クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました

髙橋ルイ

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第17話:揺らぐ自信と傷つく者

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教室を出てから、どれほど時間が経ったのだろう。
俺たちは今、王都近郊の草原にいた。

「……うわ、マジでだりぃわ」

そうぼやいたのは、クラスで一番素行の悪かった村上 拓真むらかみ たくまだ。
授業中に寝る、教師に逆らう、女子を馬鹿にする。
まともな評判など一つもなかったが、鑑定で与えられたスキルは《鋼皮》――防御力を極限まで高める強力なもの。
本人はそれをいいことに、調子に乗りっぱなしだった。

「おい拓真、真面目にやれよ。依頼だろ」

佐伯 蓮司さえき れんじが鋭く睨む。
彼は勇者候補として誰もが認める存在であり、王都でも騎士たちの訓練に加わるほどの実力を見せていた。

「うっせーな。俺がいりゃ魔物の一匹や二匹、余裕だろ?」

拓真は鼻で笑い、棍棒を肩に担いで進んでいく。



依頼内容は「周辺の森に出没する牙猪の群れを討伐せよ」というものだった。
牙猪は突進力に優れ、冒険者でも油断すれば命を落とす魔物だ。

「……来る!」

蓮司の号令とともに、草原の奥から十数頭の牙猪が姿を現した。
赤い瞳を光らせ、一斉に突進してくる。

「おおおっ! 俺の見せ場だな!」

拓真が吠えるように笑い、前へ飛び出す。
体を硬化させ、突進を正面から受け止める。

「ぐはっ!」

衝撃で地面が抉れた。
だが鋼皮に守られた拓真は倒れず、牙猪を投げ飛ばす。

「見たか!? 俺様無敵!」

彼の下卑た笑いに、女子たちは眉をひそめ、男子たちも苦い顔をした。



戦いは進む。
剣聖スキルを持つ蓮司が次々と牙猪を切り伏せ、魔導士たちが炎や氷を放つ。
教師の桜井 進一さくらい しんいちはおろおろしながらも回復魔法を唱え、後方で支援していた。

「お前ら、俺が前にいるんだからもっと派手に攻撃してこいよ!」

拓真は調子に乗りすぎて、群れの中心に踏み込みすぎた。

「拓真、下がれ!」
「囲まれるぞ!」

警告が飛ぶ。
だが彼は無視した。

「はぁ? 俺が負けるわけ――」

その瞬間だった。

森の奥から、通常より一回り大きな牙猪――変異種が突進してきた。
角は太く鋭く、目は血のように赤い。

「なっ――」

避ける暇もなく、拓真の脇腹に直撃した。

「ぐああああああっ!」

鋼皮を持つ彼ですら防ぎきれず、肉が裂け、血が吹き出す。
豪快に吹き飛ばされ、地面に叩きつけられた。



「拓真!!」

蓮司が駆け寄る。
女子たちも悲鳴を上げ、桜井先生が必死に治癒魔法を施す。

「っ……痛ぇ……っ!」

拓真は苦悶の表情を浮かべ、血に濡れた手で地面を掻いた。
いくら彼がクズでも、この場にいる誰もが命の重さを感じざるを得なかった。

「まだ息がある! 蓮司、魔物を引きつけろ!」
「わかった!」

蓮司が剣を振るい、仲間たちが援護する。
炎が走り、氷が砕け、牙猪の群れが次々と倒れていく。



やがて戦場に静寂が戻った。
残ったのは血に染まった草原と、苦しげにうめく拓真の姿。

「……クソ……俺が……」

彼の強がりは完全に崩れ去り、ただ痛みに震える少年の姿だけが残っていた。

仲間たちは沈黙し、誰もが初めて「死」を間近に意識した。



その夜。
焚火を囲みながら、蓮司は仲間に告げた。

「……俺たちはまだ、本当の意味で強くなんてない。
一人でも慢心すれば、誰かが死ぬ」

炎に照らされた彼の横顔は険しく、クラスメイトたちはただ頷くしかなかった。



だが、その場にいない一人――高宮 悠斗たかみや ゆうと
彼の異常なスキルの存在を、誰も知らないまま夜は更けていく。

__________________

後書き

ここまで読んでくださってありがとうございます!

第17話はクラスメイト視点での依頼任務を描きました。
普段はクズとして扱われていた拓真が大怪我を負うことで、仲間たちは初めて「命の重み」と「慢心の危険」を知ることになります。

一方で、悠斗の異常な力は依然として彼らの知らぬところで進展しています。
次回は「クラスメイトたちの不安」と「悠斗の進む道」の両方が交錯していく回になる予定です。ぜひご期待ください!
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