75 / 144
陸の怪【サテツの国の女王】
砂鉄の国の女王
しおりを挟む
目の前で腰に手を置きこちらをピンと伸ばした指で指し示してくる女の子は、一見してコスプレじみた格好をしている。
赤と黒と白のトランプのような豪奢なドレスと、ハートが乗っかった王冠。ティアラじゃないのは女王だからなのか。
レイシーと名乗った彼女は恐らく〝 ハートの女王 〟のはずだ。
「……」
誰もなにも言わない。
女王…… と言っても身長は紅子さんよりも低くて140㎝くらいか。中学生くらいの年頃だろう。
彼女は精一杯胸を張って格好良くポーズを決めてるが、背が低いのと、先程べしゃっと地面に落ちていたのが相まってカリスマ性など微塵も感じられない。
ただただ可愛いだけだ。
「…… なにか言わんか。女王だぞ? お前達とは格が違うのじゃ」
「……」
ペティさんが猫の飾りがついた魔女帽子を深く被り、咳払いをする。
明らかに笑いを堪えている様子に女王の指先がプルプルと震え始めた。
「あー、えっと、御機嫌よう? 女王サマ」
苦い顔をしながら紅子さんが言うと、女王はすぐさま顔をそちらに向けた。ものすごく素早かった。
「めちゃくちゃ御機嫌斜めじゃ!」
「そ、そうかぁ……」
紅子さんもまさかこんなにも素直に返されるとは思ってなかったんだろう。たじたじだ。
ペティさんは笑えが堪え切れなくなって身体が震えてきている。勘弁してあげてくれ。女王はもう涙目だ。
「うう、なんじゃお前ら! 私様は赤の女王ぞ!? 敬え! 敬えよ! さもないとチェシャに泣きつくぞ!?」
いや、そこは言いつけるんじゃないのかよ。
「チェシャ。チェシャ猫か? 女王は親しいのか?」
「なに言うておる。チェシャ以外の住人は皆私様に無関心じゃ。私様にはあやつがいれば…… いや、別に一人でも寂しくはないぞ? あやつが心配性なだけじゃ」
ぶつぶつと話し始めた彼女を放っておき、俺達は文車妖妃の字乗さんに視線を向ける。
彼女はなにかの本に没頭していたかと思うとそれを閉じ、顔をあげた。
閉じる前に見たところ、分厚い辞書の中がくり抜かれていて、少女漫画が入っていた。
図書館司書がそれでいいのか、とかいろいろ言いたいことはあるがとりあえず見なかったことにしておくかな。
「それで、レイシーちゃん。君の国で一体何が起きているのかね? こちら側はもちろん君の国ではないのだから、君の法律は通用しない。そのことだけは覚えておいてくれたまえ」
「私様が他国の女王とて、必要な礼儀くらいあろうが! 首をちょん切られたいのか!」
女王は興奮したようにまくし立て、椅子に座って踏ん反り返る字乗さんに詰め寄る。
字乗さんのその姿も彼女をイラつかせることになっているのだと思う。それがわざとなのかは分からないが、字乗さんは女王に対してかなり挑発的な態度を取っているように見えるな。
「wait、wait、wait…… 落ち着きたまえよ、お嬢さん?」
そんなこと言っても怒らせるだけだろうに。
「私達は君の国がめちゃくちゃになっている…… その原因を特定し、解決してやりたいと考えているのだよ。だからだね、手っ取り早く君から内情を聞かせてほしいのさ。勿論、言わないことがあったっていい。それは君のプライベートだ。それに、隠されたってそれを暴く術はこちらにはないんだ。遠慮は必要ない」
回りくどい。普通になにがあったんだ? でいいじゃないか。
「は? え、は?」
ほら、女王も混乱してる。
「…… ふむ、なにも一日における化粧室の利用回数なんてことを聞いているわけではないぞ。あの物騒な小娘に追われている理由を簡潔かつ明快に答えてくれればいいんだ」
「じょ、女王は麗しくて美しくてすごいからトイレになんて行かんのじゃ!」
で、内容で拾うのはそこだけなんだな。
ペティさんはそんな二人の会話を聞きながらお腹を押さえてテーブルを控えめに叩いている。この噛み合わない会話のどこが面白いのかちょっと理解できそうもない。
「あー、女王サマ? なんで追われていたのかは分かるかな? アタシ達はそれを解決したいんだ。キミが唯一の手がかりなんだよ。ね?」
「わ、私様が唯一……」
女王はちょっと照れたように視線を逸らして、それからまたない胸を張った。あ、いや、ごめん。だってほら、中学生くらいだしな……
「よかろう! よかろう! で、なにが聞きたい? えーと、そこの赤マントちゃん!」
「あー、アタシのことだね。自己紹介してなかったもんねぇ。女王サマ相手じゃ失礼だったね。アタシは紅子。ベニコだ」
「ベニコ…… ベニちゃん! よろしくね! …… なのじゃ!」
取って付けたように付け加えた言葉で、今のは女王の素の部分だったのだと推測できた。
どうやら紅子さんは僅かな敬意と分かりやすい説明をすることで彼女と親しくなることができたみたいだ。
「俺は令一。レイイチだ。俺も君の国を平和にする手助けがしたいんだ。よろしく」
