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久しぶりの観劇
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傾きはじめた陽が窓辺をやわらかく照らし、
磨き上げられたテーブルに、紅茶の影を落としている。
ゆらりと立ちのぼる湯気。
その横に並ぶ、生チョコの小箱。
ほのかに残る、甘く深いカカオの香り。
「まさか、あのマリエッタが厨房で菓子作りとはな」
向かいから、呆れ半分の声。
当然のようにひとつ摘ままれる。
ぱくり。
「……ん。美味い」
舌先で確かめるようにゆっくり味わい、
カップの縁を指でなぞり、ふと目を細めた。
そのまま視線がこちらに留まる。
昔から変わらない、遠慮のない目。
「さっきから何?」
問いかけても、目は逸れない。
「別に」
そう言うくせに、目が笑っている。
そして、少しだけ真面目な顔になる。
「お前」
低い声。
子供のころ、悪戯を叱られる直前に聞いた声と同じ響き。
「笑い方が戻ったな」
――え。
「婚約してからは、いつも口元だけだった」
さらりと続ける。
「今は、目が動く」
胸の奥が、きゅっとなる。
母が静かに紅茶を置いた。
「淑女教育は、徹底していましたものね」
あの頃の私は、
“公爵令嬢”でいることが最優先だった。
姿勢も。
言葉遣いも。
視線の角度さえ。
笑い方まで、教え込まれた。
向かいの視線は、昔からずっとそれを見ていた。
少し身を乗り出し、まっすぐこちらを見る。
「今のほうが自然だ」
迷いのない声。
「あの方との婚約がなくなって、正解だったな」
空気が、ほんの少しだけ冷える。
けれど私は、ゆっくり微笑んだ。
「私は今、幸せよ」
まっすぐに。
一瞬の沈黙。
「……ランデル子息か」
わずかに落ちる声の温度。
「とても大事にされてるの」
それだけで十分だった。
長い吐息。
「ならいい」
短い言葉。
けれど、その奥にある警戒は、昔から変わらない。
「もし何かあれば言え。俺が殺る」
思わず吹き出してしまう。
母も肩を揺らした。
「久しぶりに観劇でも行かないか?」
「観劇?」
胸が、ぱっと弾む。
「行く!」
即答。
楽しそうな笑い声が落ちる。
「やっぱり戻っているな」
「なにがですの」
「昔のお前だ」
ぽん、と頭に置かれる手。
乱れた前髪を整えるように、くしゃりと撫でられる。
懐かしい重み。
子供のころ、泣いたときも。
転んだときも。
何かあれば必ず、そこにあった手。
少し照れる。
でも、嫌じゃない。
むしろ、安心する。
その温もりがまだ残ったまま、私は席を立った。
⸻
久しぶりの観劇。
馬車に揺られながら、
夕暮れに染まりはじめた街を眺める。
石畳に灯りが落ち、
店先のランタンが次々とともる。
やがて見えてくる、劇場の大きな影。
入口には華やかな人の波。
ドレスの裾が揺れ、紳士の杖が石畳を鳴らす。
劇場の灯りが視界に入った瞬間、
胸がきゅっと高鳴った。
子供の頃のように。
気づけば歩幅が少し速くなる。
隣から、低い声が落ちる。
「……今のほうが、いい」
独り言のように。
聞こえなかったふりをする。
けれど胸の奥が、あたたかくなる。
⸻
席に着き、ざわめきがゆっくりと静まる。
やがて。
幕が上がる。
重たい緞帳がゆっくりと引かれ、
舞台に金色の光が落ちる。
楽団の弦が、静かに震えた。
最初に現れたのは、幼い頃の二人。
庭を駆け回る影。
笑い声。
交わる視線。
――両想いだ。
観客席のあちこちで、くすりと小さな笑いが起こる。
光が移ろい、
子供たちの影が消え、
代わりに成長した青年が現れる。
震える手で、花を差し出す。
「ずっと、好きだった」
掠れる声。
けれど彼女は視線を逸らす。
白い顔。
揺れる指先。
背後に重なる医師の囁き。
余命わずか。
照明が冷たく落ちる。
「ごめんなさい」
彼女は笑う。
泣きそうなのに、笑う。
彼を縛りたくないから。
愛しているから。
胸が、締めつけられる。
やがて彼女は倒れる。
暗転。
次に灯ったのは、青白い光。
