クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました

髙橋ルイ

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第3章:揺れる絆、迫る真実

第61話:勇者候補の影

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朝霧が谷を覆い、冷たい風が頬を撫でた。
夜明けと共に戦場の匂いも薄れ、静寂が広がっている。

だが心は、決して穏やかではなかった。

「勇者候補を……本格的に、だと?」
俺は低く呟いた。

木々の間から現れた王国の使者は、にやりと笑みを浮かべる。
「恐れるのは当然だろう。貴様の異能に対抗できるのは、勇者候補たちしかいない。
 佐伯 蓮司……彼はすでに“聖剣術”を受け継ぎつつある」

「聖剣術……」
リーネの赤い瞳が鋭く細まる。
「さっきの隊長すら凌駕するというの……?」

「いずれ分かる。だが忠告しておこう。次は逃げ場などない」

そう言い残し、使者は森の闇へと姿を消した。



「悠斗……」
美咲が顔を強張らせる。
「蓮司くんと……また、戦うことになるの?」

「そのつもりだろうな」
俺は拳を握りしめた。
「勇者候補ってのは、王国が最後に残した切り札だ。
 あいつらを本気でぶつけてくるってことは……俺を完全に排除するつもりってことだ」



「……高宮」
拓真が口を開いた。
まだ体は完全に回復していないはずだが、その目は真剣だった。

「俺も……戦う。裏切ることはもうしない。
 あいつらが来るなら……せめて、俺が止める役目を果たさせてくれ」

「拓真……」

リーネが厳しい眼差しを向ける。
「口では何とでも言える。信じるかどうかは悠斗が決めること」

俺は短く息を吐き、拓真を見据えた。
「だったら証明してみろ。俺の隣で、最後まで立ち続けろ」

「……あぁ」
拓真は深く頷いた。



その夜。

焚火の炎を見つめながら、美咲が小さく呟いた。
「……クラスで過ごした日々が、こんなふうに敵同士になるなんて思わなかった」

「俺もだ」
俺は星を仰ぎ、静かに言う。
「だけどもう、後戻りはできねぇ。あいつらと戦うしかない」

リーネは黙って剣を磨いていた。
ただ横顔には、強い決意の影が差していた。



一方その頃、王都。

厳かな祭壇の間に、数人の若者の影が並んでいた。
黄金の装飾に囲まれた壇上に、国王と宰相が立つ。

「――佐伯 蓮司」

呼ばれた勇者候補は、静かに膝をついた。
その瞳には、かつての学園で見せた柔らかさはなかった。

「高宮 悠斗。奴を討てるのはお前たちしかおらぬ」

「……承知しました」
蓮司の声は低く、迷いはなかった。

その背後には、数名のクラスメイトの姿もあった。
彼らは複雑な表情を浮かべつつも、王国の庇護のもとで生きる道を選んでいた。



「次は……容赦はしない」
蓮司は剣を握りしめ、心の奥で固く誓った。

その決意が、やがて戦場で悠斗と激突することになる。



「……眠れねぇな」
俺は焚火を見つめ、低く呟いた。

胸の奥では、かつての教室の記憶と、今の戦場の現実が激しくせめぎ合っていた。

(……蓮司。美咲。拓真。……そしてリーネ)

揺れる炎の向こうに、それぞれの顔が浮かぶ。
俺は拳を強く握りしめた。

「必ず……自分の意思で生き抜いてみせる」

夜空に誓いが溶けていった。



__________________

後書き

ここまで読んでくださりありがとうございます!

第61話では、勇者候補たちの本格投入が明かされました。
蓮司は王都の庇護下で完全に「勇者」として立ち、悠斗を討つ覚悟を固めます。

一方で悠斗は、拓真を受け入れつつも不安を抱え、仲間との絆を確かめ合う夜を過ごしました。

次回、第62話はいよいよ「勇者候補との再会」。
友と敵、信頼と疑念が正面から衝突する局面に入っていきます。

どうぞご期待ください!
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