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17エサイアス1
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「エサイアス様! しっかりしてくださいっ! 誰か、担架を! エサイアス様が負傷した」
俺は不定期に開く異次元の空間から出てきた魔獣達を討伐していた。
異次元の空間から出てくるのは巨大な魔獣や小さいが何百と出てくるものまで様々だ。
俺達のやることは空間から出てくる魔獣達を討伐する事。仲間は傷つき疲弊していく。別れもよくある事だ。
俺もいつ死ぬか分からない。
俺には親も兄弟も居ない。物心ついた時には祖父母と今の邸で暮らしていた。父と母は王都外に現れた魔獣によって殺された。
この世界の人間全て、男も女も、老人から子供に至るまで剣術を習う。これは生き残るために仕方がない事なのだ。この空間が無ければどれだけ人間は死なずに済んだのだろう。俺はそう思いながら戦いを続けている。
そんなある時、王都の近くの森で魔物が出たと報告が来た。
俺は部下と共に魔物を討伐しに向かった。今回、俺が連れている部下は全部で五十名。何度も激戦を潜り抜けた猛者達だ。
俺が率いる騎士団は第二十騎士団。本来なら一番下の団で見向きもされないのだが、戦果を上げるごとに知名度も上がっていき、今ではこの国一番の有名な団になり、俺も英雄と言われるようになった。
「エサイアス様、魔物を発見しました! 体調五メートルの熊型の魔物です」
「全員配置につけ!」
掛け声と共に騎士達は動き出した。
「かかれ!」
号令と共に斬りかかっていく。今回の魔物は動きが早く力はやや弱めといったところか。表皮が硬く、何度も斬りつけねばならず退治するには時間がかかりそうだ。
俺達は何度も斬りつけては離れ、攻撃を躱していくような戦法を取っていた。
致命傷にはならなくても時間が掛ればこちらも怪我が増えていく。
「エサイアス様、魔獣が弱ってきました!」
「気を抜くな! あと少し頑張るんだ」
声を掛け合いながら攻撃していく。あと少し、という所で俺の隣にいた騎士が魔獣の爪に当たり倒れ込んだ。魔獣は隙を逃すはずがない。
倒れた騎士に襲い掛かろうと手を振り上げた時、俺は咄嗟に前に出た。
「団長!!」
俺は背中に一撃を食らった後、噛みつかれたようだ。
あぁ、俺の命はここまでか。
噛みつかれた瞬間そう思った。そこからの記憶は曖昧だ。騎士達は俺が噛みつかれた時、隙を見逃さず一斉に魔獣に斬りかかり、討伐したらしい。
俺はというと、噛みつかれたが、騎士達が一斉に斬りかかったため、ポイッと口から放して投げ捨てられたらしく、即死は免れたようだ。その後、騎士達の手によりすぐに止血をして邸に運ばれた。
邸に到着した時、血だらけで出血が止まらず主人の死を覚悟したとロキアは言っていた。
俺は夢うつつの状態だったのだが、急に柔らかな温もりが全身を包む感覚を感じたんだ。
俺は最後にこの優しい温もりに包まれて死ぬのだと思いながら意識を手放した。そこから目を覚ましたのは三日後の事だった。
目を覚ますと自分のベッドの上だと気づいた。俺は死んだはずではなかったのか? そこで気づく。
背中の痛みが無い?
俺は仲間を庇って爪で背中を割かれたはずだ。それに右の腰は噛みつかれたはず……だ。痛みが無い。神経が死んでしまったのだろうか? 恐る恐る腰に手を当ててみると、傷がない!!
これはどういう事だろうか。
俺は不定期に開く異次元の空間から出てきた魔獣達を討伐していた。
異次元の空間から出てくるのは巨大な魔獣や小さいが何百と出てくるものまで様々だ。
俺達のやることは空間から出てくる魔獣達を討伐する事。仲間は傷つき疲弊していく。別れもよくある事だ。
俺もいつ死ぬか分からない。
俺には親も兄弟も居ない。物心ついた時には祖父母と今の邸で暮らしていた。父と母は王都外に現れた魔獣によって殺された。
この世界の人間全て、男も女も、老人から子供に至るまで剣術を習う。これは生き残るために仕方がない事なのだ。この空間が無ければどれだけ人間は死なずに済んだのだろう。俺はそう思いながら戦いを続けている。
そんなある時、王都の近くの森で魔物が出たと報告が来た。
俺は部下と共に魔物を討伐しに向かった。今回、俺が連れている部下は全部で五十名。何度も激戦を潜り抜けた猛者達だ。
俺が率いる騎士団は第二十騎士団。本来なら一番下の団で見向きもされないのだが、戦果を上げるごとに知名度も上がっていき、今ではこの国一番の有名な団になり、俺も英雄と言われるようになった。
「エサイアス様、魔物を発見しました! 体調五メートルの熊型の魔物です」
「全員配置につけ!」
掛け声と共に騎士達は動き出した。
「かかれ!」
号令と共に斬りかかっていく。今回の魔物は動きが早く力はやや弱めといったところか。表皮が硬く、何度も斬りつけねばならず退治するには時間がかかりそうだ。
俺達は何度も斬りつけては離れ、攻撃を躱していくような戦法を取っていた。
致命傷にはならなくても時間が掛ればこちらも怪我が増えていく。
「エサイアス様、魔獣が弱ってきました!」
「気を抜くな! あと少し頑張るんだ」
声を掛け合いながら攻撃していく。あと少し、という所で俺の隣にいた騎士が魔獣の爪に当たり倒れ込んだ。魔獣は隙を逃すはずがない。
倒れた騎士に襲い掛かろうと手を振り上げた時、俺は咄嗟に前に出た。
「団長!!」
俺は背中に一撃を食らった後、噛みつかれたようだ。
あぁ、俺の命はここまでか。
噛みつかれた瞬間そう思った。そこからの記憶は曖昧だ。騎士達は俺が噛みつかれた時、隙を見逃さず一斉に魔獣に斬りかかり、討伐したらしい。
俺はというと、噛みつかれたが、騎士達が一斉に斬りかかったため、ポイッと口から放して投げ捨てられたらしく、即死は免れたようだ。その後、騎士達の手によりすぐに止血をして邸に運ばれた。
邸に到着した時、血だらけで出血が止まらず主人の死を覚悟したとロキアは言っていた。
俺は夢うつつの状態だったのだが、急に柔らかな温もりが全身を包む感覚を感じたんだ。
俺は最後にこの優しい温もりに包まれて死ぬのだと思いながら意識を手放した。そこから目を覚ましたのは三日後の事だった。
目を覚ますと自分のベッドの上だと気づいた。俺は死んだはずではなかったのか? そこで気づく。
背中の痛みが無い?
俺は仲間を庇って爪で背中を割かれたはずだ。それに右の腰は噛みつかれたはず……だ。痛みが無い。神経が死んでしまったのだろうか? 恐る恐る腰に手を当ててみると、傷がない!!
これはどういう事だろうか。
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