「む…… よろしく、レーイチ」
一応、自己紹介をすれば受け入れてくれるみたいだな。
「…… 俺様はペチュニア。ペティってな」
「お前の名前はイカれ帽子で十分じゃ!」
ウインクしたペティさんに噛みつくように女王が叫んだ。
ペティさんは 「…… もしかして怒ってるか?」 と今更なことを言う。
さっきからかなりお怒りだと思うが。
「良かったねぇ、ペティ。キミも童話のお仲間に入れてもらってるよ」
「俺様はマッドハッターじゃねぇよ。あそこまでイカれてねーの!」
「少しばかりは心当たりがあるようだ」
「よもぎ! 余計なこと言うんじゃねぇ!」
「こうして見るとキミもお師匠に似てるんじゃないかな? 良かったね。憧れだろう?」
「誰があんなヘタレ狼!」
ヘタレ狼…… ?
ケルベロスをヘタレ…… ?
疑問しかないんだが、弟子のペティさんが言うってことはなにかあるのか。
前に会ったときは、確かに俺様だし迷彩Tシャツにコートとかいう変な格好はしてるし、怖い雰囲気なのに甘いものが好きらしいし…… ギャップはいろいろあったけど、ヘタレと言われるような場面はなかったんじゃないか?
「話が脱線していないかい? ああ、私のことは知らなくても良い。勝手に司書でもなんでも呼べばいいからね。ほら、早く君の悲劇を聞かせておくれ」
「言い方が気に食わんが…… まあいい。まず前提ではあるが、私様の国は元々の童話とは違うらしい。らしいというのは、チェシャに聞いたからだがな。それで…… 私様は、私は、最初はアリスだったのだ」
そこから女王レイシーが語ったのは、衝撃的な童話世界のルールだった。
彼女曰く、いや、彼女にとってはチェシャ猫曰く、この童話の中ではアリスとなった人間が物語の最後までなぞり、辿り着くことで物語が終着を迎えて〝女王〟が交代する。
アリスの物語は明確な終わりがあるわけではなく、最後にはアリスが現実で目を覚ますことになるわけだが…… この目覚めるアリスと、夢の中で冒険していたアリスはイコールで結ばれないということを彼女は説明した。
アリスが冒険し、物語を裁判まで進めるとそこでアリスが女王になり、元女王は現実世界で目を覚ます。
そういうルールの基に成り立った世界。それがこの本だと彼女は教えられたそうだ。
「だ、だから、最初はアリスがやって来たと聞いて嬉しかったんじゃ」
豪奢なドレスの袖をぎゅっと握りしめ、女王は悔しそうな表情をした。
「レイシー」
「…… なんじゃ、マッドハッター」
「とうとうマッドハッター呼びに…… まあいいや。なあ、レイシー。お前ってアリスだった頃の記憶とかないのか?」
ああ、そういえばペティさんが言うように、彼女はずっと 「チェシャから聞いた」 と言っているが。
「ない」
彼女の答えは単純だった。
「そうか、ならなぜ次代のアリスが暴れまわっているのかも分からないんだな?」
「分かるわけないじゃろ」
「あー…… 最後にもう一つ、外にいたときの自分を知らないのに、なぜ外へ出たいと思ってるんだ? あの世界はお前の支配下にある世界なんだろ?」
「…… そうじゃな、漠然と〝 帰らなければならない 〟という思いがあるのじゃ。それがなぜだかは分からないのじゃが、なにか大切なことがあったはずなのじゃ」
ペティさんはその言葉に帽子の端を握って考え込んでいる。
女王…… レイシーになにかありそうなのは確かだが、今は考えても分からないことばかりだ。
俺だって、彼女のことはどうにかしてやりたいと思ってるけど…… 今は不思議な国で暴れている血塗れアリスをどうにかしなければならない。
「でも、どうすればいいんだ? 本の中の世界だろ」
「おやおや、ちっぽけな人間様はこれまでの体験を踏まえても想像がつかないらしい。ここはどこで、私は誰だい?」
ここは図書館で、字乗さんは図書館の司書だが。
「私は本の専門家。ダンタリアン様から管理を任されたこの世界中の本が集まる場所の管理者だよ。本の世界へ入る方法なんて何通りも挙げることができるのさ」
両手をあげて自慢気に言う彼女へ紅子さんがじとりとした目を向ける。
「ならさっさと教えてほしいねぇ。つまりはあれだ、本の中に入ってアリスを追い出すか倒すかすればいいんだろう?」
「お前って意外と脳筋だよなぁ」
「…… それが手っ取り早いということだよ」
「否定はしないんだな?」
ペティさんのからかうような口調に反論せず紅子さんは肩をすくめる。自覚はあるらしい。結構思慮深い印象があると俺は思っているんだが。
「結構考えて動いてるほうだろ、いつも。今回はまず会ってみないことには分からないからな」
「キミね…… 変なフォローしなくていいから。ほら、さっさと教えて」
「ふむぅ、なら本の中を食い荒らす魚…… はダメだね。それとも一対の本立て…… も戻ってこられなくなったら大変だね」
おいおい、大丈夫か?
