クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました

髙橋ルイ

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第2章:王都に蠢く影、交錯する運命

第21話:二つの道の始まり

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王都・謁見の間。
重厚な扉が開かれ、赤い絨毯の上にクラスメイトたちが並んでいた。

「よくぞ任務を果たした。……だが、犠牲が大きかったようだな」

国王こくおうの声は冷たく響く。
膝をついた勇者候補たちは誰も顔を上げられなかった。

拓真はいまだ回復の床に伏し、数人の仲間も重傷を負っている。
勇者として召喚されたはずの自分たちが、早くも壁にぶつかっていた。

「剣聖、佐伯 蓮司さえき れんじ

名を呼ばれ、蓮司が一歩前に出る。

「お前は確かに強い。だが、群れを前にするたびに損害を出していては、この国を救うことはできん」

「……っ」

蓮司は歯を食いしばった。
背後の仲間たちは沈黙し、ただ緊張に押しつぶされていた。

そのとき、宰相が低く囁いた。

「……無能とされたあの少年。もし今も生きているなら……」

誰もが一瞬、追放されたクラスメイト――高宮 悠斗たかみや ゆうとの名を思い出した。
だが、次の瞬間には打ち消す。
無能と宣告された者が生き延びられるはずがない。
そう、誰もが信じ込もうとしていた。



その頃、遠く離れた草原の村。

戦いの爪痕はまだ残っていたが、村人たちは少しずつ立ち直りつつあった。
従属から解かれた彼らは、悠斗に深く頭を下げ、感謝の言葉を残して去っていく。

「……行っちゃいましたね」

リーネがぽつりと呟く。
村を出た人々の背を見送りながら、俺は胸の奥に小さな痛みを覚えていた。

(守れた。けれど……あれは、本当に“守った”と言えるのか?)

俺の命令に従っただけ。
彼らがどう思っていたかを、確かめることはできない。

「悠斗」

リーネがまっすぐに俺を見た。
炎のように揺れる瞳に、迷いはなかった。

「これからは、あなたと一緒に歩きたい。
村に留まるより、あなたと旅をする方が……きっと私の答えに繋がります」

「……リーネ」

その言葉に、胸が震えた。
追放され、無能と罵られた俺に、共に歩むと言ってくれる存在がいる。

「わかった。……行こう。俺たちの道を」



王都で力を試され続けるクラスメイトたち。
村を離れ、リーネと共に歩き出す俺。

交わらぬはずの二つの道は、やがて避けられぬ運命として交錯していく――。

__________________

後書き

ここまで読んでくださってありがとうございます!

第21話から第2章がスタートしました。
王都サイドでは「勇者候補たちの力不足」と「追放された悠斗への不安」が語られ、
悠斗サイドでは「リーネと共に旅立つ」という大きな決断が描かれました。

次回は、悠斗が初めて「村の外の世界」に足を踏み入れ、そこで新たな出会いが訪れます。
物語はいよいよ広がりを見せていきますので、ぜひご期待ください!
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