クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました

髙橋ルイ

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第4章:奈落の影、揺るがぬ誓い

第107話:孤独な防衛線

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大地を揺らす足音。
槍と鎧がぶつかる重苦しい音。
森の奥から姿を現したのは、王国本隊――数百に及ぶ精鋭の軍勢だった。

村を背に立つ俺の前で、砂煙が渦を巻く。
手は汗で滑りそうだ。だが、心は決まっていた。

「……来い」

俺の呟きが風に溶けた瞬間、軍勢の号令が響き渡った。

「突撃――!」



槍兵の列が一斉に走り出す。
地響きのような圧迫感に、村人たちの悲鳴が背後から聞こえた。

「悠斗くん!」
美咲が叫ぶ。
「やめて……一人でなんて無理だよ!」

「……大丈夫だ」
振り返らず、短く答える。

俺の視線はただ、前方の軍勢だけに注がれていた。



(守るって決めた。だから……退かねぇ!)

胸の奥が熱を帯び、再び声が響く。

『命令を確認――従属開始』

視界に赤い光が走り、先陣の兵士たちの動きが一瞬止まった。
だが、今は暴走させるつもりはない。

「俺は……俺の意思で使う!」

赤い瞳が光を放ち、剣に黒鎖が絡みつく。



「ふっ!」

踏み込みと同時に、鎖を纏った剣を振り下ろす。
轟音と共に大地が裂け、槍兵の列が弾き飛んだ。

「な、なんだこの力は!」
「ひ、人じゃねぇ……!」

恐怖の声が広がるが、隊列は止まらない。
後方から魔導士たちが詠唱を重ね、炎と雷が降り注ぐ。



「リーネ!」
俺が叫ぶより早く、彼女の詠唱が完成した。

「――氷壁展開!」

巨大な氷の壁が立ち上がり、魔法を受け止める。
轟音が響き、砕け散る氷片が戦場を舞った。

「悠斗! 時間は稼ぐ! けど長くは持たない!」

「わかってる!」



背後では、美咲が必死に村人たちを避難させていた。
「早く! こっちへ!」
涙声で叫びながら、それでも立ち止まらない。

その姿を横目に、俺は拳を握りしめた。

(……一人じゃねぇ。俺は“守られてる”。だから戦える!)



槍兵が再び列を組み直し、突撃してくる。
俺は地面を蹴り、黒鎖を纏った剣を振り抜いた。

轟音と共に閃光が走り、兵士たちの列が再び崩れる。

それでも――終わりは見えなかった。



(……どれだけ倒しても、押し寄せてくる。
だが退く気はねぇ。ここが、俺の防衛線だ!)

「――かかってこい!」

血と炎に染まる戦場で、俺は孤独な防衛戦を続けていた。



__________________

後書き

ここまで読んでくださりありがとうございます!

第107話では「悠斗が単独で本隊を迎え撃つ防衛戦」の幕開けを描きました。

村を背に立ち、絶対に退かないと誓う悠斗

美咲は必死に村人を避難させ、リーネは氷魔法で援護

悠斗は“暴走ではなく、意思による従属”を使い始める

次回は、さらに押し寄せる軍勢の中で “影従隊”の本格投入 が描かれます。
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