「ううむ、ま、普通に私が手を加えればいいだけだな。本に〝 奇妙な三人組が女王と出会う 〟といった一文を追加する。そうすれば本は内容に沿ろうとしてお前たちを引き込もうとするだろう。君達はそれに逆らわなければ良い」
「文を加えるだけなのか?」
「ああ、もちろん特別なペンを用意しているよ。安心したまえ、こういった類のオモチャは山程持っているのでね」
それは安心だ。安心か? まあいい、相手は専門家なのだから大丈夫なんだろう。分からない俺がああだこうだ言うことはできない。
「それじゃあ、ほらそこに集まって。一気に行かないと物語の中ではぐれてしまうよ。中で冒険するのは面倒だろう」
「むむ、できればチェシャのいる場所に出たいぞ。あの子ならアリスには捕まっていないはずじゃ! なにより私様が会いたいし!」
「女王様はなんとも素直なことで」
ペティさんがやれやれと首を振って言うが、彼女はそれを無視して字乗さんだけを見ている。相手にするのはやめたらしい。すごい嫌われようだ。
「善処しよう…… ま、チェシャ猫なら場所がズレてもすぐに君らを見つけるだろうさ」
字乗さんが本にペンを走らせると、その場に光の帯のようなものが現れ、俺達へ向かって伸びてくる。どうやらこれに従って進むか待つかすればいいみたいだ。
「ああ、そうだ忘れていた。帰るにはあちらでも同じ本を見つける必要があるから、図書館かなにかを道すがら探すといい。帰るときは本の中にある挿し絵に触れるだけでいいから、覚えておくように」
こともなげに言う字乗さんに 「言うのが遅いよ!」 とか、 「見つけられなかったら帰れないのかよ!」 とか、いろいろ言いたいことはあったが、時間はそう長くないようですぐさま視界が真っ白に染まり上がる。それに声が出せなくなるおまけつきだ。
はぐれないようにと咄嗟に紅子さんの手を掴んだが、彼女が驚いて腕を揺らす感触が伝わってくるのみでその表情は拝めない。
そして、視界が回復するとそこは森の中だった。
周りにいるのは紅子さんだけで、女王とペティさんは見当たらない。案の定はぐれたのか?
「いつまで手を取ってるつもりなのかな?」
「え、あ、ごめん!」
心なしか呆れたようにジト目になって言う紅子さんに、慌てて謝罪してから手を離す。
彼女はそっと掴んでいた場所に触れてそっぽを向くと、 「見事にはぐれたね」 と呟いた。
「ああ、どうしようか? あんまり動かない方がいいのか?」
「アタシに訊かれてもねぇ…… あの女王がアタシ達を探してくれるかにかかっているかもね」
ああ、それなら問題ないだろう。
なにせレイシーさんはペティさんのことを毛嫌いしているのだ。2人きりでいることになんて耐えられずに俺達のことを探し始めるに違いない。
チェシャ猫が見つかったら…… 探してもらえないかもしれないが。
「現在地点はどこだろうね。森の中…… いや、あっちになにか見えるね」
紅子さんが指差した方向へ目を向けると、大きな木々に阻まれて天辺しか見えないが、城と思われるものが見えた。
赤と黒と白のコントラスト…… 女王の城だろうな。ひとまずあちらに向かえば間違いはないだろう。
紅子さんと目を合わせてそちらに向かおうとしたとき…… 背後の木々が揺れたような気がした。
「見つけたー!」
そして、そいつは俺の目の前に空中からくるくると回って着地した。
恐らく木の上を走って、そしてこちらに向かって跳躍したんだろうと思う。
だが、俺は思わずそいつに向けて所持していた刀を振りかざしていた。
「なんでお前がここにいるんだ!」
首輪代わりのチョーカーが疼く。
こいつは間違いなく俺のご主人様だ…… と、思ったのだが、そいつはビックリしたように再び跳躍して俺の横に着地した。
「いきなりなにさ、もう! せっかくボクが探してあげたっていうのにー!」
ボク?
