グラムレスト王国

永華

文字の大きさ
6 / 6
それぞれの出逢い

華麗なる一族 前編

しおりを挟む
今から5年前、シルメリアと初めて出会った日の物語———

王国の騎士団だけでは対処困難だった大量発生スタンビート
ついに王国が情報規制を解き、外部の冒険者ギルドや傭兵達に大々的に討伐依頼を国が任せた頃のこと…

ある日、冒険者と傭兵による大規模な討伐作戦に"私"が参加する事になった。

この大規模作戦へ参加する数日前…———

私が銃で撃ち抜いた手元をさする騎士を横目にアデルが呟く。

「なぁ、俺の専属騎士になれよ。」

騎士?いや私、冒険者だし。アデルさんの下で働くとか…ストレスヤバそう。
突然の誘いにとっさに断る。

「騎士道精神とは正反対の性格なんで」

「確かに、規律乱しそうだもんな。お前」


勧誘しておいてこの態度である。



…———そして現在


王国歴575年6月17日

ほんの少しだけ、モヤモヤしつつも王都郊外へと向かう。
討伐作戦の集会場は日の光に照らされ、砂利の道が淡く白く輝いていた。
私の靴底が踏みしめるたび、砂利が小さく軋む音を立てる。

「あれ…?」

視線の先には他の冒険者やむさ苦しそうな傭兵たちの中で、ひときわ異質な存在が立っていた。
銀色の髪が朝日を受けて淡く光り、風が吹くたびに銀糸の髪が揺らめく。
その少女、紫の瞳はまるで宝石のように澄み、凛とした空気を纏っていた。貴族令嬢特有の品格が、場の雑多な空気を一瞬で変えてしまう——そんな存在感だ。
思わず歩み寄り、声をかける。

「ねぇ、君。見ない顔だけど…もしかして傭兵?」

彼女はゆっくりと私へ視線を向けると微笑みを浮かべながら軽く頭を下げた。

「ええ、シルメリア・ランフォードと申します。あら?ランフォード家をご存知でしたか。」


私の胸に軽く衝撃が走る。【ランフォード家】といえば名の知れた侯爵家。しかも魔道具店ランランを経営していて、私もよく買い物している大衆向け魔道具専門店だ。
その一族の一人が、目の前で堂々と傭兵として立っている。

「そうだ、もしよかったら一緒に討伐回らない?」

声に少しの緊張を隠しつつ、私は提案する。
シルメリアは快く承諾してくれた。

「うふふ、これからの討伐、血が滾りますわねえ。」

その言葉に背筋が少しぞくりとした。
紫の瞳に宿る狩猟本能——楽しみながら戦う強者の目だ。
剣の柄に指をかけるその動作すら、優雅さの中に鋭さを帯びていた。

「実は私、末娘でして。剣術と風魔法が得意ですの。特に……命を賭けるスリルがたまりませんわぁ」

口元に笑みを浮かべたまま、少女はしなやかに剣の柄を握る。
その仕草からは、ただの遊びではない、本気で戦う意思が伝わってくる。
周囲の傭兵や冒険者のざわめきすら、私には遠く感じられた。
今、目の前には戦場を楽しむ優雅な猛獣が立っている——そんな印象を受ける。

どくん…

心臓が跳ねる音が、胸の奥で響き渡る。

めちゃくちゃ…胸が高鳴る!この子への興味?いや、それ以上だ。血が沸き立つような熱い感覚、久しぶりに全身が楽しくなる予感。

ワクワクする気持ちを抱えながら、シルメリアと並んで討伐ポイントを照らし合わせる。
倒壊した街"リヴル"への道はまだ、静まり返っている。
だが、遠くでかすかに響く魔物の呻きや、風に混ざる鉄と血の匂いが、胸の高鳴りをさらに刺激する。

——大規模討伐作戦の開始だ。
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

触手エイリアンの交配実験〜研究者、被験体になる〜

桜井ベアトリクス
恋愛
異星で触手エイリアンを研究する科学者アヴァ。 唯一観察できていなかったのは、彼らの交配儀式。 上司の制止を振り切り、禁断の儀式を覗き見たアヴァは―― 交わる触手に、抑えきれない欲望を覚える。 「私も……私も交配したい」 太く長い触手が、体の奥深くまで侵入してくる。 研究者が、快楽の実験体になる夜。

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

世間知らずな山ごもり薬師は、××な騎士団長の性癖淫愛から逃げ出せない

二位関りをん
恋愛
平民薬師・クララは国境沿いの深い山奥で暮らしながら、魔法薬の研究に没頭している。招集が下れば山を下りて麓にある病院や娼館で診察補助をしたりしているが、世間知らずなのに変わりはない。 ある日、山の中で倒れている男性を発見。彼はなんと騎士団長・レイルドで女嫌いの噂を持つ人物だった。 当然女嫌いの噂なんて知らないクララは良心に従い彼を助け、治療を施す。 だが、レイルドには隠している秘密……性癖があった。 ――君の××××、触らせてもらえないだろうか?

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される

clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。 状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。

彼の巨大な体に覆われ、満たされ、貪られた——一晩中

桜井ベアトリクス
恋愛
妹を救出するため、一ヶ月かけて死の山脈を越え、影の沼地を泳ぎ、マンティコアとポーカー勝負までした私、ローズ。 やっと辿り着いた先で見たのは——フェイ王の膝の上で甘える妹の姿。 「助けなんていらないわよ?」 は? しかも運命の光が私と巨漢戦士マキシマスの間で光って、「お前は俺のものだ」宣言。 「片手だけなら……」そう妥協したのに、ワイン一杯で理性が飛んだ。 彼の心臓の音を聞いた瞬間、私から飛びついて、その夜、彼のベッドで戦士のものになった。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

処理中です...