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「ライ、ライはいるかしら?」
「はっ。マレナ嬢の話を聞いていたわね?あれは材料ではないのかしら?薬に関して進展はあったの?」
「はい。ソフマン子爵で栽培されている植物こそが『悪魔の涙』の主原料となっております。入手ルートについても公爵家の侍女から騎士など複数人を仲介し陛下殺害をした所までは掴んでおります。ソフマン子爵までは辿り着いておりましたが、子爵と公爵で交わしている書面など証拠を入手しようと動いている所でした」
「そう。よかったわ。子爵家が寝返ったなら早いわね。子爵に従者募集をさせて影を従者として送って頂戴」
「承知致しました。必ず動かぬ証拠を挙げてまいります」
ライはそう言うと、また闇に溶けていく。
――クレア、騎士団を動かすのか?
騎士団でどこまで情報を掴んでいるか、ですね。彼等からはまだ報告がないですから。そう思うとやはり影は優秀ですわ。証拠を掴み次第、騎士団に突入させますわ。あと、夫人の確保ですわね。
――そうだな。公爵家の手の者がどこまで城に入っているか。騎士団の腕の見せどころだな。
こうして二人の話し合いは静かな闇に消えていった。
その数日後、影からソフマン子爵が協力態勢に入ったと連絡があった。私はいつものように早朝から執務をしていると、ロダを始め、側近達がいつものように出勤してくる。
「ロダ、来て早々だけれど、第一騎士団長と副官、王宮魔導士筆頭を呼んで頂戴。あと、アーロンも、ねっ」
「承知致しました」
ロダはすぐに騎士団長と副官、王宮魔導士筆頭を呼びに行った。いつもとは違う雰囲気に四人は私を見ている。
「クレア陛下、彼等を呼び出すとは何かあったのでしょうか」
ミカルが気を遣うように口を開いた。
「えぇ、団長達が集まり次第話をするわ。これはみんなにも関わる事だからきちんと聞いて欲しいの」
三人とも分かりましたと頷いた。そしてすぐに彼等は執務室へとやってきた。
「お待たせしました」
団長と副官、アーロン、王宮魔導士筆頭は礼を執り、私は手を挙げて応えると、魔導士筆頭は部屋に防音結界を張った。その様子から一気に緊張が高まる。
「朝から突然呼び出して申し訳ないわね。モラン団長、兄の殺害に関わった者、裏で手を引いている者は分かったかしら?」
「はっ。現在捜査中ですが、途中経過を報告させていただきますと、複数人を経由して首謀者を隠しておりましたが尋問の結果、カミーロ公爵が浮上しております。ただ、公爵家の力は相当な物ですので慎重に捜査を勧めている所です。相手は手強く、確たる証拠はまだ掴め切れておりません」
私と団長のやり取りに元側近の二人が息を呑む。彼等も知りたい情報に違いない。私は全ての情報ではないけれど、ライからの情報を纏めた紙をモラン団長に渡した。目を通した後、副官、筆頭魔導士、アーロン、ロダ、側近三人へと紙は回され、みな目を通す。
一様に苦い表情をしている。