奴とはまったく違う一人称に疑問を覚えてそいつをよく見ると、似ている部分は長い黒髪を三つ編みにして前に垂らしているという部分と、不気味な黄色い瞳だけだ。
頭には黒っぽい猫耳らしきものがあるし、腰から下がった尻尾はイラついているように左右に振れている。
チェシャ猫特有の不気味な笑みは浮かべておらず、代わりに笑みを象った模様のある長いストールで口元を隠している。
ピンクと紫の縞模様とトランプ柄のケープに明るい服装。式神の型みたいな、人型をした鈴つきリボンが尻尾の先でリンと音を鳴らす。
片腕だけ獣のような異形になっているそいつは、見た目こそニャルラトホテプにそっくりだが、雰囲気はガラリと違う無邪気なものだ。
おかしい、確かに奴だと思ったんだが……
「悪い、大っ嫌いな知り合いに似ててな」
「あー、悪いと思ってないでしょ!? ボク怪我なんて嫌だからね! 女王様のためにせっかく探してあげたのにこんな対応されたらボク悲しいんだけどー!」
「ごめんね。キミがチェシャ猫かな? レイシーはアタシ達を探してくれていたんだね。良かったよ」
「むう、今回は許してあげるよ。でもレイシーに同じようなことしようとしたらボクがキミ達を殺しちゃうからね!」
物騒なことを言うチェシャ猫に苦笑を返して 「本当にごめん、レイシー達はどこにいるんだ?」 と質問する。
「もう仕方ないんだから! ボクいいネコだからキミのことも許してあげるー。さあさあ、こっちだよ。ついてきてね! …… 次はないけど」
シシッ、と不気味に笑うチェシャ猫の後ろ姿を見ながら移動する。
今でも彼のことを〝 奴 〟だと感じる自分がいる。
これは勘というより、本能だ。チョーカーを通じて俺を拘束しているクソ野郎と同じ気配を感じている。
どういうことだ?
俺はどうするべきか悩みつつも、とにかく今は合流が先だと判断する。
俺の感覚がおかしくなったのか…… ?
横目に普段通りにする紅子さんを見て、真っ先に自分自身を疑った。
赤と黒と白のトランプのような豪奢なドレスと、ハートが乗っかった王冠。ティアラじゃないのは女王だからなのか。
レイシーと名乗った彼女は恐らく〝 ハートの女王 〟のはずだ。
「……」
誰もなにも言わない。
女王…… と言っても身長は紅子さんよりも低くて140㎝くらいか。中学生くらいの年頃だろう。
彼女は精一杯胸を張って格好良くポーズを決めてるが、背が低いのと、先程べしゃっと地面に落ちていたのが相まってカリスマ性など微塵も感じられない。
ただただ可愛いだけだ。
「…… なにか言わんか。女王だぞ? お前達とは格が違うのじゃ」
「……」
ペティさんが猫の飾りがついた魔女帽子を深く被り、咳払いをする。
明らかに笑いを堪えている様子に女王の指先がプルプルと震え始めた。
「あー、えっと、御機嫌よう? 女王サマ」
苦い顔をしながら紅子さんが言うと、女王はすぐさま顔をそちらに向けた。ものすごく素早かった。
「めちゃくちゃ御機嫌斜めじゃ!」
「そ、そうかぁ……」
紅子さんもまさかこんなにも素直に返されるとは思ってなかったんだろう。たじたじだ。
ペティさんは笑えが堪え切れなくなって身体が震えてきている。勘弁してあげてくれ。女王はもう涙目だ。
「うう、なんじゃお前ら! 私様は赤の女王ぞ!? 敬え! 敬えよ! さもないとチェシャに泣きつくぞ!?」
いや、そこは言いつけるんじゃないのかよ。
「チェシャ。チェシャ猫か? 女王は親しいのか?」
「なに言うておる。チェシャ以外の住人は皆私様に無関心じゃ。私様にはあやつがいれば…… いや、別に一人でも寂しくはないぞ? あやつが心配性なだけじゃ」
ぶつぶつと話し始めた彼女を放っておき、俺達は文車妖妃の字乗さんに視線を向ける。
