まさか猫種の私が聖女なんですか?

まるねこ

文字の大きさ
103 / 125

103 子爵の考え

しおりを挟む
 翌日は昨日と同じようにローニャと共に巡視を行い、小さな魔獣を討伐し、雑草を刈って荷車にのせて歩いた。

「これだけ雑草を刈ったら充分だよ!」

 ローニャは元気いっぱいで畑に撒く灰の事を考えているようだ。

 今日は子爵とカシュール君が昨日収穫した穀物の実を元種として持ってきていた。子爵もやはり魔法を使う事に興味を示している。

 この街では単純な魔法の使い方しかしていないので、街の発展に寄与する方法を知りたいのだと言っていた。カシュール君が王都へ行くのはまだ子爵から許可が出ていないようだ。

「じゃあ、今日もみんなお手伝いお願いするね!」

 ローニャの合図で昨日と同じように雑草を灰にしていく。

 昨日は畑全体に灰が落ちていた状態だったが、今回は騎士たちの協力で丁寧に灰を撒いてもらった。

 昨日の収穫したものを使い、多くの種を撒くことができた。

 ローニャ一人では大変なので私も一緒にサーローの魔法を使っていく。サルードの指輪は一つしかないのでローニャにお願いしたわ。

「今日もいっぱい収穫できて良かった! 連作はやめた方がいいって研究所の人が言っていたから明日は違う苗を植えてもいいかもしれないね!」

 昨日と今日の穀物の収穫で騎士の食糧は確保でき、街の人たちの食糧にも余裕ができたようで一安心だ。

 私はサーローで畑の土質をまた改善しておいた。

 明日は別のことをやりたいからだ。

「明日から別の植物をここに植えていけばいいと思います」

 子爵は頷いた。子爵から街の人にこの畑で野菜を植えるように伝えるようだ。

「明日は別のことをするの?」
「えぇ、街の人たちの魔力を調査しようと思っているわ」
「そっか! 二人で調べた方が早いよね! 隊長さん、誰か私たちと一緒に記録してくれる人を付けて欲しいな」
「もちろん騎士を付けますので心配はいらないですよ」

 ローニャはウキウキと既に明日のことを考えているようだ。

 畑を後にして今日は子爵の邸に子爵とエサイアス様と隊長が集まって話し合いをすることになった。もちろん私もローニャも参加する。

 私たちは応接室に通された。

 この街に来た当初の予定が少し変わったため、再度話し合うことになった。明日から騎士たちは午前中に巡視を行うことになった。

 私とローニャは参加せずに街の人たちの魔力を測る。

 子爵の話ではカシュール君が一番魔法を使っているので魔力は一番多いのではないかと言っていた。だが彼には妹が二人いる。二人とも魔法を使えるようで訓練次第ではカシュール君よりも魔力の量は増えるかもしれない。

 カシュール君も今は封印されているが、まだまだ魔力の量はまだ増えるだろう。

 子供を中心に魔力を調べていった方が良いということになった。

 そして大まかな人数を調べてから研究所に指輪を作ってもらうことになった。魔法の成り立ちや使い方などこの街の人たちの知識はほとんどない状態だ。

 やはりグリークス神官長が魔法を使う練習をした時のように指輪から入っていったほうがいいだろう。

 そして子爵に前からずっと思っていたことを聞いてみる。

「子爵、気になっていたのですが、魔法使いの子孫がいるのはこの街の人たちだけなのですか?」
「この街以外にもマーダイン公爵領にあるガーナントの街も大昔は魔法使いがいたと聞いたことがあります。もしかしたらこの街のように魔力を持つ人間がいるかもしれませんね」

 この街以外にも魔法使いが落ち人としていたようだ。

「それにしても、何故カシュール君は魔法が使えるのに王都には伝わってこなかったのですか? 子爵も魔法を使うことができますよね?」
「あぁ、それは国が魔法を使える者を探しているのを知りませんでしたし、私たちも火や水が少し出せる程度で魔法使いというのか疑問でしたからね」

