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5章
155話 オールスター大集合
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「……いました」
「あまりいきなり撃つってのはいけない気がするけど」
「……アカメさん、でも?」
「宣戦布告にはちょうどいいですかね」
此方も双眼鏡で向こうを確認しつつ、状況を見る。
一番マークしなければいけない相手を早々に見つけて唾を付けておけるのはかなりいい。
この廃墟マップ、問題としてはやはり建造物の多さだろう、視界も悪いのであまり深入りすると不意打ちを確実貰うか。合わせて言えばどんな罠を仕掛けてるかも分からない。
あれこれ考える程めんどくさい相手ですね。
「マスター、別クラン……って言うか鍛冶クランの連中とぶつかりました!」
「あそことはあまりぶつかりたくなかったですね」
「あと、もう一つ、ドワーフのタンクが先導している所も接近してます!」
「やはり大きい所ばかり残ってますね……仕方ありません、各個撃破されないようにしつつ、廃墟街の中心に、東側に行きますか」
大きいクランと相手するのはとにかくすり減っていくので今ここで大きくぶつかるのは得策ではない。三つ巴状態ではあるが、さらに大きいクランもある訳だから、それがさらに近づいてくる可能性だってある。
ある程度の陣地構築はしたが、大人数で攻められると軽く足止めさせる程度しか機能しない。またこのイベントがあった場合には建築スキルなんてものも考えておこう。あるかどうかは別としてだが。
「中々大詰めじゃないですかね」
ふふっと笑いながら後退指示を飛ばし、廃墟の方へと向かう。
廃墟と言うか、市街地はあまり戦い慣れていない。
うちのクラン員はそんなにがっつりゲームをしている人が少ないのもあるけど、平原だったり林や森とは違う立ち回りをしなきゃならない。
あの爆発炎上事件で大分削られて、その後に中規模、大規模クランとの戦闘も経て、人数は多少削れてきたが、ポーションの数もどうにか持つし、やっとここまで来たってのに。
「南側にあの犬紳士のクランがいますね」
「東に向かって撃ってたのを見たから東にも敵がいるけど、あんな遠距離攻撃する必要あるのかな」
それに一発だけ撃って、すぐに移動をし始めてるのも考えたら何かしらの牽制か?それとも、先手を打ったって事なんだろうか、どちらにせよ、東の方に進行しているので並走して均衡状態を保ちつつ、乱戦に持ち込めば、勝ち目はある。
「って言うか、何でこんなに勝ちたいんだろ」
明らかに理由はあの目つきの悪いドラゴニアンのせいなんだけど、あのままやられっぱなしで舐められると言うか下に見られるのは癪と言うか、男として情けない。一人前ではないが、認められたいって相手ではあるから、負けたくはない。
そもそも対人してるのに勝ちを狙わないってのは対戦コンテンツに参加するべきじゃないか……うわー、なんか考え方も汚染されてない?
「とにかく並走追撃、斥候は無理しない程度に、もう一つ強い所が接近してるから、そっちにも注意して」
クラン員の返事を聞き、頷いて、犬紳士と呼ばれるプレイヤーのクランと並走しながら睨み合いを続ける。
「正直、こんな所まで来れるとは思ってなかったよねー」
「まあ、そうだな」
「ふ、ふひ、か、刀の、さ、さ、錆びに、し、してやるう」
「はーい、ステイステイ、折角ここまで来たんだし勝ちたいよね」
大きい釘の付いた丸太に、物干し竿とかいうレベルじゃないくらいに長い刀、肩に担いで持たないと振り回せないくらいに大きいチョッパー……人の趣味ってとやかく言いたくないけど、バリエーション豊かだわぁ……私?私は棘付きの鉄球だけど何か?
「浪漫武器持って参加しよって言ったけど、ここまで浪漫武器が通用するって思わなかったわー」
「まあ、それでも対人メインじゃないんで、やっぱり弱い所は多いけど」
そこは火力でごまかせばよくない?
