クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました

髙橋ルイ

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第2章:王都に蠢く影、交錯する運命

第50話:暴走の果てに

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轟音が大地を揺らす。
数百人もの兵が一斉に槍を突き出し、こちらへと押し寄せてくる。
砂煙が視界を覆い、地面が震えた。

「……はぁ、数が桁違いだな」
俺は小さく舌打ちし、剣を握り直した。



「悠斗、無理はしないで」
リーネが鋭い瞳で前を見据える。

「悠斗くん……私も戦う」
美咲は震えていたが、それでも真っ直ぐに俺を見た。

二人の視線が交錯し、火花のような空気が漂う。
だが俺にその余裕はなかった。

「……来るぞ!」



軍勢の波が一気に押し寄せた。
剣戟が響き、槍が閃き、炎と矢が飛び交う。
俺は前に出て、ひとりまたひとりと兵を倒していった。

だが数が多すぎる。
押し寄せる圧力に、意識がじりじりと削られていく。

(……やべぇ、このままじゃ……)



その瞬間――

『命令を確認――従属開始』

頭の奥で、聞き覚えのある声が響いた。
次の瞬間、俺の視界に光が溢れる。

「……っ!?」

兵士たちの瞳が一斉に赤く染まり、動きが止まった。
槍を構えたまま硬直し――やがて全員が、地面に膝をついた。

「なっ……」
「何だこれ……」
クラスメイトたちが絶句する。

数百の王都兵が、一斉に俺へと頭を垂れていた。



「……嘘、でしょ」
リーネの顔が強張る。

「悠斗くん……」
美咲は恐怖と驚愕に震えながらも、俺を見つめ続けた。

だが、俺自身が一番混乱していた。

(……全員、従属……? 勝手に、暴走して……!)

頭の中に、数百人分の記憶や声が一斉に流れ込んでくる。
剣の振り方、槍の突き方、兵士としての規律や恐怖……。
混ざり合い、俺の思考を塗り潰していく。

(……これ以上は……っ!)

「悠斗!」
リーネの声が届いた。

「悠斗くん、しっかり!」
美咲も叫ぶ。

二人の声が、混濁する意識をわずかに引き戻した。



俺は歯を食いしばり、両手を地面に叩きつける。

「――解除だ!!」

命令が響いた瞬間、兵士たちの瞳が元に戻り、次々と崩れ落ちた。
気絶しているが、命はある。

静寂。
戦場に、風の音だけが残った。



「はぁ……はぁ……っ……」
俺は荒い息を吐き、額から汗を流した。

「悠斗……」
リーネが駆け寄り、俺の肩を支える。

「悠斗くん……無事で……」
美咲が震える声で言い、すぐ隣に膝をついた。

二人の間に漂う空気は、互いを意識して火花を散らす。
その中心にいる俺は、ただ息を整えるしかなかった。

(……これが、俺の力……。チートなんかじゃねぇ。ただの呪いだ)



遠くで炎が消え、戦場は完全に静けさを取り戻す。
だが誰もが理解していた。

今日の戦いは、終わりではなく始まりだということを。



__________________

後書き

ここまで読んでくださってありがとうございます!

第50話は、第2章のクライマックス。
悠斗の使役スキルが暴走し、ついに「王都軍全員を従属」させてしまいました。
圧倒的な力と同時に、自我を飲み込まれるほどのリスク。

美咲は残る決意を固め、リーネとの対立はより鮮明に。
この三者関係が、物語をさらに複雑にしていきます。

次回から第3章に突入。
タイトルは――「揺れる絆、迫る真実」
戦いの余韻から一転、信頼と疑念、そしてスキルの正体に迫る物語が描かれていきます。
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