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本編
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私達はウーノ神父の後に続き歩いて地下へと向かう。
地下へは暗く、神父はランタンを一つ持っているが足元を照らすには心もとない。ブラッドローが小さな光の玉を幾つか出して通路を照らした。
「貴方は魔法が使えるのですね。王都では王のおかげで魔法が使える者が増えていると聞きます。羨ましい限りです。その内、この小さな街にも使える者が増えていくといいですな」
「あぁ、そうだな。ちなみに王の魔法が使える様になったのはこの聖女のおかげだがな」
「死しても聖女様は王に加護を……。なんて素晴らしいのでしょうか」
ブラッドローの言葉に感激し始める神父。
先ほどまで悪魔だと思っているようだったのに。
その神父の姿をみて笑いが込み上げて押さえきれなかった。
「ふふっ、久しぶりに笑ったわ」
カシャンとランタンを落とした音が聞こえた。
そしてゆっくり神父はこちらを振り返り、私と目が合った。
「ラナ、今此処で笑うのは良くない。神父の心臓が止まってしまう所だっただろう」
クスリと笑いながら彼は私に微笑む。
「だって、可笑しいんですもの。私いつから聖女になったのかしら?」
「俺は生まれた時からずっとラナの事を女神だと思っているが?」
「ふふっ。嬉しい。でも、ここで言う事では無いわ」
「そうだな。ウーノ神父、心配はいらない。彼女は生きているだけだ」
その言い方も可笑しくて笑ってしまう。今の私の姿は神父の心臓を本当に止めてしまいそうよね。
「ウーノ神父。後で説明するから、とりあえず案内を続けてもらってもよいかしら?」
「はっ! はい!」
神父は転がったランプを拾い、地下の通路奥にある一つの扉の前に立った。
鍵を開け、中に入ると、奥はかなり広く、一定間隔で棺が置かれていた。
「首のない聖女様はここの一番奥です」
神父に連れられて一歩、また一歩と近づく度に感じる魔力。
あぁ、自分の身体が私を呼んでいる。
震える私を優しく抱くブラッドロー。
私達は自分の身体の前にやってきた。
そこには結界が張られている。
この結界を張ったのは父の願いに応じた精霊だろう。
どういう思いで張ったのかしら。
丁寧に均一に張られた結界に涙が滲んでくる。
父の願いで私の身体に結界を張り、精霊が此処へ連れてきた。
「……お父様」
「陛下はラナの事をいつも心配し、自分が死んだ後も娘を守るように精霊や神に頼んでいた」
「……そうなのね」
「聖女様、頭と身体を繋げていただきたいと思っておりますが我々にはこの結界を壊す事ができません」
神父の言葉にハッとする。だめね、今は感傷に浸る場合ではないもの。
「それは大丈夫よ。この結界を張ったのは私の父だもの。同じ血族である私なら結界の中に入れるわ」
そう言うと、私はブラッドローの腕の中から飛び出し、ふわりと結界に近づく。
髪の毛が結界に触れても問題はない様子。
そのままゆっくりと私は身体を取り戻す様に首の接合部分に魔力を集めて身体と頭を繋げていく。
このままでは首と身体は繋がる事が出来ないため、私は詠唱を始める。
小さな魔法円を一つ、二つ出した時にブラッドローも一緒に詠唱を始め、三つ目、四つ目の魔法円を作ってくれた。
小さな四つの魔法円は私の身体を取り囲み、グルグルと回り始め、首と身体の接合部分に集まり身体が繋がる感覚がする。
魔法円が体内に入り、全身を優しい光が包むと同時に魔力が漲ってくるのが分かる。
あぁ、懐かしい。
自分をやっと取り戻せた。
光が収まるとそれを見届けたかのように結界も薄く消えていった。
「お父様、有難う」
そう呟いて私は地面に足を付け立ち上がる。
ブラッドローと私は抱き合い互いを確認する。
その想いは言葉にはならなかった。
暫く抱き合った後、ブラッドローは私を抱き上げた。
「ブラッド!? 私は歩けるわ」
「いや、千年以上寝ていたんだ。無理はするな」
