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我が家に帰ります
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邸の者達は『お嬢様に怪我さられません』って絶対教えてくれないのよね。姉様達に教えて貰いたいけれど、姉様達も忙しくしているし、我が家に来るにも警備上の問題であまり来れない。
「ブランシュ嬢、俺はラドン公爵嫡男クリフだ。宜しく」
そう告げた茶髪の騎士風な装いをした彼は跪き胸元のバラを一本私に差し出した。
「ロラ姉様。どうすればいいの?」
私はロラ姉様に抱きついたまま聞くと、『ごめんなさい、まだ相手は決めかねておりますのって言えばいいわ』姉様は耳元でそう教えてくれた。多分だけどこの薔薇は受け取っちゃいけない気がするのよね。
後で兄さまにその辺の事を聞かないとね。
「ラドン公爵子息様、わ、私、まだお相手を決めかねておりますので受け取ろる事は出来ません。ごめんなさい」
私は軽く頭を下げ、ニコリと微笑むと彼はグッっと胸を押さえて跪いてしまった。
な、何故だ!?
すると次々に令息たちが私に跪いて花を差し出してきた。
え?
何これ怖いっ。
美人ってこんな世界なの!?
世界中の男を跪かせる感じ!?
改めてごめんなさいと令息達に微笑むとみんなが胸を押さえて苦しそうにしている。
……どうしよう!?
対処の仕方が分からない。どうしようかと兄に目を向けると、カインゼル殿下を取り巻く令嬢の壁に阻まれた他の令嬢達が兄に群がっていたわ。
怖すぎる!!
人の群れが王族と私達のテーブルに2分する形になっている。
「ブランシュ、こっちを向いて?」
モニカ姉様の声が聞こえたので振り向くと「はい、あーん」口の中に甘酸っぱい味が広がる。
「モニカ姉様!?」
「やっぱりブランシュは食べている姿も可愛いわ。王宮で作られているラズベリータルトは美味しくて有名なの」
「モニカ姉様、美味しいです」
ロラ姉様も頬ずりしてくるし、それを令息達はうっとりと眺めているわ。
何この光景!?
モニカ姉様は私にお茶やタルトを一口ずつ食べさせてくれる。
「姉様、私は赤ちゃんではありませんわ。自分で食べられます」
頬を膨らませて抗議してみるけれど、あまり効果はないらしい。でも、姉様達のおかげですこし緊張が解けた。
「ねぇさま、私、そろそろ帰りたいです」
「そうね。ここではゆっくりブランシュとお茶もできないもの。挨拶も終わった事だし、お暇しましょうか」
私はロラ姉様とモニカ姉様に手を引かれて母の座っている席までやってきた。
「お母様、そろそろお暇しても構いませんか?」
母は微笑みながら頷く。
「そうね、さっきからブランシュの席が慌ただしくて気になっていたのよ。危険だし、そろそろ帰りましょう」
「お兄様がいませんわ」
「大丈夫よ。馬車に乗り込む頃にはヴェルナーも駆けつけるわ」
母は席を立ち、他の夫人たちに挨拶してから私達は王妃様に挨拶をした。
「メイビリット様、私達はそろそろお暇させていただきます」
「えぇ、そうね。帰りも気を付けた方がいいわ。騎士達を護衛に付けるわ。ではまたね、ブランシュ」
私は震えながらも礼をして中庭を後にする。馬車まではノルヴァン様が護衛として付いてくれるみたい。
「ノルヴァン様、馬車まで送って頂き有難う御座いました。また会えることを願っておりますわ」
リップサービスは必要よね。
「こちらこそ、女神と出会えた事、お送りできた事を誇りに感じております。是非、また王宮へお越しください。いつでも私の名をお呼びください」
ノルヴァン様は最敬礼して見送ってくれるらしい。そこにお兄様がやってきたわ。あの令嬢達をどうやって躱してきたのかしら。
「間に合って良かったよ」
よいしょ、と兄は馬車に乗り込むと、馬車は急ぐように出発する。
我が家の馬車の後ろにはビルンド伯爵家の馬車と王宮から馬に騎乗した騎士達が五名程付いてきている。流石に城から邸まで襲撃なんてないに決まっているわ。だって王都って治安がいいと聞いているもの。
……と思っていた私が馬鹿だったわ。
紋章の付いた制服を着た騎士が数名、私の乗る馬車に並走し始めた。よく見ると皆違う紋章だ。