青年は闇魔術師の前に膝をついている。
「代償は?」
「命だ」
劇場の空気が凍る。
躊躇いは、一瞬。
彼は頷く。
黒い液体が瓶へと満ちていく。
それは、彼の生命力。
指が、少しずつ骨ばっていく。
呼吸が、浅くなる。
それでも彼は笑う。
「彼女によく効く薬だ」
優しい声で、嘘をつく。
私は思わず拳を握る。
舞台上で季節が巡る。
彼女は回復していく。
頬に血色が戻り、
歩く足取りが軽くなる。
最後の薬の日。
舞台には、彼女だけが立っている。
扉が開く。
けれど現れたのは、彼ではない。
黒衣の闇魔術師。
「今日は……彼の代わりに届けに来た」
差し出される、最後の瓶。
彼女は受け取り、静かに問いかける。
「今日は来られないの?」
答えはない。
彼女は瓶を傾ける。
それを、闇魔術師は黙って見届ける。
空になった瓶が、彼女の手の中で軽くなる。
「……もう来ない」
低い声。
「これは、あの男の生命だった」
その瞬間。
彼女の指から力が抜ける。
空になった瓶が石床へ落ちる。
鋭い音が、劇場中に響く。
照明が一気に落ちる。
彼女が膝をつき、
声にならない叫びをあげる。
「どうして……」
返事はない。
暗転。
静寂。
楽団の弦が、低く、長く震える。
緞帳が、ゆっくりと下りる。
拍手が起きる。
けれど私は、拍手できなかった。
手が、震えていた。
胸の奥が、ひどく痛い。
そんな。
そこまでしなくても。
でも――
そこまでしてしまう想い。
涙が、止まらない。
⸻
横から、静かな声。
「ほら、いくぞ。美味しい夕食を食べに行こう」
差し出された手。
ぐしゅぐしゅのまま、掴む。
立ち上がるとき、
そっとハンカチが押しつけられる。
「……泣きすぎだ」
「だって……!」
言い返そうとして、また涙が滲む。
劇場を出る夜風が、ひやりと頬を撫でる。
「ほら、おいで」
ぐい、と腕を引かれ、
そのまま胸元に抱き寄せられる。
大きな手が、ゆっくりと頭を撫でる。
昔と同じように。
優しい。
胸の奥が、じんわり温まる。
――そのとき。
背後から、低い声。
「……楽しそうだな」
撫でられていた手が止まる。
胸が、ひやりとする。
聞き間違えるはずがない。
磨き上げられたテーブルに、紅茶の影を落としている。
ゆらりと立ちのぼる湯気。
その横に並ぶ、生チョコの小箱。
ほのかに残る、甘く深いカカオの香り。
「まさか、あのマリエッタが厨房で菓子作りとはな」
向かいから、呆れ半分の声。
当然のようにひとつ摘ままれる。
ぱくり。
「……ん。美味い」
舌先で確かめるようにゆっくり味わい、
カップの縁を指でなぞり、ふと目を細めた。
そのまま視線がこちらに留まる。
昔から変わらない、遠慮のない目。
「さっきから何?」
問いかけても、目は逸れない。
「別に」
そう言うくせに、目が笑っている。
そして、少しだけ真面目な顔になる。
「お前」
低い声。
子供のころ、悪戯を叱られる直前に聞いた声と同じ響き。
「笑い方が戻ったな」
――え。
「婚約してからは、いつも口元だけだった」
さらりと続ける。
「今は、目が動く」
胸の奥が、きゅっとなる。
母が静かに紅茶を置いた。
「淑女教育は、徹底していましたものね」
あの頃の私は、
“公爵令嬢”でいることが最優先だった。
姿勢も。
言葉遣いも。
視線の角度さえ。
笑い方まで、教え込まれた。
向かいの視線は、昔からずっとそれを見ていた。
少し身を乗り出し、まっすぐこちらを見る。
「今のほうが自然だ」
迷いのない声。
「あの方との婚約がなくなって、正解だったな」
空気が、ほんの少しだけ冷える。
けれど私は、ゆっくり微笑んだ。
「私は今、幸せよ」
まっすぐに。
一瞬の沈黙。
「……ランデル子息か」
わずかに落ちる声の温度。
「とても大事にされてるの」
それだけで十分だった。
長い吐息。
「ならいい」
短い言葉。
けれど、その奥にある警戒は、昔から変わらない。
「もし何かあれば言え。俺が殺る」
思わず吹き出してしまう。
母も肩を揺らした。
「久しぶりに観劇でも行かないか?」
「観劇?」
胸が、ぱっと弾む。
「行く!」
即答。
楽しそうな笑い声が落ちる。