力こそパワーなんだからね、DEXが低いから直撃してもいい感じにダメージでなかったりするけど、それでも超火力出るんだから、弱くないよ?
「そのうちビーム刃のサーベルとかほしいなあ」
「マスターはSF好きすぎじゃない?」
「サブマスは美的センスが悪い」
「トカゲの旦那は面白みがない」
あいつはここが、そいつはあれが、どいつもこいつも癖がありすぎよ。
「はいはい、そこまで、一番かっこよくて強いのは私って決まってるから、不毛な争いはやめようね」
「SF馬鹿のマスターが言う権利なくね」
「しかもキワモノばっかり、大型ペンチとか影響されすぎだし」
うっせー!需要あんだぞこっちは!
「これで武器売れればいいけど、自分の気に行った武器売るのなんか惜しいんだよなー」
結局生産職って職人気質なのもあるけど、我儘じゃないとやってらんないなあ。
「お得意様の犬紳士を倒すのはちょーっと、ほんのちょーーーっと、気が引けるけど、宣伝ならしゃーないね!あれの防具作ったのうちにいったっけ?」
「まあ、自分の最高傑作なんで、そうそう抜けないですけど?」
「じゃあ、大したことねーわ!」
これこれ、仲間内で喧嘩するのはおよしなさい。
「すげえ集結してねえかな」
また屋根の上に登ってさっきよりも身を低く、葉巻も酒もしない状態で双眼鏡で辺りを確認。
位置ばれしたけど、基本近接でもあるこのゲームなら頭出してても特に問題ない。落下ダメージはあるけど、撃たれた方向から屋根の反対側に回ってるし一応対策してるけど。
『やっぱマイカ、戻って来なさい?』
『えー』
『流石に大きいクランが来てるし、単騎突撃するのはやめた方がいいかな』
『東側からも来てるな、やっぱりこの辺で最終決戦だな』
『予想以上に残ってるのよねー、小~中規模のクランはまあまあ侵入して強襲掛けてるっぽいし』
屋根から落ちた後、音を頼りにこの家に入って罠にかかってやられた奴がいる程なので、大きいのは大きいので、小さいのは小さいので動いているようだ。
細かいのがどうやって潰されるのか、大手に対抗するかがポイントになるわけだが、他のクランとも連携取らんかったからどう対抗してるのか分からんな。
そういえば何人か白旗なり手を上げていたような気がする……あれって交渉役って事だったんだろうか?そのまま胴体を鳳仙花で撃ちぬいたわ。
「あれは悪い事した、うん。ちょっとだけ覚えておいてやろう」
おしゃべり忍者のように、このイベント中だけ反省してやるか。
まあそもそも、対人戦でそんな交渉事するのに丸腰で目の前に来たら、私なら撃つしか選択肢はないって。案の定ポーション持ってないし、銃弾±0だったし、何一つ美味しくない相手だったが。
『ずっと疲弊待ちしてるわね、このイベント』
『楽して勝てるのならいいじゃろ』
『あんたはもう勝とうが負けようが私の財布握ってるじゃない』
『その分はちゃんと働くから安心せい』
『あたし、訓練場みたいなのほしいなー!』
『……私の言う事聞くか、今から100ポを数スタック持ってきたら、私の庭にあんたの訓練場なり好きなもん作ってやるわよ』
『賭け事が上手いのか、乗せるのが上手いのか』
『あんたたちのボスは優しいでしょ』
飛んできた魔法を避けると同時に、自分がいた屋根が吹き飛んでいく。
余波なのか、狙ってきたのかは分からんが、そろそろ私達も動いて戦場をかき回すとしよう。
「さて、と……せっかくの罠もこれまでだったけど……針金はまだ使い所あるわよね」
自作有刺鉄線とかよく作れたわ、私。
『大きいクランのいない東南側に向かって、その道中の奴は、根殺しにするわよ』
『了解』
『はーい』
ため込んだ物資ってのは使ってなんぼよ。