彼女はなにかの本に没頭していたかと思うとそれを閉じ、顔をあげた。
閉じる前に見たところ、分厚い辞書の中がくり抜かれていて、少女漫画が入っていた。
図書館司書がそれでいいのか、とかいろいろ言いたいことはあるがとりあえず見なかったことにしておくかな。
「それで、レイシーちゃん。君の国で一体何が起きているのかね? こちら側はもちろん君の国ではないのだから、君の法律は通用しない。そのことだけは覚えておいてくれたまえ」
「私様が他国の女王とて、必要な礼儀くらいあろうが! 首をちょん切られたいのか!」
女王は興奮したようにまくし立て、椅子に座って踏ん反り返る字乗さんに詰め寄る。
字乗さんのその姿も彼女をイラつかせることになっているのだと思う。それがわざとなのかは分からないが、字乗さんは女王に対してかなり挑発的な態度を取っているように見えるな。
「wait、wait、wait…… 落ち着きたまえよ、お嬢さん?」
そんなこと言っても怒らせるだけだろうに。
「私達は君の国がめちゃくちゃになっている…… その原因を特定し、解決してやりたいと考えているのだよ。だからだね、手っ取り早く君から内情を聞かせてほしいのさ。勿論、言わないことがあったっていい。それは君のプライベートだ。それに、隠されたってそれを暴く術はこちらにはないんだ。遠慮は必要ない」
回りくどい。普通になにがあったんだ? でいいじゃないか。
「は? え、は?」
ほら、女王も混乱してる。
「…… ふむ、なにも一日における化粧室の利用回数なんてことを聞いているわけではないぞ。あの物騒な小娘に追われている理由を簡潔かつ明快に答えてくれればいいんだ」
「じょ、女王は麗しくて美しくてすごいからトイレになんて行かんのじゃ!」
で、内容で拾うのはそこだけなんだな。
ペティさんはそんな二人の会話を聞きながらお腹を押さえてテーブルを控えめに叩いている。この噛み合わない会話のどこが面白いのかちょっと理解できそうもない。
「あー、女王サマ? なんで追われていたのかは分かるかな? アタシ達はそれを解決したいんだ。キミが唯一の手がかりなんだよ。ね?」
「わ、私様が唯一……」
女王はちょっと照れたように視線を逸らして、それからまたない胸を張った。あ、いや、ごめん。だってほら、中学生くらいだしな……
「よかろう! よかろう! で、なにが聞きたい? えーと、そこの赤マントちゃん!」
「あー、アタシのことだね。自己紹介してなかったもんねぇ。女王サマ相手じゃ失礼だったね。アタシは紅子。ベニコだ」
「ベニコ…… ベニちゃん! よろしくね! …… なのじゃ!」
取って付けたように付け加えた言葉で、今のは女王の素の部分だったのだと推測できた。
どうやら紅子さんは僅かな敬意と分かりやすい説明をすることで彼女と親しくなることができたみたいだ。
「俺は令一。レイイチだ。俺も君の国を平和にする手助けがしたいんだ。よろしく」
「む…… よろしく、レーイチ」
一応、自己紹介をすれば受け入れてくれるみたいだな。
「…… 俺様はペチュニア。ペティってな」
「お前の名前はイカれ帽子で十分じゃ!」
ウインクしたペティさんに噛みつくように女王が叫んだ。
ペティさんは 「…… もしかして怒ってるか?」 と今更なことを言う。
さっきからかなりお怒りだと思うが。
「良かったねぇ、ペティ。キミも童話のお仲間に入れてもらってるよ」
「俺様はマッドハッターじゃねぇよ。あそこまでイカれてねーの!」
「少しばかりは心当たりがあるようだ」
「よもぎ! 余計なこと言うんじゃねぇ!」
「こうして見るとキミもお師匠に似てるんじゃないかな? 良かったね。憧れだろう?」
「誰があんなヘタレ狼!」
ヘタレ狼…… ?
ケルベロスをヘタレ…… ?
