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「シャロア、遅かったじゃない。……どうしたのっ!? ローブに血が付いているわ!?」
私は気づいていなかったけれど、どうやら返り血がローブにかかっていたみたい。
「お母様、汚してしまって申し訳ありません。すぐにローブを洗います」
「何かあったの?」
母が心配そうに聞いてきたので先ほど浜辺であったことを詳しく話して聞かせた。確か護衛騎士が叫んでいたのはクリフ様という名前。
もちろんクリフという名前はよくいる名前だし、隣国の貴族の顔は分からないため誰を助けたのかは分からない。
母は心配そうにしながらもまぁ、機会があれば向こうから出向いてくるでしょうとそれ以上の話を聞く事は無かった。
その後、ワンピースに着替えて母と観光を楽しんだ。浜辺には沢山の貝が落ちていて拾ってみた。旅の思い出にはちょうどいいと思うの。
波の音はどこまでも穏やかでささくれ立った気持ちや記憶を忘れさせてくれる。
「お母様、そろそろ別の都市に行ってみてもいいかしら?」
「あら、ここは気に入らなかったの?」
「いえ、素晴らしい街です。ですが、この浜辺で座り、波の音を聞いていると廃人になりそうな気がするのです。何もしたくない、ただ眺めていたくなる。働く意欲が無くなってしまう気がして……」
母は頬笑みながら話した。
「それでいいんじゃない? だってシャロアは無駄な浪費をしなければ生涯何もせずに暮らせるほどのお金を王家から貰っているのだもの」
「それでは駄目な気がするのです。多少なりとも働いていたい、動いていたいのです。何もしないということに罪悪感を感じる気がするのです」
「まぁ、分からなくはないわ。我が家は剣術を極めてきたのだもの。常に動いていたいわよね。次はどこの街か決めているの?」
「第三の王都と呼ばれているクロシューロルに行ってみようかと思っています。旅も楽しいのですが、そこの街を訪れてみてどこに定住するか決めようと思っています」
「それがいいわ。大きな街であれば治安も良いし、働き口も沢山あるもの。クロシューロルは確か王都から少し北に行った街だったわよね。一旦王都へ寄ってそのままクロシューロルへ向かいましょう」
「はい。お母様」
私はまた気持ちを切り替えて宿に戻り、荷物を詰めた。といってもこの海辺の街に来てそれほど日にちが経っているわけではないから荷物を纏めるのも簡単だった。
翌日からはまた来た道を戻る形で王都に発った私達。行きは初めての道でドキドキしていたけれど、二回目ともなると安心して通れた。
今回は途中の村で宿泊する時に村の雰囲気も楽しんだ。立ち寄った村はどこも人が少なく、顔見知りで村の治安は良いそうだ。時折保養で貴族たちがエレナの街に向かう際中に立ち寄り、問題を起こしていくことはあるようだが。
これくらい治安の良い村が多いのなら街で暮らさなくても村でも良いような気もしてくる。母としては心配しかないと思うが。
王都に戻ってきた私達は前回同様に門番に質問され、答えた。今回も何事もなく通り過ぎようとした時、私達の馬車は止められてしまった。
何故止められてしまったのかさっぱり分からずに不安になる私達。
しばらく馬車内で待機させられた後、王城から護衛騎士が私達の馬車を取り囲み、城へ連行されることとなった。
理由も告げられず城に連れてこられた母は湯浴みがしたいと怒っていたわ。
連行されるがまま城の謁見の間に連れてこられた私達。
謁見の間にはダーウィル国の王様と王妃様、宰相、王太子が既に居たわ。
私達はその意図が分からず、混乱していたけれど、とりあえず国王陛下の前なのでミローナ国の礼をする。
「よい。楽にしてくれ」
「一つ確認したいのだが、お主たちは隣国ミローナの王家の剣と言われているエレゲン伯爵夫人とその娘シャロア嬢でよいか?」
宰相は私達に確認するように聞いてきた。
