まさか猫種の私が聖女なんですか?

まるねこ

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106 研究所からの手紙

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「エサイアス様、次の街はどんな街なのですか?」
「次はユルン地方に入る。ユルン地方はマーダイン公爵の領地だよ。村が途中に二つあって、それを過ぎるとヒェル子爵が言っていたガーナントの街がある。俺は行ったことがないのでどんな街かは分からないんだ。商人たちの話では工業が盛んだと言っていたかな」
「次の街も楽しみですね」

 私たちは魔獣を討伐しながら村に向かう。

 三日ほど掛かったけれど問題なく一つ目の村に到着した。ここの村の人たちも多少は魔力を持っているようだ。

 ただ先ほどの街とは違い魔力の量は少ない。村の人に聞いてみると、火を起こしたり、畑に水を撒いたりするために使う程度のようだ。

 この村に滞在している間に研究所から手紙が送られてきた。

 ローニャが王宮に戻ったことで騎士たちの手紙もスムーズに送られてくるようになった。

 どうやらカシュール君はグリークス神官長の付き人として言葉遣いや一般教養の勉強から始めているらしい。フェゼットさんは字が読めないため、まず文字を読むことの勉強を始めたようだ。

 同時進行で指輪を使って魔法を出す練習もしている。二人とも真面目に取り組んでいるらしい。

 そして最後に重要なことが書かれていた。

 研究所の予測ではもしかしたら異次元の空間がそろそろ開くか、既に空いているかもしれないと。

 過去の空間が空いた場所を調べ上げた結果、今まさに私たちが向かおうとしている地方の何処かという予想のようだ。

 エサイアス様をはじめ、騎士たちに情報を共有する。

「……ということで我々は今後厳しい戦いに挑むことになるだろう。だが! 俺たちにはナーニョ様が付いている。そして研究所から異次元の空間を閉じる指輪が作られ送られてきた。我らは必ずや成し遂げる!」

 エサイアス様の言葉に騎士たちも緊張し、気を引き締めている。

 人のいる場所で開いたら見つけやすいが、被害が出る。森の中なら人に被害が出にくいが見つけにくい。ちょうど私たちの前で開いてくれないかな、と思ってしまうわ。

 私がやるしかない。
 私がやらなければみんなが死んでしまう。
 想像しただけで耐え難い苦痛だ。

 あの日のような思いはしたくないの。

「ナーニョ様、大丈夫かな? 顔色が悪い。少し休もうか」
「エサイアス様、私は大丈夫です。このまま街までいきましょう」

「駄目だ。ナーニョ様の大丈夫は信用できない。いつも頑張りすぎるから。すまない、不安にさせて。私が絶対にナーニョ様を守る。どんなことがあっても。約束する」
「エサイアス様……」

 涙が出そうになった。また一人で抱え込もうとしていたんだと気づいて悲しくなる半面、こうして私の側にいてくれる。

 一生懸命に支えようとしてくれる人がいるというじんわりと温かくなる思い。複雑にせめぎ合い泣いていいのか微笑めばいいのか分からない。

 私は困った表情をしていたのかもしれない。

 騎士の一人が声を挙げた。

「団長! ここでナーニョ様を口説くのは良くないですよ!!」

 騎士たちがドッと笑いが起きる。

「プロポーズならもっといい場所でしないと」

 わいわいがやがやと一気に張りつめた糸が緩む。

「みなさま、ありがとう、ございます。私は、すぐに一人で苦しくなって、我慢して、動けなくなる。こうして、エサイアス様や騎士団の人たちがいて、みんながこうして支えてくれていることが嬉しくて……。本当にありがとう」

 私たちは少し休憩した後、街に到着した。
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