疑問しかないんだが、弟子のペティさんが言うってことはなにかあるのか。
前に会ったときは、確かに俺様だし迷彩Tシャツにコートとかいう変な格好はしてるし、怖い雰囲気なのに甘いものが好きらしいし…… ギャップはいろいろあったけど、ヘタレと言われるような場面はなかったんじゃないか?
「話が脱線していないかい? ああ、私のことは知らなくても良い。勝手に司書でもなんでも呼べばいいからね。ほら、早く君の悲劇を聞かせておくれ」
「言い方が気に食わんが…… まあいい。まず前提ではあるが、私様の国は元々の童話とは違うらしい。らしいというのは、チェシャに聞いたからだがな。それで…… 私様は、私は、最初はアリスだったのだ」
そこから女王レイシーが語ったのは、衝撃的な童話世界のルールだった。
彼女曰く、いや、彼女にとってはチェシャ猫曰く、この童話の中ではアリスとなった人間が物語の最後までなぞり、辿り着くことで物語が終着を迎えて〝女王〟が交代する。
アリスの物語は明確な終わりがあるわけではなく、最後にはアリスが現実で目を覚ますことになるわけだが…… この目覚めるアリスと、夢の中で冒険していたアリスはイコールで結ばれないということを彼女は説明した。
アリスが冒険し、物語を裁判まで進めるとそこでアリスが女王になり、元女王は現実世界で目を覚ます。
そういうルールの基に成り立った世界。それがこの本だと彼女は教えられたそうだ。
「だ、だから、最初はアリスがやって来たと聞いて嬉しかったんじゃ」
豪奢なドレスの袖をぎゅっと握りしめ、女王は悔しそうな表情をした。
「レイシー」
「…… なんじゃ、マッドハッター」
「とうとうマッドハッター呼びに…… まあいいや。なあ、レイシー。お前ってアリスだった頃の記憶とかないのか?」
ああ、そういえばペティさんが言うように、彼女はずっと 「チェシャから聞いた」 と言っているが。
「ない」
彼女の答えは単純だった。
「そうか、ならなぜ次代のアリスが暴れまわっているのかも分からないんだな?」
「分かるわけないじゃろ」
「あー…… 最後にもう一つ、外にいたときの自分を知らないのに、なぜ外へ出たいと思ってるんだ? あの世界はお前の支配下にある世界なんだろ?」
「…… そうじゃな、漠然と〝 帰らなければならない 〟という思いがあるのじゃ。それがなぜだかは分からないのじゃが、なにか大切なことがあったはずなのじゃ」
ペティさんはその言葉に帽子の端を握って考え込んでいる。
女王…… レイシーになにかありそうなのは確かだが、今は考えても分からないことばかりだ。
俺だって、彼女のことはどうにかしてやりたいと思ってるけど…… 今は不思議な国で暴れている血塗れアリスをどうにかしなければならない。
「でも、どうすればいいんだ? 本の中の世界だろ」
「おやおや、ちっぽけな人間様はこれまでの体験を踏まえても想像がつかないらしい。ここはどこで、私は誰だい?」
ここは図書館で、字乗さんは図書館の司書だが。
「私は本の専門家。ダンタリアン様から管理を任されたこの世界中の本が集まる場所の管理者だよ。本の世界へ入る方法なんて何通りも挙げることができるのさ」
両手をあげて自慢気に言う彼女へ紅子さんがじとりとした目を向ける。
「ならさっさと教えてほしいねぇ。つまりはあれだ、本の中に入ってアリスを追い出すか倒すかすればいいんだろう?」
「お前って意外と脳筋だよなぁ」
「…… それが手っ取り早いということだよ」
「否定はしないんだな?」
ペティさんのからかうような口調に反論せず紅子さんは肩をすくめる。自覚はあるらしい。結構思慮深い印象があると俺は思っているんだが。
「結構考えて動いてるほうだろ、いつも。今回はまず会ってみないことには分からないからな」
「キミね…… 変なフォローしなくていいから。ほら、さっさと教えて」
「ふむぅ、なら本の中を食い荒らす魚…… はダメだね。それとも一対の本立て…… も戻ってこられなくなったら大変だね」
おいおい、大丈夫か?