「やっぱり戻っているな」
「なにがですの」
「昔のお前だ」
ぽん、と頭に置かれる手。
乱れた前髪を整えるように、くしゃりと撫でられる。
懐かしい重み。
子供のころ、泣いたときも。
転んだときも。
何かあれば必ず、そこにあった手。
少し照れる。
でも、嫌じゃない。
むしろ、安心する。
その温もりがまだ残ったまま、私は席を立った。
⸻
久しぶりの観劇。
馬車に揺られながら、
夕暮れに染まりはじめた街を眺める。
石畳に灯りが落ち、
店先のランタンが次々とともる。
やがて見えてくる、劇場の大きな影。
入口には華やかな人の波。
ドレスの裾が揺れ、紳士の杖が石畳を鳴らす。
劇場の灯りが視界に入った瞬間、
胸がきゅっと高鳴った。
子供の頃のように。
気づけば歩幅が少し速くなる。
隣から、低い声が落ちる。
「……今のほうが、いい」
独り言のように。
聞こえなかったふりをする。
けれど胸の奥が、あたたかくなる。
⸻
席に着き、ざわめきがゆっくりと静まる。
やがて。
幕が上がる。
重たい緞帳がゆっくりと引かれ、
舞台に金色の光が落ちる。
楽団の弦が、静かに震えた。
最初に現れたのは、幼い頃の二人。
庭を駆け回る影。
笑い声。
交わる視線。
――両想いだ。
観客席のあちこちで、くすりと小さな笑いが起こる。
光が移ろい、
子供たちの影が消え、
代わりに成長した青年が現れる。
震える手で、花を差し出す。
「ずっと、好きだった」
掠れる声。
けれど彼女は視線を逸らす。
白い顔。
揺れる指先。
背後に重なる医師の囁き。
余命わずか。
照明が冷たく落ちる。
「ごめんなさい」
彼女は笑う。
泣きそうなのに、笑う。
彼を縛りたくないから。
愛しているから。
胸が、締めつけられる。
やがて彼女は倒れる。
暗転。
次に灯ったのは、青白い光。
青年は闇魔術師の前に膝をついている。
「代償は?」
「命だ」
劇場の空気が凍る。
躊躇いは、一瞬。
彼は頷く。
黒い液体が瓶へと満ちていく。
それは、彼の生命力。
指が、少しずつ骨ばっていく。
呼吸が、浅くなる。
それでも彼は笑う。
「彼女によく効く薬だ」
優しい声で、嘘をつく。
私は思わず拳を握る。
舞台上で季節が巡る。
彼女は回復していく。
頬に血色が戻り、
歩く足取りが軽くなる。
最後の薬の日。
舞台には、彼女だけが立っている。
扉が開く。
けれど現れたのは、彼ではない。
黒衣の闇魔術師。
「今日は……彼の代わりに届けに来た」
差し出される、最後の瓶。
彼女は受け取り、静かに問いかける。
「今日は来られないの?」
答えはない。
彼女は瓶を傾ける。
それを、闇魔術師は黙って見届ける。
空になった瓶が、彼女の手の中で軽くなる。
「……もう来ない」
低い声。
「これは、あの男の生命だった」
その瞬間。
彼女の指から力が抜ける。
空になった瓶が石床へ落ちる。
鋭い音が、劇場中に響く。
照明が一気に落ちる。
彼女が膝をつき、
声にならない叫びをあげる。
「どうして……」
返事はない。
暗転。
静寂。
楽団の弦が、低く、長く震える。
緞帳が、ゆっくりと下りる。
拍手が起きる。
けれど私は、拍手できなかった。
手が、震えていた。
胸の奥が、ひどく痛い。
そんな。
そこまでしなくても。
でも――
そこまでしてしまう想い。
涙が、止まらない。
⸻
横から、静かな声。
「ほら、いくぞ。美味しい夕食を食べに行こう」
差し出された手。
ぐしゅぐしゅのまま、掴む。
立ち上がるとき、
そっとハンカチが押しつけられる。
「……泣きすぎだ」
「だって……!」
言い返そうとして、また涙が滲む。
劇場を出る夜風が、ひやりと頬を撫でる。
「ほら、おいで」
ぐい、と腕を引かれ、
そのまま胸元に抱き寄せられる。
大きな手が、ゆっくりと頭を撫でる。
昔と同じように。
優しい。
胸の奥が、じんわり温まる。
――そのとき。
背後から、低い声。
「……楽しそうだな」
撫でられていた手が止まる。
胸が、ひやりとする。
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