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窓を開けて寝ていたせいか小鳥たちの囀る声で目を覚ました私。
この宿は海から近い事もあって窓から波の音が聞こえてくる。

まだ朝も早いし、浜まで行ってみようかな。

波の音を聞きながら素振りでもすれば気分も晴れそう!私はそう思い立ち、さっと着替えて帯剣する。もちろん早朝なので安全を考えてローブも仮面も付けていく。護衛も一人付いて来てくれるようだ。

「シャロアお嬢様、早朝の海で鍛錬するのは気持ちいですね」
「そうね。こんなにも気持ちいものだとは思わなかったわ」

私達が打ち合いを一頻りした後、浜辺の先の方で何やら不穏な声が聞こえてくる。
どうやらこちらに向かってくる様子。私も護衛も仮面をしっかりと被り直しその場で様子を窺っていると。

一人の若い男を守るように三人の護衛らしき人物が六人の襲撃者と対峙している。

「クリフ様! お逃げ下さいっ」
「逃がすか! アイツを殺せ!!」

私は護衛と目を合わせ頷き合う。

ここは助けるべきだろう。

二人で走り出し、剣を抜いて参戦する。突然の加勢に驚いた襲撃者達は一瞬動きを止めた。

今だ!

私は躊躇なく相手に斬りかかる。護衛も息を合わせたように襲撃者を斬った。私達が隙を突いた事で形勢が逆転し、どうやら護衛対象者は守られたようだ。

「ありがとう、助かったよ」

襲われていた男は二十台後半くらいだろうか。長身で剣を所持しているが強そうには思えない。

「お礼をしたいのだが……」

彼が私達にそう話す。
もちろん私達は何の関係もない。むしろお節介をしただけなのでお礼など考えてはいなかった。私と護衛は視線を合わせて確認する。

「俺達はたまたま通りかかり、勝手に手伝っただけだ。礼は無用」

護衛が私の代わりに話をし、剣についた血を拭き取り剣を鞘にしまうと、サッとその場をあとにした。彼らは特に付いてくることはないようだ。

護衛騎士は怪我しているようには見えなかったが、私達が襲撃者の命を断ったため、事後処理は必要だろう。
私達は面倒ごとから逃げたと言ってもいい。


私達が宿に戻ると母達は起きていたようだ。
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