「あまりいきなり撃つってのはいけない気がするけど」
「……アカメさん、でも?」
「宣戦布告にはちょうどいいですかね」
此方も双眼鏡で向こうを確認しつつ、状況を見る。
一番マークしなければいけない相手を早々に見つけて唾を付けておけるのはかなりいい。
この廃墟マップ、問題としてはやはり建造物の多さだろう、視界も悪いのであまり深入りすると不意打ちを確実貰うか。合わせて言えばどんな罠を仕掛けてるかも分からない。
あれこれ考える程めんどくさい相手ですね。
「マスター、別クラン……って言うか鍛冶クランの連中とぶつかりました!」
「あそことはあまりぶつかりたくなかったですね」
「あと、もう一つ、ドワーフのタンクが先導している所も接近してます!」
「やはり大きい所ばかり残ってますね……仕方ありません、各個撃破されないようにしつつ、廃墟街の中心に、東側に行きますか」
大きいクランと相手するのはとにかくすり減っていくので今ここで大きくぶつかるのは得策ではない。三つ巴状態ではあるが、さらに大きいクランもある訳だから、それがさらに近づいてくる可能性だってある。
ある程度の陣地構築はしたが、大人数で攻められると軽く足止めさせる程度しか機能しない。またこのイベントがあった場合には建築スキルなんてものも考えておこう。あるかどうかは別としてだが。
「中々大詰めじゃないですかね」
ふふっと笑いながら後退指示を飛ばし、廃墟の方へと向かう。
廃墟と言うか、市街地はあまり戦い慣れていない。
うちのクラン員はそんなにがっつりゲームをしている人が少ないのもあるけど、平原だったり林や森とは違う立ち回りをしなきゃならない。
あの爆発炎上事件で大分削られて、その後に中規模、大規模クランとの戦闘も経て、人数は多少削れてきたが、ポーションの数もどうにか持つし、やっとここまで来たってのに。
「南側にあの犬紳士のクランがいますね」
「東に向かって撃ってたのを見たから東にも敵がいるけど、あんな遠距離攻撃する必要あるのかな」
それに一発だけ撃って、すぐに移動をし始めてるのも考えたら何かしらの牽制か?それとも、先手を打ったって事なんだろうか、どちらにせよ、東の方に進行しているので並走して均衡状態を保ちつつ、乱戦に持ち込めば、勝ち目はある。
「って言うか、何でこんなに勝ちたいんだろ」
明らかに理由はあの目つきの悪いドラゴニアンのせいなんだけど、あのままやられっぱなしで舐められると言うか下に見られるのは癪と言うか、男として情けない。一人前ではないが、認められたいって相手ではあるから、負けたくはない。
そもそも対人してるのに勝ちを狙わないってのは対戦コンテンツに参加するべきじゃないか……うわー、なんか考え方も汚染されてない?
「とにかく並走追撃、斥候は無理しない程度に、もう一つ強い所が接近してるから、そっちにも注意して」
クラン員の返事を聞き、頷いて、犬紳士と呼ばれるプレイヤーのクランと並走しながら睨み合いを続ける。
「正直、こんな所まで来れるとは思ってなかったよねー」
「まあ、そうだな」
「ふ、ふひ、か、刀の、さ、さ、錆びに、し、してやるう」
「はーい、ステイステイ、折角ここまで来たんだし勝ちたいよね」
大きい釘の付いた丸太に、物干し竿とかいうレベルじゃないくらいに長い刀、肩に担いで持たないと振り回せないくらいに大きいチョッパー……人の趣味ってとやかく言いたくないけど、バリエーション豊かだわぁ……私?私は棘付きの鉄球だけど何か?
「浪漫武器持って参加しよって言ったけど、ここまで浪漫武器が通用するって思わなかったわー」
「まあ、それでも対人メインじゃないんで、やっぱり弱い所は多いけど」
そこは火力でごまかせばよくない?
