クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました

髙橋ルイ

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第3章:揺れる絆、迫る真実

第81話:裏切り者との刃

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霧の中に響く蹄の音。
谷を見下ろす崖の上に、黒装束の一団が現れた。
鋭い視線がこちらを射抜き、獲物を逃がすまいと構えている。

「やっぱり……お前が呼んだんだな、拓真!」
蓮司の怒声が戦場を震わせる。

拓真は立ち上がり、剣を抜いた。
その目はかつての同級生を見ていなかった。
ただ――“敵”を見ていた。

「俺はな……最初からお前らとは違ぇんだよ」



「拓真、何を言ってるの……!」
美咲の震える声が響く。
涙がにじむ瞳で、必死に問いかけていた。

「一緒に戦ってきたでしょ!? それなのに……!」

「うるせぇ!」
拓真の怒声が切り裂く。
「俺はずっと見てきた! 悠斗ばっかり特別扱いされて……! 俺がどんな思いしてたか分かるか!?」

「特別扱い……?」
リーネが目を細める。
「あなたがしたのは、嫉妬にすぎない」



「黙れ!」
拓真は叫び、剣を振り下ろす。
その刃は俺に向かって一直線に迫ってきた。

「悠斗……! 避けて!」
美咲の叫び。

俺は剣を抜き、受け止めた。
火花が散り、耳を裂くような衝撃が走る。

「……嫉妬? だから裏切ったのか」
「裏切り? 俺はただ、生き残る道を選んだだけだ!」



剣と剣が打ち合うたびに、互いの顔が近づく。
その眼差しは、もうかつてのクラスメイトではなかった。

「お前が……全部従えて、強くなって……! 俺は、ずっと、影だ!」

「そんな理由で……!」
俺は怒鳴り返した。
「仲間を売るのが正しいってのかよ!」

「正しいさ! 王都に与すれば、少なくとも俺は生き残れる!」



その言葉に、蓮司が一歩踏み出す。
「ふざけるな、拓真! お前は……!」

だがその瞬間、崖上の黒装束たちが一斉に矢を放った。

「散れッ!」
蓮司が叫ぶ。
俺たちはそれぞれ岩陰に飛び込む。

矢が突き刺さり、火花が散る。
混戦の幕が開けた。



「悠斗!」
リーネが詠唱を完成させ、氷壁を展開する。
迫る矢を防ぎ、視界を確保した。

「美咲、下がってろ!」
「でも……悠斗くんが!」
「いいから!」

俺は叫び、再び拓真へと向き直る。

「裏切り者……ここで決着をつける」



拓真の目が赤く濁ったように見えた。
狂気と嫉妬が混ざり、鋭い刃となって俺へ迫る。

剣と剣がぶつかり合い、火花が霧を照らす。

(……もう、避けられねぇ)

俺は胸の奥に力を呼び覚まし、剣を強く握りしめた。

「……ここで、お前を止める!」



__________________

後書き

ここまで読んでくださりありがとうございます!

第81話では、ついに「拓真の裏切り」が明確に描かれ、悠斗との直接対決が始まりました。
かつての同級生同士が敵となり、そこへ黒装束の一団が介入。
戦場はさらなる混乱と緊張に包まれています。

次回、第82話では――
拓真との戦闘が激化し、“使役スキル”が新たな局面を迎えます。
果たして悠斗は仲間を守れるのか、それとも自我を失うのか――。
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