クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました

髙橋ルイ

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第2章:王都に蠢く影、交錯する運命

第48話:揺れる信頼

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金属音が止み、戦場には異様な静寂が広がっていた。
数十人の王都兵が一斉に武器を手放し、膝をついて沈黙している。
その中心で、俺は荒い息を吐きながら地面に手をついた。

(……やっちまった……)

脳裏には、知らない剣技や防御姿勢、兵士たちの記憶や雑念が入り混じって響いている。
頭が割れるように痛い。だが、周囲の視線の方がもっと重くのしかかってきた。



「……ありえねぇ……」
誰かが震える声で呟いた。

「軍勢を……一度に……」
「人間じゃねぇ……」

クラスメイトたちの視線は、恐怖と嫌悪に染まっていた。
勇者候補の佐伯 蓮司ですら、剣を握りしめる手が小さく震えている。

「……高宮。お前は、何なんだ」

低く絞り出した声。
その問いに答える言葉は、俺にはなかった。



「違う!」

緊張に包まれた空気を破るように、美咲が立ち上がった。
顔は青ざめているのに、声だけは揺らがない。

「悠斗くんは、そんなつもりでやったんじゃない! ……みんなを守るために……!」

「美咲、お前……」
「正気か? どう見たって怪物だろ!」
「次は俺たちまで従属させるんじゃねぇのか!?」

次々と投げられる声。
だが美咲は怯まず、拳を握って叫んだ。

「それでも……私は信じる! 悠斗くんは……悠斗くんだから!」



その横で、リーネは黙って彼女を見ていた。
炎を思わせる赤い瞳がわずかに揺れ、唇がきつく結ばれる。

(……彼女……やっぱり悠斗を……)

だが口には出さない。
ただ、美咲の“迷いなき信頼”が、胸の奥に鋭く突き刺さるように感じられた。



「……俺たちはもう限界だ」
蓮司が低く言った。
「これ以上、悠斗と一緒にいれば……俺たちまで終わる」

「っ……!」
美咲が何か言いかけたとき――

「宿題忘れるなよぉぉ!!」

場の空気を一瞬でぶち壊す声が、頭の奥から響いた。
桜井先生だ。俺のスキルに従属しているせいで、脳内にまで割り込んできている。

「今それ言うなぁぁぁぁ!!」
俺は思わず絶叫した。

兵士もクラスメイトも唖然とし、空気はさらに混乱に包まれた。



俺は拳を握り、膝をついたままうなだれる。
(……やっぱりこの力……俺にとっても毒だ……)

リーネがそっと肩に手を置いた。
「悠斗……無理をしないで。あなたは一人じゃない」

その言葉に、横で美咲も頷く。
「そうだよ、悠斗くん……私は、ずっと信じてる」

二人の視線が交錯した。
そこには言葉にできない緊張――互いの想いを感じ取った火花が、確かにあった。



静寂の中で、蓮司が深く息を吐いた。
「……わかった。今は退く。けど覚えておけ、高宮。次は敵として剣を向けることになるかもしれない」

クラスメイトたちは一人、また一人と背を向ける。
そして最後に、美咲だけが振り返り、揺れる声で告げた。

「私は……残るから」

その決意の言葉が、戦場の空気に重く響いた。



__________________

後書き

ここまで読んでくださってありがとうございます!

第48話では、悠斗が「軍勢を一斉に従属」という暴走を見せたことで、クラスメイトたちが恐怖に陥りました。
しかし美咲は迷わず彼を信じると叫び、リーネはその想いを感じ取り――二人の間に見えない火花が走ります。

一方で、桜井先生の“宿題ボケ”が緊迫を台無しにするなど、シリアスとギャグのバランスも健在です。

次回は、美咲の「残る」という決断がどんな波紋を広げるのか。
リーネとの関係、そして王国本隊との対決へと続いていきます。
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