 確かに。そう言われればそうだ。

 魔獣が闊歩するのに王都まで行き来することは難しい。それに情報が断絶していておかしくはない。

 王都に住む人たちは魔法が過去の遺物だと考えていたし、ノーヨゥルの街の人々は自分たちが特別だと思っていなければ名乗り出ないだろう。私たちは子爵の言葉に納得するしかなかった。

「ナーニョ様、カシュールのことを助けていただき、本当に感謝しております」

 子爵から改めてお礼をいわれた。

「カシュール君は魔法使いになりたいと言っていましたね」
「えぇ、今まではただの思いつきだと思っていましたが、ナーニョ様とローニャ様の魔法を見て強く感じているようです。王都に行って魔法を一から学びたいと言っていた」

「そうですか。子爵はカシュール君を魔法使いにさせる気持ちはありますか?」
「王都から離れたこの地域では魔獣の襲撃もあり、子供も大人同様の働き手としてみているのも多い。

 王都の学園に来年から進学予定だったのですが、そういうわけにもいかない状況でした。ナーニョ様や騎士団の巡視のおかげで街は魔獣の脅威から遠のいた。

 カシュールは偉そうなことを言っていますが、幼い頃から街のために魔法を使い、人がいつでも戻ってこられるように街を取り戻せるように頑張っていた。

 カシュールが望むのであれば親としてなんとかしてやりたい。もし、魔法使いの道を示していただけるのなら、不躾な願いですが、カシュールをナーニョ様に預かっていただきたいと思っております」

 ヒェル子爵は息子の将来を憂いているのかもしれない。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

追放された悪役令嬢はシングルマザー

ララ
恋愛
神様の手違いで死んでしまった主人公。第二の人生を幸せに生きてほしいと言われ転生するも何と転生先は悪役令嬢。 断罪回避に奮闘するも失敗。 国外追放先で国王の子を孕んでいることに気がつく。 この子は私の子よ!守ってみせるわ。 1人、子を育てる決心をする。 そんな彼女を暖かく見守る人たち。彼女を愛するもの。 さまざまな思惑が蠢く中彼女の掴み取る未来はいかに‥‥ ーーーー 完結確約 9話完結です。 短編のくくりですが10000字ちょっとで少し短いです。

底無しポーターは端倪すべからざる

さいわ りゅう
ファンタジー
運び屋(ポーター)のルカ・ブライオンは、冒険者パーティーを追放された。ーーが、正直痛くも痒くもなかった。何故なら仕方なく同行していただけだから。 ルカの魔法適正は、運び屋(ポーター)に適した収納系魔法のみ。 攻撃系魔法の適正は皆無だけれど、なんなら独りで魔窟(ダンジョン)にだって潜れる、ちょっと底無しで少し底知れない運び屋(ポーター)。 そんなルカの日常と、ときどき魔窟(ダンジョン)と周囲の人達のお話。 ※タグの「恋愛要素あり」は年の差恋愛です。 ※ごくまれに残酷描写を含みます。 ※【小説家になろう】様にも掲載しています。

最愛の番に殺された獣王妃

望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。 彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。 手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。 聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。 哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて―― 突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……? 「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」 謎の人物の言葉に、私が選択したのは――

【完結】召喚された2人〜大聖女様はどっち?

咲雪
恋愛
日本の大学生、神代清良(かみしろきよら)は異世界に召喚された。同時に後輩と思われる黒髪黒目の美少女の高校生津島花恋(つしまかれん)も召喚された。花恋が大聖女として扱われた。放置された清良を見放せなかった聖騎士クリスフォード・ランディックは、清良を保護することにした。 ※番外編(後日談)含め、全23話完結、予約投稿済みです。 ※ヒロインとヒーローは純然たる善人ではないです。 ※騎士の上位が聖騎士という設定です。 ※下品かも知れません。 ※甘々(当社比) ※ご都合展開あり。