「ううむ、ま、普通に私が手を加えればいいだけだな。本に〝 奇妙な三人組が女王と出会う 〟といった一文を追加する。そうすれば本は内容に沿ろうとしてお前たちを引き込もうとするだろう。君達はそれに逆らわなければ良い」
「文を加えるだけなのか?」
「ああ、もちろん特別なペンを用意しているよ。安心したまえ、こういった類のオモチャは山程持っているのでね」
それは安心だ。安心か? まあいい、相手は専門家なのだから大丈夫なんだろう。分からない俺がああだこうだ言うことはできない。
「それじゃあ、ほらそこに集まって。一気に行かないと物語の中ではぐれてしまうよ。中で冒険するのは面倒だろう」
「むむ、できればチェシャのいる場所に出たいぞ。あの子ならアリスには捕まっていないはずじゃ! なにより私様が会いたいし!」
「女王様はなんとも素直なことで」
ペティさんがやれやれと首を振って言うが、彼女はそれを無視して字乗さんだけを見ている。相手にするのはやめたらしい。すごい嫌われようだ。
「善処しよう…… ま、チェシャ猫なら場所がズレてもすぐに君らを見つけるだろうさ」
字乗さんが本にペンを走らせると、その場に光の帯のようなものが現れ、俺達へ向かって伸びてくる。どうやらこれに従って進むか待つかすればいいみたいだ。
「ああ、そうだ忘れていた。帰るにはあちらでも同じ本を見つける必要があるから、図書館かなにかを道すがら探すといい。帰るときは本の中にある挿し絵に触れるだけでいいから、覚えておくように」
こともなげに言う字乗さんに 「言うのが遅いよ!」 とか、 「見つけられなかったら帰れないのかよ!」 とか、いろいろ言いたいことはあったが、時間はそう長くないようですぐさま視界が真っ白に染まり上がる。それに声が出せなくなるおまけつきだ。
はぐれないようにと咄嗟に紅子さんの手を掴んだが、彼女が驚いて腕を揺らす感触が伝わってくるのみでその表情は拝めない。
そして、視界が回復するとそこは森の中だった。
周りにいるのは紅子さんだけで、女王とペティさんは見当たらない。案の定はぐれたのか?
「いつまで手を取ってるつもりなのかな?」
「え、あ、ごめん!」
心なしか呆れたようにジト目になって言う紅子さんに、慌てて謝罪してから手を離す。
彼女はそっと掴んでいた場所に触れてそっぽを向くと、 「見事にはぐれたね」 と呟いた。
「ああ、どうしようか? あんまり動かない方がいいのか?」
「アタシに訊かれてもねぇ…… あの女王がアタシ達を探してくれるかにかかっているかもね」
ああ、それなら問題ないだろう。
なにせレイシーさんはペティさんのことを毛嫌いしているのだ。2人きりでいることになんて耐えられずに俺達のことを探し始めるに違いない。
チェシャ猫が見つかったら…… 探してもらえないかもしれないが。
「現在地点はどこだろうね。森の中…… いや、あっちになにか見えるね」
紅子さんが指差した方向へ目を向けると、大きな木々に阻まれて天辺しか見えないが、城と思われるものが見えた。
赤と黒と白のコントラスト…… 女王の城だろうな。ひとまずあちらに向かえば間違いはないだろう。
紅子さんと目を合わせてそちらに向かおうとしたとき…… 背後の木々が揺れたような気がした。
「見つけたー!」
そして、そいつは俺の目の前に空中からくるくると回って着地した。
恐らく木の上を走って、そしてこちらに向かって跳躍したんだろうと思う。
だが、俺は思わずそいつに向けて所持していた刀を振りかざしていた。
「なんでお前がここにいるんだ!」
首輪代わりのチョーカーが疼く。
こいつは間違いなく俺のご主人様だ…… と、思ったのだが、そいつはビックリしたように再び跳躍して俺の横に着地した。
「いきなりなにさ、もう! せっかくボクが探してあげたっていうのにー!」
ボク?
