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転移した先はどうやら人間の暮らしている場所のようだ。
しかも、沢山の人がいるわ。
私は数十年ぶりに地上に出たのも新鮮だったし、こんなに人間の多い所に転移して困惑する。
「ちょっと! ファー。どういう事なの? ここは何処?」
仮面を付けたファーストは羽根も仕舞っており、漏れ出る魔力も無く人間そのものだ。
これでは私が魔族だと分かるし、狙われるだけじゃない!!
あわあわしながら私も変身魔法で人間に変身しようとするけれど、ファーストはそれを阻止する。
「もうっ。何で邪魔をするの?」
「……都合がいいからだ。まぁ、いい。付いてこい」
私はファーストに言われるままに彼の後に付いていく。
人間たちが私に注目しているわ。
魔族だと思って攻撃されるのではないかとヒヤヒヤしながら歩いている私。だが、人間たちは私に攻撃をする事はないようだ。
ただ興味深そうにこちらを見ている。
過去に人間の記憶を覗いた時、平民は麻の服を着ているのが当たり前のように見えていたのだけれど、こうして見ると様々な服装をしている。
冒険者と思われる人達は特に変わった出で立ちですぐに分かった。
「おいおい、あの女、エルフなのか? 天使なのか?」
冒険者達は私を見て何かを言っている。
エルフ?
天使?
何なのかしら?
「ねぇ、ファー。エルフって何? 天使って何かしら?」
「あぁ、想像上の生き物だな。人間が神を崇めているのは知っているだろう?」
「確か神はこの世界を作ったのだったのよね? 知識はあるわ。見たことはないけど」
「人間はその神を信仰していて、神が出てくる物語にエルフやドワーフ、天使等の様々な生き物を作ったとされているようだ。ウォールの知識は偏っているのかもしれないな」
「だって、ダンジョンに来る人間なんて冒険者くらいだもの。知識はあまりないわね。まぁ、もう少し取り込みたいとは思っているわ」
「……ここでは止めておけ」
「当たり前じゃない。こんなにか弱い私がここで取り込んだらすぐに人間に袋叩きに遭うわよ」
人間は一人だと実にか弱い。けれど、彼等は集団で行動する。
束になってこられたらか弱い私なんてすぐに殺されるわ。
「なぁなぁ、仮面の天使ちゃん。俺と遊ばないか?」
一人の男が私に声をかけてきた。
「……」
「無視するなんていい度胸だな! ファルスなんて気にしなくていいだろ? 俺だってBランクだ! 良い思いをさせてやっから!」
ニヤニヤと私の手を取ろうとした時、ファーストが私を抱きかかえる。
「面倒だな。このまま抱えていく」
「……」
「チッ」
私には何が何だかさっぱり分からない。
Bランクだという冒険者は不満なようだが、周りにいた他の女達はキャーキャー嬉しそうな声をあげている。
そうして私はファーストに抱えられたまま城という所へとやってきた。
「ファー、ここに何かあるの?」
「あぁ、ここでダンジョンを作る許可を得るんだ」
「許可なんて必要なの?」
「いや? 普通はな。だがウォールも感じただろう? これだけ人が多ければ負の感情も大きい。瘴気も生まれやすい。少しガス抜きが必要なんだ。人間の暮らす場所にいきなり建てたら怒り出すだろう?」
「まぁ、確かにそうね」
魔獣達にも縄張り争いがある。
知能の高い魔獣は魔獣同士喧嘩しないのだが、知能の低い魔獣は魔獣同士で攻撃し合う。
人間も同じようなものなのだろう。
「Aランク冒険者のファルス様、こちらです」
下僕のような人間が丁寧にお辞儀をした後、人間の国の王の元へ案内してくれるようだ。
城は赤い絨毯が敷き詰められ、両側は魔法ランプが灯されておりとても高級感が漂っている。
よし、ダンジョンの一部はこういった物もいいかもしれない。
今度取り入れてみよう。
先ほどの街並みも気になるわ。
「ファー、さっきの街並みも気になるわ。ダンジョン内に魔人達の街を作ってみたいから後で寄ってみてよ」
「……時間があったらな」
「絶対よ? 私ひとりじゃ死んじゃうからっ」
「……。そうだ、一つだけ忠告しておく。決して名を語ってはいけない。人間は真名を縛るような魔法を使う事があるらしい」
「そうなのね。分かったわ」
とりあえず偽名を名乗っておくのが無難なのね。
また一つ人間のことを知ったわ。
しかも、沢山の人がいるわ。
私は数十年ぶりに地上に出たのも新鮮だったし、こんなに人間の多い所に転移して困惑する。
「ちょっと! ファー。どういう事なの? ここは何処?」
仮面を付けたファーストは羽根も仕舞っており、漏れ出る魔力も無く人間そのものだ。
これでは私が魔族だと分かるし、狙われるだけじゃない!!
