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第2章:王都に蠢く影、交錯する運命
第21話:二つの道の始まり
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◇
王都・謁見の間。
重厚な扉が開かれ、赤い絨毯の上にクラスメイトたちが並んでいた。
「よくぞ任務を果たした。……だが、犠牲が大きかったようだな」
国王の声は冷たく響く。
膝をついた勇者候補たちは誰も顔を上げられなかった。
拓真はいまだ回復の床に伏し、数人の仲間も重傷を負っている。
勇者として召喚されたはずの自分たちが、早くも壁にぶつかっていた。
「剣聖、佐伯 蓮司」
名を呼ばれ、蓮司が一歩前に出る。
「お前は確かに強い。だが、群れを前にするたびに損害を出していては、この国を救うことはできん」
「……っ」
蓮司は歯を食いしばった。
背後の仲間たちは沈黙し、ただ緊張に押しつぶされていた。
そのとき、宰相が低く囁いた。
「……無能とされたあの少年。もし今も生きているなら……」
誰もが一瞬、追放されたクラスメイト――高宮 悠斗の名を思い出した。
だが、次の瞬間には打ち消す。
無能と宣告された者が生き延びられるはずがない。
そう、誰もが信じ込もうとしていた。
◇
その頃、遠く離れた草原の村。
戦いの爪痕はまだ残っていたが、村人たちは少しずつ立ち直りつつあった。
従属から解かれた彼らは、悠斗に深く頭を下げ、感謝の言葉を残して去っていく。
「……行っちゃいましたね」
リーネがぽつりと呟く。
村を出た人々の背を見送りながら、俺は胸の奥に小さな痛みを覚えていた。
(守れた。けれど……あれは、本当に“守った”と言えるのか?)
俺の命令に従っただけ。
彼らがどう思っていたかを、確かめることはできない。
「悠斗」
リーネがまっすぐに俺を見た。
炎のように揺れる瞳に、迷いはなかった。
「これからは、あなたと一緒に歩きたい。
村に留まるより、あなたと旅をする方が……きっと私の答えに繋がります」
「……リーネ」
その言葉に、胸が震えた。
追放され、無能と罵られた俺に、共に歩むと言ってくれる存在がいる。
「わかった。……行こう。俺たちの道を」
◇
王都で力を試され続けるクラスメイトたち。
村を離れ、リーネと共に歩き出す俺。
交わらぬはずの二つの道は、やがて避けられぬ運命として交錯していく――。
__________________
後書き
ここまで読んでくださってありがとうございます!
第21話から第2章がスタートしました。
王都サイドでは「勇者候補たちの力不足」と「追放された悠斗への不安」が語られ、
悠斗サイドでは「リーネと共に旅立つ」という大きな決断が描かれました。
次回は、悠斗が初めて「村の外の世界」に足を踏み入れ、そこで新たな出会いが訪れます。
物語はいよいよ広がりを見せていきますので、ぜひご期待ください!
王都・謁見の間。
重厚な扉が開かれ、赤い絨毯の上にクラスメイトたちが並んでいた。
「よくぞ任務を果たした。……だが、犠牲が大きかったようだな」
国王の声は冷たく響く。
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「……っ」
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そのとき、宰相が低く囁いた。
「……無能とされたあの少年。もし今も生きているなら……」
誰もが一瞬、追放されたクラスメイト――高宮 悠斗の名を思い出した。
だが、次の瞬間には打ち消す。
無能と宣告された者が生き延びられるはずがない。
そう、誰もが信じ込もうとしていた。
◇
その頃、遠く離れた草原の村。
戦いの爪痕はまだ残っていたが、村人たちは少しずつ立ち直りつつあった。
従属から解かれた彼らは、悠斗に深く頭を下げ、感謝の言葉を残して去っていく。
「……行っちゃいましたね」
リーネがぽつりと呟く。
村を出た人々の背を見送りながら、俺は胸の奥に小さな痛みを覚えていた。
(守れた。けれど……あれは、本当に“守った”と言えるのか?)
俺の命令に従っただけ。
彼らがどう思っていたかを、確かめることはできない。
「悠斗」
リーネがまっすぐに俺を見た。
炎のように揺れる瞳に、迷いはなかった。
「これからは、あなたと一緒に歩きたい。
村に留まるより、あなたと旅をする方が……きっと私の答えに繋がります」
「……リーネ」
その言葉に、胸が震えた。
追放され、無能と罵られた俺に、共に歩むと言ってくれる存在がいる。
「わかった。……行こう。俺たちの道を」
◇
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村を離れ、リーネと共に歩き出す俺。
交わらぬはずの二つの道は、やがて避けられぬ運命として交錯していく――。
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後書き
ここまで読んでくださってありがとうございます!
第21話から第2章がスタートしました。
王都サイドでは「勇者候補たちの力不足」と「追放された悠斗への不安」が語られ、
悠斗サイドでは「リーネと共に旅立つ」という大きな決断が描かれました。
次回は、悠斗が初めて「村の外の世界」に足を踏み入れ、そこで新たな出会いが訪れます。
物語はいよいよ広がりを見せていきますので、ぜひご期待ください!
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