クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました

髙橋ルイ

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第3章:揺れる絆、迫る真実

第59話:戦いの余波と揺れる選択

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戦場を吹き抜ける風が、血と鉄の匂いをさらっていく。
谷は荒れ果て、岩は砕け、地面には兵士たちが残した武器が散乱していた。

「……終わったのか」
思わず呟いた俺の声は、やけに乾いていた。

剣を突き立てたまま、俺は地面に腰を下ろす。
膝から力が抜け、今にも倒れそうだった。



「悠斗」
リーネが肩を支えてくれる。
彼女の赤い瞳は鋭さを残しつつも、どこか安堵の色を帯びていた。

「もう立たなくていい。……今は休んで」

「そうしたいけどな」
苦笑を返す。
だがその視線の先には、倒れ込む一人の姿があった。

「……拓真」



気を失ったままのクラスメイト、佐藤拓真さとうたくま
俺と同じ教室にいたはずの少年が、いまは敵として戦場に立ち――そして捕らわれの身になっている。

「悠斗くん……」
美咲が不安げに声をかける。
「彼、どうするの……?」

その問いに、俺は答えられなかった。



「王都へ戻せば……処刑だろうな」
リーネの言葉は冷徹だった。
「だが、ここに残すにしても、彼が王国に忠誠を誓っていたなら……裏切られる可能性もある」

「……そう、だけど」
美咲は唇を噛み、揺れる瞳をこちらに向けてくる。
「それでも……同じクラスメイトだよ。捨てるなんてできない」

「美咲……」

彼女の必死の声に、リーネは沈黙した。
炎と氷のように正反対の二人の想いが、俺の胸を締めつける。



「……俺が決める」
静かにそう言った。

リーネと美咲、二人の視線が同時に俺に注がれる。

「拓真は……このまま置いていくわけにも、王都に戻すわけにもいかない。
 だから――連れて行く」

「えっ……!」
美咲が目を見開く。

「危険すぎる!」
リーネが即座に反論する。
「彼が裏切ったら、あなたの命も――」

「それでもだ」
俺は遮るように言った。
「……俺は、クラスメイトを見捨てることはできない」



しばし沈黙が流れる。
やがてリーネは目を閉じ、深く息を吐いた。

「……わかった。ただし、私が監視する」

「ありがとう」

「悠斗くん……」
美咲は胸に手を当て、小さく頷いた。

三人の間に漂う空気は決して穏やかではなかったが、それでも決断は下された。



その夜、焚火の傍らで拓真を横たえながら、俺は星空を見上げた。
満天の光の中に、なぜか遠い日の教室の光景が浮かぶ。

笑い合う声。くだらない授業。放課後の雑談――。
それが、もう二度と戻らないもののように思えて、胸が締めつけられた。

(……本当に、俺は間違ってないのか?)



一方その頃、王都。

玉座の間に集うのは、重鎮たちの影。
国王の前で、宰相が声を張り上げた。

「精鋭騎士団、壊滅……。兵の大半が従属に飲み込まれ、戦意を喪失しました」

「馬鹿な……」
王の拳が玉座を叩き、響き渡る。
「軍勢を一度に支配するなど、あり得ぬ……!」

「ですが、事実にございます」
宰相は冷ややかに言い放つ。
「もはや兵を送るだけでは、奴を止めることはできません」

「では……どうする」

宰相の瞳が細く光る。
「――勇者候補を、本格的に投入するしかないでしょう」



遠い王都の陰謀を知らぬまま、俺たちは眠れぬ夜を過ごしていた。
揺れる炎に照らされながら、リーネと美咲の瞳はそれぞれに複雑な光を宿していた。

そして、眠る拓真の表情は――何を夢見ているのか、誰にもわからなかった。



__________________

後書き

ここまで読んでくださりありがとうございます!

第59話では、「戦いの余波」と「拓真の扱い」が描かれました。
リーネは危険視し、美咲は信じようとする――二人の想いの間で悠斗が決断を下し、拓真を連れていくことに。

一方王都では、ついに「勇者候補の本格投入」という不穏な策が動き始めました。

次回は、拓真が目を覚ました後のやり取りと、勇者候補たちの姿が本格的に描かれていきます。
ぜひご期待ください!
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