力こそパワーなんだからね、DEXが低いから直撃してもいい感じにダメージでなかったりするけど、それでも超火力出るんだから、弱くないよ?
「そのうちビーム刃のサーベルとかほしいなあ」
「マスターはSF好きすぎじゃない?」
「サブマスは美的センスが悪い」
「トカゲの旦那は面白みがない」
あいつはここが、そいつはあれが、どいつもこいつも癖がありすぎよ。
「はいはい、そこまで、一番かっこよくて強いのは私って決まってるから、不毛な争いはやめようね」
「SF馬鹿のマスターが言う権利なくね」
「しかもキワモノばっかり、大型ペンチとか影響されすぎだし」
うっせー!需要あんだぞこっちは!
「これで武器売れればいいけど、自分の気に行った武器売るのなんか惜しいんだよなー」
結局生産職って職人気質なのもあるけど、我儘じゃないとやってらんないなあ。
「お得意様の犬紳士を倒すのはちょーっと、ほんのちょーーーっと、気が引けるけど、宣伝ならしゃーないね!あれの防具作ったのうちにいったっけ?」
「まあ、自分の最高傑作なんで、そうそう抜けないですけど?」
「じゃあ、大したことねーわ!」
これこれ、仲間内で喧嘩するのはおよしなさい。
「すげえ集結してねえかな」
また屋根の上に登ってさっきよりも身を低く、葉巻も酒もしない状態で双眼鏡で辺りを確認。
位置ばれしたけど、基本近接でもあるこのゲームなら頭出してても特に問題ない。落下ダメージはあるけど、撃たれた方向から屋根の反対側に回ってるし一応対策してるけど。
『やっぱマイカ、戻って来なさい?』
『えー』
『流石に大きいクランが来てるし、単騎突撃するのはやめた方がいいかな』
『東側からも来てるな、やっぱりこの辺で最終決戦だな』
『予想以上に残ってるのよねー、小~中規模のクランはまあまあ侵入して強襲掛けてるっぽいし』
屋根から落ちた後、音を頼りにこの家に入って罠にかかってやられた奴がいる程なので、大きいのは大きいので、小さいのは小さいので動いているようだ。
細かいのがどうやって潰されるのか、大手に対抗するかがポイントになるわけだが、他のクランとも連携取らんかったからどう対抗してるのか分からんな。
そういえば何人か白旗なり手を上げていたような気がする……あれって交渉役って事だったんだろうか?そのまま胴体を鳳仙花で撃ちぬいたわ。
「あれは悪い事した、うん。ちょっとだけ覚えておいてやろう」
おしゃべり忍者のように、このイベント中だけ反省してやるか。
まあそもそも、対人戦でそんな交渉事するのに丸腰で目の前に来たら、私なら撃つしか選択肢はないって。案の定ポーション持ってないし、銃弾±0だったし、何一つ美味しくない相手だったが。
『ずっと疲弊待ちしてるわね、このイベント』
『楽して勝てるのならいいじゃろ』
『あんたはもう勝とうが負けようが私の財布握ってるじゃない』
『その分はちゃんと働くから安心せい』
『あたし、訓練場みたいなのほしいなー!』
『……私の言う事聞くか、今から100ポを数スタック持ってきたら、私の庭にあんたの訓練場なり好きなもん作ってやるわよ』
『賭け事が上手いのか、乗せるのが上手いのか』
『あんたたちのボスは優しいでしょ』
飛んできた魔法を避けると同時に、自分がいた屋根が吹き飛んでいく。
余波なのか、狙ってきたのかは分からんが、そろそろ私達も動いて戦場をかき回すとしよう。
「さて、と……せっかくの罠もこれまでだったけど……針金はまだ使い所あるわよね」
自作有刺鉄線とかよく作れたわ、私。
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