「影からの報告よ。カミーロ公爵は派閥や従者を使い、弱みを握って勢力を伸ばし、王家の乗っ取りを企んでいる。そうして兄は殺されたわ。残念ながらカミーロ公爵の手の者は今も相当数城に入り込んでいるわ。影では追いきれない人物もいるかもしれないわね。確たる証拠を掴み次第、騎士団は公爵邸に突入をしてほしいの。その前に、魔導士を連れてソフマン子爵夫人のいる場所を探して欲しいの。確実に、安全に、確保しなければならない。イクセル、ミカルは文官の中でカミーロ公爵の手の者を重要な物に触れないように配置換えをして頂戴。ナーヤは、「えぇ。同じ派閥だもの。何人かはすぐに対処するわ」」
私の言葉を待つ間もなくナーヤは答えた。
「お願いね。ナーヤは特に奥さんが狙われているわ。暫く邸から出ないようにするのと、侍女であっても全ての情報一切が洩れないようにして頂戴。ロダは従者、侍女をお願い。バルトロ副官、貴方は騎士団の者を見張って。特に団長達が手にする資料の管理は厳しく、ね。アーロンは私の護衛だから分かっているとは思うけれど、これから命の危険が格段に上がるわ。心して頂戴。質問はあるかしら?」
「フェルト、魔導士で公爵家に縁のある者を急いで洗い出して頂戴。そして対処を」
騎士とは違い、魔導士は魔法を得意としているため特殊魔法を使用して繋がりを作っている可能性があるのだ。そこをなんとしても排除していきたい。
「子爵夫人の確保を急がれる理由をお聞きしても?」
王宮筆頭魔導士のフェルトが質問する。
「えぇ。ソフマン子爵は大事な協力者なの。夫人を人質に取られている。夫人は病を患っているらしいので今、どういう状況に置かれているかも不明よ」
フェルト筆頭魔導士もモラン団長も夫人の置かれた状況を理解し頷いていた。緊張感に包まれた執務室。ある程度執務室にいる者達に説明を終えると、それぞれが苦い表情をしながら思考の海へと潜っているようだ。
彼等の頭の中にはどう指示をしていこうかと考えを巡らせているのだろう。防音結界を解いて団長と副官、筆頭魔導士には持ち場に戻るように促す。
「クレア陛下、大嵐が来そうね。嫌だわ。お城が壊れちゃわないように窓に木の板でも打ち付けておかないとね」
「ふふっ、そうね。窓ガラスで怪我をしないようにしなければね」
そうして私は執務に戻り、側近達は各々指示を出しに部屋を出ていった。敵から命を狙われる恐怖。本当なら今すぐにでも執務も投げ出して逃げてしまいたい。怖い。でも、兄の敵を打つのは私しか居ない。
――クレア、大丈夫だ。儂もついておる。
……グラン様。
――いざとなったら冤罪でも何でもでっち上げて武力で制圧すればよい。まぁ、あの資料を見るに真っ黒だろうが。
私は弱気になっていた。これから家族を殺した者と対峙するというのに。でも、私には支えてくれる人達がいる。しっかりしないと。そう自分を奮い立たせて執務に取り掛かった。
「はっ。マレナ嬢の話を聞いていたわね?あれは材料ではないのかしら?薬に関して進展はあったの?」
「はい。ソフマン子爵で栽培されている植物こそが『悪魔の涙』の主原料となっております。入手ルートについても公爵家の侍女から騎士など複数人を仲介し陛下殺害をした所までは掴んでおります。ソフマン子爵までは辿り着いておりましたが、子爵と公爵で交わしている書面など証拠を入手しようと動いている所でした」
「そう。よかったわ。子爵家が寝返ったなら早いわね。子爵に従者募集をさせて影を従者として送って頂戴」
「承知致しました。必ず動かぬ証拠を挙げてまいります」
ライはそう言うと、また闇に溶けていく。
――クレア、騎士団を動かすのか?