転生悪役令嬢に仕立て上げられた幸運の女神様は家門から勘当されたので、自由に生きるため、もう、ほっといてください。今更戻ってこいは遅いです

青の雀
ファンタジー
公爵令嬢ステファニー・エストロゲンは、学園の卒業パーティで第2王子のマリオットから突然、婚約破棄を告げられる それも事実ではない男爵令嬢のリリアーヌ嬢を苛めたという冤罪を掛けられ、問答無用でマリオットから殴り飛ばされ意識を失ってしまう そのショックで、ステファニーは前世社畜OL だった記憶を思い出し、日本料理を提供するファミリーレストランを開業することを思いつく 公爵令嬢として、持ち出せる宝石をなぜか物心ついたときには、すでに貯めていて、それを原資として開業するつもりでいる この国では婚約破棄された令嬢は、キズモノとして扱われることから、なんとか自立しようと修道院回避のために幼いときから貯金していたみたいだった 足取り重く公爵邸に帰ったステファニーに待ち構えていたのが、父からの勘当宣告で…… エストロゲン家では、昔から異能をもって生まれてくるということを当然としている家柄で、異能を持たないステファニーは、前から肩身の狭い思いをしていた 修道院へ行くか、勘当を甘んじて受け入れるか、二者択一を迫られたステファニーは翌早朝にこっそり、家を出た ステファニー自身は忘れているが、実は女神の化身で何代前の過去に人間との恋でいさかいがあり、無念が残っていたので、神界に帰らず、人間界の中で転生を繰り返すうちに、自分自身が女神であるということを忘れている エストロゲン家の人々は、ステファニーの恩恵を受け異能を覚醒したということを知らない ステファニーを追い出したことにより、次々に異能が消えていく…… 4/20ようやく誤字チェックが完了しました もしまだ、何かお気づきの点がありましたら、ご報告お待ち申し上げておりますm(_)m いったん終了します 思いがけずに長くなってしまいましたので、各単元ごとはショートショートなのですが(笑) 平民女性に転生して、下剋上をするという話も面白いかなぁと 気が向いたら書きますね

3歳で捨てられた件

玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。 それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。 キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。

最弱白竜ですが、なぜか学園最強の銀竜に番認定されました

斉藤めめめ
恋愛
竜の血を引く者だけが貴族になれるこの世界で、白竜は最も格の低い竜の証。 白竜の男爵令嬢リーゼロッテは、特待生として国内最高峰の王立竜騎学園に入学する。待っていたのは上位貴族からの蔑みと、学園を支配する四人の御曹司「四竜」。 その筆頭、銀竜公爵家の嫡男ルシアンに初日から啖呵を切ったリーゼは、いじめと嫉妬の嵐に巻き込まれていく。 それでも彼女は媚びない、逃げない、折れない。 やがてルシアンはリーゼから目が離せなくなり―― 白竜の少女が、学園と王国の運命を変える。 身分差×竜×学園ラブファンタジー、開幕。

モブなのに、転生した乙女ゲームの攻略対象に追いかけられてしまったので全力で拒否します

みゅー
恋愛
乙女ゲームに、転生してしまった瑛子は自分の前世を思い出し、前世で培った処世術をフル活用しながら過ごしているうちに何故か、全く興味のない攻略対象に好かれてしまい、全力で逃げようとするが…… 余談ですが、小説家になろうの方で題名が既に国語力無さすぎて読むきにもなれない、教師相手だと淫行と言う意見あり。 皆さんも、作者の国語力のなさや教師と生徒カップル無理な人はプラウザバック宜しくです。 作者に国語力ないのは周知の事実ですので、指摘なくても大丈夫です✨ あと『追われてしまった』と言う言葉がおかしいとの指摘も既にいただいております。 やらかしちゃったと言うニュアンスで使用していますので、ご了承下さいませ。 この説明書いていて、海外の商品は訴えられるから、説明書が長くなるって話を思いだしました。

処理中です...