「はい、相違ございません」
母が代表して答えた。
私は気づいていなかったけれど、どうやら返り血がローブにかかっていたみたい。
「お母様、汚してしまって申し訳ありません。すぐにローブを洗います」
「何かあったの?」
母が心配そうに聞いてきたので先ほど浜辺であったことを詳しく話して聞かせた。確か護衛騎士が叫んでいたのはクリフ様という名前。
もちろんクリフという名前はよくいる名前だし、隣国の貴族の顔は分からないため誰を助けたのかは分からない。
母は心配そうにしながらもまぁ、機会があれば向こうから出向いてくるでしょうとそれ以上の話を聞く事は無かった。
その後、ワンピースに着替えて母と観光を楽しんだ。浜辺には沢山の貝が落ちていて拾ってみた。旅の思い出にはちょうどいいと思うの。
波の音はどこまでも穏やかでささくれ立った気持ちや記憶を忘れさせてくれる。
「お母様、そろそろ別の都市に行ってみてもいいかしら?」
「あら、ここは気に入らなかったの?」
「いえ、素晴らしい街です。ですが、この浜辺で座り、波の音を聞いていると廃人になりそうな気がするのです。何もしたくない、ただ眺めていたくなる。働く意欲が無くなってしまう気がして……」
母は頬笑みながら話した。
「それでいいんじゃない? だってシャロアは無駄な浪費をしなければ生涯何もせずに暮らせるほどのお金を王家から貰っているのだもの」
「それでは駄目な気がするのです。多少なりとも働いていたい、動いていたいのです。何もしないということに罪悪感を感じる気がするのです」
「まぁ、分からなくはないわ。我が家は剣術を極めてきたのだもの。常に動いていたいわよね。次はどこの街か決めているの?」
「第三の王都と呼ばれているクロシューロルに行ってみようかと思っています。旅も楽しいのですが、そこの街を訪れてみてどこに定住するか決めようと思っています」
「それがいいわ。大きな街であれば治安も良いし、働き口も沢山あるもの。クロシューロルは確か王都から少し北に行った街だったわよね。一旦王都へ寄ってそのままクロシューロルへ向かいましょう」
「はい。お母様」
私はまた気持ちを切り替えて宿に戻り、荷物を詰めた。といってもこの海辺の街に来てそれほど日にちが経っているわけではないから荷物を纏めるのも簡単だった。
翌日からはまた来た道を戻る形で王都に発った私達。行きは初めての道でドキドキしていたけれど、二回目ともなると安心して通れた。
今回は途中の村で宿泊する時に村の雰囲気も楽しんだ。立ち寄った村はどこも人が少なく、顔見知りで村の治安は良いそうだ。時折保養で貴族たちがエレナの街に向かう際中に立ち寄り、問題を起こしていくことはあるようだが。
これくらい治安の良い村が多いのなら街で暮らさなくても村でも良いような気もしてくる。母としては心配しかないと思うが。
王都に戻ってきた私達は前回同様に門番に質問され、答えた。今回も何事もなく通り過ぎようとした時、私達の馬車は止められてしまった。
何故止められてしまったのかさっぱり分からずに不安になる私達。
しばらく馬車内で待機させられた後、王城から護衛騎士が私達の馬車を取り囲み、城へ連行されることとなった。
理由も告げられず城に連れてこられた母は湯浴みがしたいと怒っていたわ。
連行されるがまま城の謁見の間に連れてこられた私達。
謁見の間にはダーウィル国の王様と王妃様、宰相、王太子が既に居たわ。
私達はその意図が分からず、混乱していたけれど、とりあえず国王陛下の前なのでミローナ国の礼をする。
「よい。楽にしてくれ」
「一つ確認したいのだが、お主たちは隣国ミローナの王家の剣と言われているエレゲン伯爵夫人とその娘シャロア嬢でよいか?」
宰相は私達に確認するように聞いてきた。
「はい、相違ございません」
母が代表して答えた。
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