クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました

髙橋ルイ

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第2章:王都に蠢く影、交錯する運命

第41話:剣聖候補との激突

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騎士団の列が前へ進む。
規律正しい足音が大地を震わせ、空気そのものを圧迫していく。

「……あれが、王国の精鋭」
リーネが小声で呟いた。
彼女の視線は真剣そのもの。
怯えているのではなく、ただ隣にいる俺を見守るために。

「高宮 悠斗!」
銀の鎧を纏った隊長格が、剣を抜いて叫んだ。
「王国への反逆、ここで断罪する!」

「断罪? ……笑わせるな」
俺は剣を構え、力を解放する。

『従属者の記録を確認――能力同期開始』

瞬間、体が熱に包まれた。
オーガの膂力、魔導士の魔術、そして剣士の技術。
複数の力が重なり合い、俺の体を異常な領域へ引き上げていく。



一閃。
振るった剣は炎を纏い、突き出した蹴りは雷鳴を伴って騎士たちを吹き飛ばす。

「なっ……化け物め!」
「魔術と剣技を同時に……!」

騎士たちの動揺が広がる。
だが彼らは恐れず、すぐに態勢を立て直した。
さすが精鋭、ただの兵士とは違う。

「包囲を狭めろ!」
「斬り込ませるな!」

四方から剣が迫る。
鋭い斬撃が雨のように降り注ぎ、俺の体に無数の傷を刻んでいく。



「悠斗!」
リーネが詠唱を終え、巨大な火球を放った。
爆炎が広がり、包囲が一瞬緩む。

その隙に俺は剣を振るい、さらに力を解放した。

だが――
「なぁ……やっぱり休み時間は昼寝だよな……」

頭の奥に、桜井先生のだらしない声が流れ込む。
視界が揺れ、膝がわずかに沈む。

(……まただ! 性格まで引き込まれる……!)

必死に歯を食いしばり、雑念を払い落とす。
それでもわずかな隙は生まれ、刃が肩を掠めた。



「チッ……厄介な力だな」
隊長格の騎士が俺を睨み据えた。
その眼差しには恐怖よりも、強者と対する喜びがあった。

「だが――この一撃で終わらせる!」

彼が剣を振り上げる。
その刃はただの金属ではなく、光を纏っていた。

「……“聖剣術”か」
俺は低く呟き、剣を握り直した。



次の瞬間、光と炎がぶつかり合い、轟音が戦場を覆った。


「ハァァァァッ!!」

聖剣の光が一直線に俺へと迫る。
その瞬間、全身の毛穴が総立ちになった。

(ヤベェ……これは正面から受けたら終わる!)

咄嗟に、俺は体を低く沈め、足にオーガの膂力を込めて地面を蹴った。
凄まじい爆風が背後で炸裂し、土と石が宙を舞う。

「速いな……!」
隊長の瞳が鋭く光る。



「悠斗!」
リーネの声が響いた。
彼女は詠唱を完了し、氷の槍を幾重にも生み出す。

「氷槍連弾!」

無数の氷槍が隊長へと殺到する。
だが、光を纏った聖剣が一閃されただけで、氷槍は粉々に砕け散った。

「ちっ……防がれたか!」

「油断するな、リーネ!」
俺は叫びながら剣を振るい、再び前に飛び込む。



『従属者の記録を確認――能力同期強制開始』

視界に走る閃光。
俺はあえて複数の能力を一度に引き出した。
炎と雷、剣技と俊敏、そして治癒の魔力。

一瞬、体が悲鳴を上げた。
だが同時に、爆発的な速度と威力が俺を突き動かす。

「喰らえええっ!!」

剣を振り下ろす。
炎を纏った斬撃と雷鳴が重なり、光の壁を押し返した。



「ぬぅっ……!」
隊長が歯を食いしばり、聖剣を構え直す。

その時だった。

「主ぃぃ! 私のノートチェックを忘れないでぇぇ!」

桜井先生の悲鳴が頭に流れ込んできた。
途端に、俺の集中が乱れ、剣先がぶれる。

「くっそ、またかよ!」
意識の端で、桜井の性格が押し寄せる。
真剣勝負の最中に“ノート提出”だの“授業サボりたい”だの――くだらねぇ思考が混ざり込む。

「隙あり!」

隊長の聖剣が俺の頬を掠め、血が飛んだ。



「悠斗!!」
リーネが駆け寄ろうとする。
だが俺は片手を挙げて制した。

「来るな……! これは俺の戦いだ!」

傷口から血が滴り落ちる。
だがその痛みが、逆に俺を正気へと引き戻した。

(……そうだ。これは、俺の力。俺が制御するしかない)



「隊長!」
周囲の騎士たちが声を上げる。

「まだ終わらん!」
隊長は剣を掲げ、光をさらに増幅させる。
聖剣の輝きが、空そのものを裂かんばかりに広がっていく。

俺もまた、剣を握り直し、胸の奥で力を解放した。
炎、雷、剣技、膂力、治癒――すべてを重ね合わせ、ただ一撃に込める。

「決着だ……!」
「来い、反逆者!」

二つの力が激突する直前、戦場に凄まじい閃光が走った――。



__________________


後書き

ここまで読んでくださってありがとうございます!

第41話では「騎士団」との激突が始まりました。
悠斗は従属スキルの複合能力で圧倒しつつも、“性格リスク”に翻弄され隙を見せます。
そして騎士団隊長が“聖剣術”を発動し、戦場はさらに緊迫。

次回は、この一騎打ちが本格的に描かれていきます。
ぜひご期待ください!
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