あわあわしながら私も変身魔法で人間に変身しようとするけれど、ファーストはそれを阻止する。
「もうっ。何で邪魔をするの?」
「……都合がいいからだ。まぁ、いい。付いてこい」
私はファーストに言われるままに彼の後に付いていく。
人間たちが私に注目しているわ。
魔族だと思って攻撃されるのではないかとヒヤヒヤしながら歩いている私。だが、人間たちは私に攻撃をする事はないようだ。
ただ興味深そうにこちらを見ている。
過去に人間の記憶を覗いた時、平民は麻の服を着ているのが当たり前のように見えていたのだけれど、こうして見ると様々な服装をしている。
冒険者と思われる人達は特に変わった出で立ちですぐに分かった。
「おいおい、あの女、エルフなのか? 天使なのか?」
冒険者達は私を見て何かを言っている。
エルフ?
天使?
何なのかしら?
「ねぇ、ファー。エルフって何? 天使って何かしら?」
「あぁ、想像上の生き物だな。人間が神を崇めているのは知っているだろう?」
「確か神はこの世界を作ったのだったのよね? 知識はあるわ。見たことはないけど」
「人間はその神を信仰していて、神が出てくる物語にエルフやドワーフ、天使等の様々な生き物を作ったとされているようだ。ウォールの知識は偏っているのかもしれないな」
「だって、ダンジョンに来る人間なんて冒険者くらいだもの。知識はあまりないわね。まぁ、もう少し取り込みたいとは思っているわ」
「……ここでは止めておけ」
「当たり前じゃない。こんなにか弱い私がここで取り込んだらすぐに人間に袋叩きに遭うわよ」
人間は一人だと実にか弱い。けれど、彼等は集団で行動する。
束になってこられたらか弱い私なんてすぐに殺されるわ。
「なぁなぁ、仮面の天使ちゃん。俺と遊ばないか?」
一人の男が私に声をかけてきた。
「……」
「無視するなんていい度胸だな! ファルスなんて気にしなくていいだろ? 俺だってBランクだ! 良い思いをさせてやっから!」
ニヤニヤと私の手を取ろうとした時、ファーストが私を抱きかかえる。
「面倒だな。このまま抱えていく」
「……」
「チッ」
私には何が何だかさっぱり分からない。
Bランクだという冒険者は不満なようだが、周りにいた他の女達はキャーキャー嬉しそうな声をあげている。
そうして私はファーストに抱えられたまま城という所へとやってきた。
「ファー、ここに何かあるの?」
「あぁ、ここでダンジョンを作る許可を得るんだ」
「許可なんて必要なの?」
「いや? 普通はな。だがウォールも感じただろう? これだけ人が多ければ負の感情も大きい。瘴気も生まれやすい。少しガス抜きが必要なんだ。人間の暮らす場所にいきなり建てたら怒り出すだろう?」
「まぁ、確かにそうね」
魔獣達にも縄張り争いがある。
知能の高い魔獣は魔獣同士喧嘩しないのだが、知能の低い魔獣は魔獣同士で攻撃し合う。
人間も同じようなものなのだろう。
「Aランク冒険者のファルス様、こちらです」
下僕のような人間が丁寧にお辞儀をした後、人間の国の王の元へ案内してくれるようだ。
城は赤い絨毯が敷き詰められ、両側は魔法ランプが灯されておりとても高級感が漂っている。
よし、ダンジョンの一部はこういった物もいいかもしれない。
今度取り入れてみよう。
先ほどの街並みも気になるわ。
「ファー、さっきの街並みも気になるわ。ダンジョン内に魔人達の街を作ってみたいから後で寄ってみてよ」
「……時間があったらな」
「絶対よ? 私ひとりじゃ死んじゃうからっ」
「……。そうだ、一つだけ忠告しておく。決して名を語ってはいけない。人間は真名を縛るような魔法を使う事があるらしい」
「そうなのね。分かったわ」
とりあえず偽名を名乗っておくのが無難なのね。
また一つ人間のことを知ったわ。
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