「……千年以上ここにおられたのですか」
ウーノ神父はまた驚いていた。
そうして私達はまた地上へ戻り、ウーノ神父とシスターカナと応接室でお茶を飲んで話をすることになった。
「久々のお茶はなんて美味しいのかしら」
私はお茶に上機嫌になっているとブラッドローは笑いながら私の頬を撫でている。
「先ほど聖女様は千年以上ここに身体を置かれていたと言っておりましたが、聞いても宜しいですか?」
「えぇ、いいわ。その前に言っておくけれど、私は聖女ではないの。魔女よ。あぁ、魔女といっても魔法円を使って薬を作るのを得意としているから魔女ね。物語に出てくるような人を殺して楽しむような悪者ではないのよ?」
「そうですよね。でなければあんなに立派な結界に守られてはおりません」
「私は魔女だけれど、生まれた時に神託が降りたの。だから首だけとなり生き続ける事になった」
「……神託ですか?」
「えぇ。今は神託を聞く神官は、居なそうね」
「前回神託が降りたのは二百年前だと聞いています。あまり聞けるものではないでしょうな。神託の内容をお聞きしても宜しいでしょうか?」
神託の内容はあまり伝えるものではないので当時もごく一部にしか知らされていなかったのよね。
ブラッドローの顔を見ると、彼は教会の関係者だし、いいんじゃないかと言ったの。
もちろんブラッドローは私の婚約者だったから陛下から内容は聞いている。
「『王女は魔法使いを復活させた後、悪しき物を消滅させ、この国を繁栄に導くだろう』と神託は降りたの」
「魔女様はこの国の王女様だったのですね」
「えぇ。遠い昔は王女だったわね」
「その神託を信じるのであれば、魔女様は悪しき物と対峙する事になるのでしょうか?」
「……そうね。身体が戻り、魔力の循環が正常になった今、気配は感じるわ。もちろんブラットも分かるでしょう?」
「あぁ、微かにだが、アイツの気配はずっとしているな」
「大丈夫なのでしょうか?」
「大丈夫よ。そろそろ私達は行くわ。あまり詳しくは言えなくてごめんなさいね。ウーノ神父、今まで身体を大事に守ってくれたこと感謝しているわ」
私達はそう言って挨拶をした後、教会を出た。
地下へは暗く、神父はランタンを一つ持っているが足元を照らすには心もとない。ブラッドローが小さな光の玉を幾つか出して通路を照らした。
「貴方は魔法が使えるのですね。王都では王のおかげで魔法が使える者が増えていると聞きます。羨ましい限りです。その内、この小さな街にも使える者が増えていくといいですな」
「あぁ、そうだな。ちなみに王の魔法が使える様になったのはこの聖女のおかげだがな」
「死しても聖女様は王に加護を……。なんて素晴らしいのでしょうか」
ブラッドローの言葉に感激し始める神父。
先ほどまで悪魔だと思っているようだったのに。
その神父の姿をみて笑いが込み上げて押さえきれなかった。
「ふふっ、久しぶりに笑ったわ」
カシャンとランタンを落とした音が聞こえた。
そしてゆっくり神父はこちらを振り返り、私と目が合った。
「ラナ、今此処で笑うのは良くない。神父の心臓が止まってしまう所だっただろう」
クスリと笑いながら彼は私に微笑む。
「だって、可笑しいんですもの。私いつから聖女になったのかしら?」
「俺は生まれた時からずっとラナの事を女神だと思っているが?」
「ふふっ。嬉しい。でも、ここで言う事では無いわ」
「そうだな。ウーノ神父、心配はいらない。彼女は生きているだけだ」
その言い方も可笑しくて笑ってしまう。今の私の姿は神父の心臓を本当に止めてしまいそうよね。
「ウーノ神父。後で説明するから、とりあえず案内を続けてもらってもよいかしら?」
「はっ! はい!」
神父は転がったランプを拾い、地下の通路奥にある一つの扉の前に立った。
鍵を開け、中に入ると、奥はかなり広く、一定間隔で棺が置かれていた。
「首のない聖女様はここの一番奥です」
神父に連れられて一歩、また一歩と近づく度に感じる魔力。
あぁ、自分の身体が私を呼んでいる。
震える私を優しく抱くブラッドロー。
私達は自分の身体の前にやってきた。
そこには結界が張られている。
