この難しさを考えれば、本当に実力が一流のトップを集めなければ実現などとても無理だろう。
でもジイさんの金は使える。
俺はこれをチャンスと考え頭の中に構想を練って行く。
俺達は夢を売るのが仕事だ。
本人の目の前でその夢の異世界を現実に作ってやろうじゃないか。
おそらく幾人かは俺が『世界広しと言えど俺位しかいない』と言っているのを笑っている事だろう。
ここで特撮映画に詳しくない方々にも少しだけ判りやすく困難な理由を説明しよう。
まあ、一般的な映画でもアイドルに出演して貰うものはそのアイドルの人気によるところがあり「そのアイドルの魅力をどう引き出し、ファン達にどう見せるか?」がポイントになる。
特撮の場合も名前の売れた怪獣映画であればアイドルと同じく「その怪獣の魅力をどう引き出し、それが懐かしい人達にも子供達にもどう見せるか?」がポイントだが、この話の場合には全く撮影されている自覚のない『主人公』を魅力的に『主人公に対して』見せなければならない。
流石にこれは少し想像して頂くだけでも至難の業だという事がご理解頂けるだろう。
本人にそう見せる訳だから、例えば通常の映画撮影で使われる鉄パイプで簡単にこしらえる足場の『イントレ』もレフ版などを固定する万能バサミ『エレン』や簡易のレフ版『カポック』などの撮影機材が主人公から見えてもダメだ。
勿論、何かそぐわない物ががかぶって(写り込んで:主人公から見えて)もダメな訳だ。
普通に映画を撮影する場合と違い、特撮映画の場合には、
造形デザイン打ち、
絵コンテ打ち、
特撮合成打ち、
造形チェック、
仕上げ合成打ち
というステップが加わる。
『打ち』というのは業界用語で打ち合わせの事だ。
これは一般的な特撮の場合の話で今回のものがどう違うのかを簡単に説明しよう。
『造形デザイン』は例えば何か魔物であればどんな魔物か絵を描いて考え、プロトタイプを作り、モデルをウレタンで作って塗装して仕上げ、とやっていく訳だが、そもそもそんな普通の作り物のおもちゃでは慎太郎にバレてしまう。
相対する慎太郎から見て違和感なく本物のように動き、慎太郎が退治する物を作らなければならない。
もしくは裏がハリボテであっても慎太郎がそう思うように見せるのだ。
『絵コンテから仕上げ合成』が普通の特撮だが、今回は後で合成する訳ではない。
そして撮影する本人にカメラを見せる訳にはいかない。つまりカメラはあらかじめどういう絵面で取りたいのかを予測しそこに先に仕込む。
寄る絵(アップ)が欲しければそれなりに長玉(望遠)の隠しカメラを先に仕込むだけでも相当難しい作業だ。
俳優の立ち位置も通常は足の位置を撮らなかったり、後で修正したりするが、ガムテープなどで『ばみる』(位置を判りやすいように印をつける)だけでいいが今回はそれも出来ない。
自然物で偽装するかこちらがモニターして本番で共演者に指示を出すしかないだろう。
そのカメラの数にも限りがあるので撮影が終えたら直ぐに取り外し新しい箇所に仕込み直すのを繰り返す。
正直これにはかなり無理がある。
不自然でない撮影なら仲間が撮影するというセミドキュメンタリー映画(今はそういう言い方はないが)のようなものを考えなくてはダメかもしれない。
昔のセミドキュメンタリー映画というのは、元々ハリウッドの映画は全てスタジオ内で撮影されたものでロケーション撮影などはなかった。
街路樹なども全部スタジオ内のセットでやっていた訳だが今ではロケーション撮影は普通になっている。
ここでは記録映画と劇映画の融合という当初のセミドキュメンタリーという意味で言っている。
つまり、一緒に居て普通に「撮影するよ」と本人の了解をとって日常撮影していれば違和感はないだろうという意味だ。
勿論全部をそうする気はないし劇映画要素も満載にするつもりだ。
また、普通では例えば怪獣を撮影し、背景が緑のクロマキー合成を行う為の演技を怪獣のいない緑のカーテンの前のセットで演じて貰う訳だが、こいつはそうじゃない。
一発勝負の本物が相手だ。
魔法はVFXのCGがあるだろうだって?
『魔法』の表現もCGの後での合成なんかは出来ない。
あんなのは何もやってない偽物だろ?
演じている本人にそう見せなければならないのに後付けのCGなんて使えないんだ。
しかも今回はこのスタジオのエリアに電源などないからバッテリー電源のみでやらなければならない。
アクションのある映画だから危険だろうと言っても他の俳優達にもスタントマンなどは使えない。俳優本人が出来なければならない。
それでも有名なアクション俳優はビジュアルがそのままでは使えない。こんなのは本人に直ぐにバレる。
しかも慎太郎に怪我をさせる訳にはいかない。
更に特に難しい場面、例えばピアノを上手に弾くとか、手品をするなどはプロにやってもらい、手元だけを撮影して合成することもあるが、これらも全て俳優本人が出来なければならない。
まあ最終的にジイさんに見せる際には、音声などの多少の編集アレンジはするだろうが、全てを計算通りに進ませ撮影をしていく訳だ。
俺が『ドキュメンタリー』で『特撮を撮る』という途方もない事をやろうとしているのを少しは理解して頂けただろうか?
『ドキュメンタリー』は物凄く臨場感があるので個人的には好きなのだが、どの映画を見てもカメラの画角が情けない事この上ないので見ているとこっちが息苦しくなる。
自主制作映画ではないのだ。そんなのでは全くダメだと言いたい。
つまりそこいらのドキュメンタリー映画監督や特撮映画監督の特撮のやり方では不可能な訳だ。
そしてこれは出演者の名声に頼る訳でもない。
普通の特撮と違いどれ程難しい事をやろうとしているのか少しは理解して頂けたかと思う。
この難しさを考えれば、本当に実力が一流のトップを集めなければ実現などとても無理だろう。
でもジイさんの金は使える。
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俺達は夢を売るのが仕事だ。
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