奴とはまったく違う一人称に疑問を覚えてそいつをよく見ると、似ている部分は長い黒髪を三つ編みにして前に垂らしているという部分と、不気味な黄色い瞳だけだ。
頭には黒っぽい猫耳らしきものがあるし、腰から下がった尻尾はイラついているように左右に振れている。
チェシャ猫特有の不気味な笑みは浮かべておらず、代わりに笑みを象った模様のある長いストールで口元を隠している。
ピンクと紫の縞模様とトランプ柄のケープに明るい服装。式神の型みたいな、人型をした鈴つきリボンが尻尾の先でリンと音を鳴らす。
片腕だけ獣のような異形になっているそいつは、見た目こそニャルラトホテプにそっくりだが、雰囲気はガラリと違う無邪気なものだ。
おかしい、確かに奴だと思ったんだが……
「悪い、大っ嫌いな知り合いに似ててな」
「あー、悪いと思ってないでしょ!? ボク怪我なんて嫌だからね! 女王様のためにせっかく探してあげたのにこんな対応されたらボク悲しいんだけどー!」
「ごめんね。キミがチェシャ猫かな? レイシーはアタシ達を探してくれていたんだね。良かったよ」
「むう、今回は許してあげるよ。でもレイシーに同じようなことしようとしたらボクがキミ達を殺しちゃうからね!」
物騒なことを言うチェシャ猫に苦笑を返して 「本当にごめん、レイシー達はどこにいるんだ?」 と質問する。
「もう仕方ないんだから! ボクいいネコだからキミのことも許してあげるー。さあさあ、こっちだよ。ついてきてね! …… 次はないけど」
シシッ、と不気味に笑うチェシャ猫の後ろ姿を見ながら移動する。
今でも彼のことを〝 奴 〟だと感じる自分がいる。
これは勘というより、本能だ。チョーカーを通じて俺を拘束しているクソ野郎と同じ気配を感じている。
どういうことだ?
俺はどうするべきか悩みつつも、とにかく今は合流が先だと判断する。
俺の感覚がおかしくなったのか…… ?
横目に普段通りにする紅子さんを見て、真っ先に自分自身を疑った。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
翡翠のうた姫〜【中華×サスペンス】身分違いの恋と陰謀に揺れる宮廷物語〜
雪城 冴 (ゆきしろ さえ)
キャラ文芸
【中華×サスペンス】
「いつか僕のために歌って――」
雪の中、孤独な少女に手を差し伸べた少年。
その記憶を失った翠蓮(スイレン)は、歌だけを頼りに宮廷歌姫のオーディションへ挑む。
だがその才能は、早くも権力と嫉妬の目に留まる。中傷や妨害は次々とエスカレート。
やがて舞台は、後宮の派閥争いや戦場、国境まで越えていく。
そんな中、翠蓮を何度も救うのは第二皇子・蒼瑛(ソウエイ)。普段は冷静で穏やかな彼が、翠蓮のこととなると、度々感情を露わにする。
蒼瑛に対する気持ちは、尊敬? 憧れ? それとも――忘れてしまった " あの約束 " なのか。
すれ違いながら惹かれ合う二人。甘く切ない、中華ファンタジー
宿敵の家の当主を妻に貰いました~妻は可憐で儚くて優しくて賢くて可愛くて最高です~
紗沙
恋愛
剣の名家にして、国の南側を支配する大貴族フォルス家。
そこの三男として生まれたノヴァは一族のみが扱える秘技が全く使えない、出来損ないというレッテルを貼られ、辛い子供時代を過ごした。
大人になったノヴァは小さな領地を与えられるものの、仕事も家族からの期待も、周りからの期待も0に等しい。
しかし、そんなノヴァに舞い込んだ一件の縁談話。相手は国の北側を支配する大貴族。
フォルス家とは長年の確執があり、今は栄華を極めているアークゲート家だった。
しかも縁談の相手は、まさかのアークゲート家当主・シアで・・・。
「あのときからずっと……お慕いしています」
かくして、何も持たないフォルス家の三男坊は性格良し、容姿良し、というか全てが良しの妻を迎え入れることになる。
ノヴァの運命を変える、全てを与えてこようとする妻を。
「人はアークゲート家の当主を恐ろしいとか、血も涙もないとか、冷酷とか散々に言うけど、
シアは可愛いし、優しいし、賢いし、完璧だよ」
あまり深く考えないノヴァと、彼にしか自分の素を見せないシア、二人の結婚生活が始まる。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
男装官吏と花散る後宮〜禹国謎解き物語〜
春日あざみ
キャラ文芸
<第8回キャラ文芸大賞にて奨励賞をいただきました。応援ありがとうございました!>
宮廷で史書編纂事業が立ち上がると聞き、居ても立ってもいられなくなった歴史オタクの柳羅刹(りゅうらせつ)。男と偽り官吏登用試験、科挙を受験し、見事第一等の成績で官吏となった彼女だったが。珍妙な仮面の貴人、雲嵐に女であることがバレてしまう。皇帝の食客であるという彼は、羅刹の秘密を守る代わり、後宮の悪霊によるとされる妃嬪の連続不審死事件の調査を命じる。
しかたなく羅刹は、悪霊について調べ始めるが——?
「歴女×仮面の貴人(奇人?)」が紡ぐ、中華風世界を舞台にしたミステリ開幕!
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
復讐のための五つの方法
炭田おと
恋愛
皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。
それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。
グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。
72話で完結です。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる