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第3章:揺れる絆、迫る真実
第85話:断絶する声
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◇
黒装束との小競り合いが一段落した頃。
霧の中、倒れ伏した兵たちの呻き声だけが響いていた。
俺は剣を下ろし、荒い息を吐いた。
背後では、従属した拓真がうつろな目で膝をついている。
「……命令を……待つ……」
その機械的な声が、場の空気を凍りつかせた。
◇
「ふざけるなよ」
静かな怒声が背を刺した。
振り返ると、蓮司が剣を握りしめていた。
その眼差しは怒りと嫌悪に満ち、かつての友情を欠片も残していなかった。
「こいつは裏切り者だ。お前を売ったんだぞ。それを従属してまで“守る”だと? ……狂ってる」
「……蓮司」
「お前がどんな力を持とうと構わねぇ。だが仲間を支配してまで庇うなんて……人のやることじゃねぇ!」
◇
「違う!」
美咲が叫んだ。
「悠斗くんは……誰も殺さなかった! 生きてるからこそ、まだやり直せるんだよ!」
「甘いんだよ、美咲!」
蓮司の声が鋭く切り裂く。
「やり直す? そいつはもう自分の意思すらねぇ! 駒に成り下がったんだ!」
◇
「……でも、それでも」
リーネが低い声で口を開いた。
「悠斗は殺すよりも“従える”ことを選んだ。それが彼の答えよ」
「リーネ……」
俺は息を呑む。
だが蓮司は剣を掲げ、こちらを指した。
「なら、俺は俺の答えを見せる! その裏切り者を斬る!」
◇
「やめろ、蓮司!」
俺は咄嗟に立ち塞がる。
剣を交える寸前で、火花が散った。
「退け、悠斗!」
「嫌だ! こいつは俺が背負う!」
「背負うだと? 支配して縛りつけてるだけだろ!」
蓮司の怒声が響く。
そのたびに、俺の胸はえぐられるように痛んだ。
◇
「悠斗くん……」
美咲が涙をこぼす。
「お願い……やめて、二人とも……!」
「悠斗……あなた……」
リーネも唇を噛み、赤い瞳を揺らしていた。
◇
俺と蓮司の剣は、今にもぶつかりそうだった。
その瞬間――
「……命令を……待つ……」
拓真のうつろな声が再び響いた。
静寂。
誰もが、その異様な存在感に息を呑んだ。
◇
「……ほら見ろ」
蓮司が吐き捨てる。
「こいつはもう人じゃねぇ。ただの怪物だ」
「……違う」
俺は低く呟き、剣を握り直した。
「人間だ。……俺が、そう信じる限りは」
◇
その言葉に、蓮司の表情がさらに険しくなる。
仲間を守るための剣が――仲間を裂くために交わろうとしていた。
◇
__________________
後書き
ここまで読んでくださりありがとうございます!
第85話では「拓真をめぐる対立」が爆発しました。
悠斗は従属した拓真を仲間と呼び、蓮司は怪物だと断じる。
二人の価値観は完全に食い違い、剣が交わろうとする緊迫の場面に。
次回、第86話では――
ついに「悠斗 vs 蓮司」の衝突が描かれます。
クラスメイト同士の対立は、取り返しのつかない一線を越えてしまうのか。
黒装束との小競り合いが一段落した頃。
霧の中、倒れ伏した兵たちの呻き声だけが響いていた。
俺は剣を下ろし、荒い息を吐いた。
背後では、従属した拓真がうつろな目で膝をついている。
「……命令を……待つ……」
その機械的な声が、場の空気を凍りつかせた。
◇
「ふざけるなよ」
静かな怒声が背を刺した。
振り返ると、蓮司が剣を握りしめていた。
その眼差しは怒りと嫌悪に満ち、かつての友情を欠片も残していなかった。
「こいつは裏切り者だ。お前を売ったんだぞ。それを従属してまで“守る”だと? ……狂ってる」
「……蓮司」
「お前がどんな力を持とうと構わねぇ。だが仲間を支配してまで庇うなんて……人のやることじゃねぇ!」
◇
「違う!」
美咲が叫んだ。
「悠斗くんは……誰も殺さなかった! 生きてるからこそ、まだやり直せるんだよ!」
「甘いんだよ、美咲!」
蓮司の声が鋭く切り裂く。
「やり直す? そいつはもう自分の意思すらねぇ! 駒に成り下がったんだ!」
◇
「……でも、それでも」
リーネが低い声で口を開いた。
「悠斗は殺すよりも“従える”ことを選んだ。それが彼の答えよ」
「リーネ……」
俺は息を呑む。
だが蓮司は剣を掲げ、こちらを指した。
「なら、俺は俺の答えを見せる! その裏切り者を斬る!」
◇
「やめろ、蓮司!」
俺は咄嗟に立ち塞がる。
剣を交える寸前で、火花が散った。
「退け、悠斗!」
「嫌だ! こいつは俺が背負う!」
「背負うだと? 支配して縛りつけてるだけだろ!」
蓮司の怒声が響く。
そのたびに、俺の胸はえぐられるように痛んだ。
◇
「悠斗くん……」
美咲が涙をこぼす。
「お願い……やめて、二人とも……!」
「悠斗……あなた……」
リーネも唇を噛み、赤い瞳を揺らしていた。
◇
俺と蓮司の剣は、今にもぶつかりそうだった。
その瞬間――
「……命令を……待つ……」
拓真のうつろな声が再び響いた。
静寂。
誰もが、その異様な存在感に息を呑んだ。
◇
「……ほら見ろ」
蓮司が吐き捨てる。
「こいつはもう人じゃねぇ。ただの怪物だ」
「……違う」
俺は低く呟き、剣を握り直した。
「人間だ。……俺が、そう信じる限りは」
◇
その言葉に、蓮司の表情がさらに険しくなる。
仲間を守るための剣が――仲間を裂くために交わろうとしていた。
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後書き
ここまで読んでくださりありがとうございます!
第85話では「拓真をめぐる対立」が爆発しました。
悠斗は従属した拓真を仲間と呼び、蓮司は怪物だと断じる。
二人の価値観は完全に食い違い、剣が交わろうとする緊迫の場面に。
次回、第86話では――
ついに「悠斗 vs 蓮司」の衝突が描かれます。
クラスメイト同士の対立は、取り返しのつかない一線を越えてしまうのか。
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