騎士団でどこまで情報を掴んでいるか、ですね。彼等からはまだ報告がないですから。そう思うとやはり影は優秀ですわ。証拠を掴み次第、騎士団に突入させますわ。あと、夫人の確保ですわね。
――そうだな。公爵家の手の者がどこまで城に入っているか。騎士団の腕の見せどころだな。
こうして二人の話し合いは静かな闇に消えていった。
その数日後、影からソフマン子爵が協力態勢に入ったと連絡があった。私はいつものように早朝から執務をしていると、ロダを始め、側近達がいつものように出勤してくる。
「ロダ、来て早々だけれど、第一騎士団長と副官、王宮魔導士筆頭を呼んで頂戴。あと、アーロンも、ねっ」
「承知致しました」
ロダはすぐに騎士団長と副官、王宮魔導士筆頭を呼びに行った。いつもとは違う雰囲気に四人は私を見ている。
「クレア陛下、彼等を呼び出すとは何かあったのでしょうか」
ミカルが気を遣うように口を開いた。
「えぇ、団長達が集まり次第話をするわ。これはみんなにも関わる事だからきちんと聞いて欲しいの」
三人とも分かりましたと頷いた。そしてすぐに彼等は執務室へとやってきた。
「お待たせしました」
団長と副官、アーロン、王宮魔導士筆頭は礼を執り、私は手を挙げて応えると、魔導士筆頭は部屋に防音結界を張った。その様子から一気に緊張が高まる。
「朝から突然呼び出して申し訳ないわね。モラン団長、兄の殺害に関わった者、裏で手を引いている者は分かったかしら?」
「はっ。現在捜査中ですが、途中経過を報告させていただきますと、複数人を経由して首謀者を隠しておりましたが尋問の結果、カミーロ公爵が浮上しております。ただ、公爵家の力は相当な物ですので慎重に捜査を勧めている所です。相手は手強く、確たる証拠はまだ掴め切れておりません」
私と団長のやり取りに元側近の二人が息を呑む。彼等も知りたい情報に違いない。私は全ての情報ではないけれど、ライからの情報を纏めた紙をモラン団長に渡した。目を通した後、副官、筆頭魔導士、アーロン、ロダ、側近三人へと紙は回され、みな目を通す。
一様に苦い表情をしている。
「影からの報告よ。カミーロ公爵は派閥や従者を使い、弱みを握って勢力を伸ばし、王家の乗っ取りを企んでいる。そうして兄は殺されたわ。残念ながらカミーロ公爵の手の者は今も相当数城に入り込んでいるわ。影では追いきれない人物もいるかもしれないわね。確たる証拠を掴み次第、騎士団は公爵邸に突入をしてほしいの。その前に、魔導士を連れてソフマン子爵夫人のいる場所を探して欲しいの。確実に、安全に、確保しなければならない。イクセル、ミカルは文官の中でカミーロ公爵の手の者を重要な物に触れないように配置換えをして頂戴。ナーヤは、「えぇ。同じ派閥だもの。何人かはすぐに対処するわ」」
私の言葉を待つ間もなくナーヤは答えた。
「お願いね。ナーヤは特に奥さんが狙われているわ。暫く邸から出ないようにするのと、侍女であっても全ての情報一切が洩れないようにして頂戴。ロダは従者、侍女をお願い。バルトロ副官、貴方は騎士団の者を見張って。特に団長達が手にする資料の管理は厳しく、ね。アーロンは私の護衛だから分かっているとは思うけれど、これから命の危険が格段に上がるわ。心して頂戴。質問はあるかしら?」
「フェルト、魔導士で公爵家に縁のある者を急いで洗い出して頂戴。そして対処を」
騎士とは違い、魔導士は魔法を得意としているため特殊魔法を使用して繋がりを作っている可能性があるのだ。そこをなんとしても排除していきたい。
「子爵夫人の確保を急がれる理由をお聞きしても?」
王宮筆頭魔導士のフェルトが質問する。
「えぇ。ソフマン子爵は大事な協力者なの。夫人を人質に取られている。夫人は病を患っているらしいので今、どういう状況に置かれているかも不明よ」
フェルト筆頭魔導士もモラン団長も夫人の置かれた状況を理解し頷いていた。緊張感に包まれた執務室。ある程度執務室にいる者達に説明を終えると、それぞれが苦い表情をしながら思考の海へと潜っているようだ。
彼等の頭の中にはどう指示をしていこうかと考えを巡らせているのだろう。防音結界を解いて団長と副官、筆頭魔導士には持ち場に戻るように促す。
「クレア陛下、大嵐が来そうね。嫌だわ。お城が壊れちゃわないように窓に木の板でも打ち付けておかないとね」
「ふふっ、そうね。窓ガラスで怪我をしないようにしなければね」
そうして私は執務に戻り、側近達は各々指示を出しに部屋を出ていった。敵から命を狙われる恐怖。本当なら今すぐにでも執務も投げ出して逃げてしまいたい。怖い。でも、兄の敵を打つのは私しか居ない。
――クレア、大丈夫だ。儂もついておる。
……グラン様。
――いざとなったら冤罪でも何でもでっち上げて武力で制圧すればよい。まぁ、あの資料を見るに真っ黒だろうが。
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