この結界を張ったのは父の願いに応じた精霊だろう。
どういう思いで張ったのかしら。
丁寧に均一に張られた結界に涙が滲んでくる。
父の願いで私の身体に結界を張り、精霊が此処へ連れてきた。
「……お父様」
「陛下はラナの事をいつも心配し、自分が死んだ後も娘を守るように精霊や神に頼んでいた」
「……そうなのね」
「聖女様、頭と身体を繋げていただきたいと思っておりますが我々にはこの結界を壊す事ができません」
神父の言葉にハッとする。だめね、今は感傷に浸る場合ではないもの。
「それは大丈夫よ。この結界を張ったのは私の父だもの。同じ血族である私なら結界の中に入れるわ」
そう言うと、私はブラッドローの腕の中から飛び出し、ふわりと結界に近づく。
髪の毛が結界に触れても問題はない様子。
そのままゆっくりと私は身体を取り戻す様に首の接合部分に魔力を集めて身体と頭を繋げていく。
このままでは首と身体は繋がる事が出来ないため、私は詠唱を始める。
小さな魔法円を一つ、二つ出した時にブラッドローも一緒に詠唱を始め、三つ目、四つ目の魔法円を作ってくれた。
小さな四つの魔法円は私の身体を取り囲み、グルグルと回り始め、首と身体の接合部分に集まり身体が繋がる感覚がする。
魔法円が体内に入り、全身を優しい光が包むと同時に魔力が漲ってくるのが分かる。
あぁ、懐かしい。
自分をやっと取り戻せた。
光が収まるとそれを見届けたかのように結界も薄く消えていった。
「お父様、有難う」
そう呟いて私は地面に足を付け立ち上がる。
ブラッドローと私は抱き合い互いを確認する。
その想いは言葉にはならなかった。
暫く抱き合った後、ブラッドローは私を抱き上げた。
「ブラッド!? 私は歩けるわ」
「いや、千年以上寝ていたんだ。無理はするな」
「……千年以上ここにおられたのですか」
ウーノ神父はまた驚いていた。
そうして私達はまた地上へ戻り、ウーノ神父とシスターカナと応接室でお茶を飲んで話をすることになった。
「久々のお茶はなんて美味しいのかしら」
私はお茶に上機嫌になっているとブラッドローは笑いながら私の頬を撫でている。
「先ほど聖女様は千年以上ここに身体を置かれていたと言っておりましたが、聞いても宜しいですか?」
「えぇ、いいわ。その前に言っておくけれど、私は聖女ではないの。魔女よ。あぁ、魔女といっても魔法円を使って薬を作るのを得意としているから魔女ね。物語に出てくるような人を殺して楽しむような悪者ではないのよ?」
「そうですよね。でなければあんなに立派な結界に守られてはおりません」
「私は魔女だけれど、生まれた時に神託が降りたの。だから首だけとなり生き続ける事になった」
「……神託ですか?」
「えぇ。今は神託を聞く神官は、居なそうね」
「前回神託が降りたのは二百年前だと聞いています。あまり聞けるものではないでしょうな。神託の内容をお聞きしても宜しいでしょうか?」
神託の内容はあまり伝えるものではないので当時もごく一部にしか知らされていなかったのよね。
ブラッドローの顔を見ると、彼は教会の関係者だし、いいんじゃないかと言ったの。
もちろんブラッドローは私の婚約者だったから陛下から内容は聞いている。
「『王女は魔法使いを復活させた後、悪しき物を消滅させ、この国を繁栄に導くだろう』と神託は降りたの」
「魔女様はこの国の王女様だったのですね」
「えぇ。遠い昔は王女だったわね」
「その神託を信じるのであれば、魔女様は悪しき物と対峙する事になるのでしょうか?」
「……そうね。身体が戻り、魔力の循環が正常になった今、気配は感じるわ。もちろんブラットも分かるでしょう?」
「あぁ、微かにだが、アイツの気配はずっとしているな」
「大丈夫なのでしょうか?」
「大丈夫よ。そろそろ私達は行くわ。あまり詳しくは言えなくてごめんなさいね。ウーノ神父、今まで身体を大事に守ってくれたこと感謝しているわ」
私達はそう言って挨拶をした後、教会を出た。
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