「マルリアーニ侯爵家の馬車と見受けた!直ちに停車されよ!」
一人の騎士がそう叫ぶ。
「チッ。公爵家の犬がっ!」
ロラ姉様が悪態を吐いている。爵位が上である公爵家に呼び止められては停まるしかない。馬車が停車すると母はイライラしながら馬車を降りて公爵家の騎士に問いかけた。
「公爵家の騎士が我が家に何用かしら?」
「子息様からブランシュ嬢を公爵家にお連れしろと願われた。是非公爵家へとお越しいただきたい」
すると他の家の騎士達も口を揃えて私を連れていくという。
怖い。怖すぎるわ。
あれだけの短時間だったのにも拘らず追いかけて邸に連れていくだなんて。しかも公爵からは拒めないのではないかしら。
ガクブルと震えているとモニカ姉様が微笑みながらギュッと抱きしめてくれる。
「残念ながらそのお誘いは断らせていただきますわ。ここに王家の書状、印が見えますでしょう? 娘を連れて行く事は無理ですわ。では、私たちはこれで失礼しますね」
母がツンとすました顔で馬車に戻ってきた。
「お、お母様。大丈夫なのですか?」
「大丈夫よ、ブランシュ。王妃様からきちんとブランシュを家に送り届けるように命令されているし、他家の無理な誘いを断ってもいいとお許しを頂いているもの」
「母上、これから大変ですね」
兄も母も真面目な顔で話をしている。
「お兄様、何故大変なのでしょうか?」
「ブランシュの存在が知られてしまったから以前よりも襲撃は多くなるわ。侯爵家総出で魔の手からブランシュを守り切らなくてはね?」
お母様はこれ以上ない微笑みで私に答えてくれた。
「ブランシュ嬢、俺はラドン公爵嫡男クリフだ。宜しく」
そう告げた茶髪の騎士風な装いをした彼は跪き胸元のバラを一本私に差し出した。
「ロラ姉様。どうすればいいの?」
私はロラ姉様に抱きついたまま聞くと、『ごめんなさい、まだ相手は決めかねておりますのって言えばいいわ』姉様は耳元でそう教えてくれた。多分だけどこの薔薇は受け取っちゃいけない気がするのよね。
後で兄さまにその辺の事を聞かないとね。
「ラドン公爵子息様、わ、私、まだお相手を決めかねておりますので受け取ろる事は出来ません。ごめんなさい」
私は軽く頭を下げ、ニコリと微笑むと彼はグッっと胸を押さえて跪いてしまった。
な、何故だ!?
すると次々に令息たちが私に跪いて花を差し出してきた。
え?
何これ怖いっ。
美人ってこんな世界なの!?
世界中の男を跪かせる感じ!?
改めてごめんなさいと令息達に微笑むとみんなが胸を押さえて苦しそうにしている。
……どうしよう!?
対処の仕方が分からない。どうしようかと兄に目を向けると、カインゼル殿下を取り巻く令嬢の壁に阻まれた他の令嬢達が兄に群がっていたわ。
怖すぎる!!
人の群れが王族と私達のテーブルに2分する形になっている。
「ブランシュ、こっちを向いて?」
モニカ姉様の声が聞こえたので振り向くと「はい、あーん」口の中に甘酸っぱい味が広がる。
「モニカ姉様!?」
「やっぱりブランシュは食べている姿も可愛いわ。王宮で作られているラズベリータルトは美味しくて有名なの」
「モニカ姉様、美味しいです」
ロラ姉様も頬ずりしてくるし、それを令息達はうっとりと眺めているわ。
何この光景!?
モニカ姉様は私にお茶やタルトを一口ずつ食べさせてくれる。
「姉様、私は赤ちゃんではありませんわ。自分で食べられます」
頬を膨らませて抗議してみるけれど、あまり効果はないらしい。でも、姉様達のおかげですこし緊張が解けた。
「ねぇさま、私、そろそろ帰りたいです」
「そうね。ここではゆっくりブランシュとお茶もできないもの。挨拶も終わった事だし、お暇しましょうか」
私はロラ姉様とモニカ姉様に手を引かれて母の座っている席までやってきた。
「お母様、そろそろお暇しても構いませんか?」
母は微笑みながら頷く。
「そうね、さっきからブランシュの席が慌ただしくて気になっていたのよ。危険だし、そろそろ帰りましょう」
「お兄様がいませんわ」
「大丈夫よ。馬車に乗り込む頃にはヴェルナーも駆けつけるわ」
母は席を立ち、他の夫人たちに挨拶してから私達は王妃様に挨拶をした。
「メイビリット様、私達はそろそろお暇させていただきます」
「えぇ、そうね。帰りも気を付けた方がいいわ。騎士達を護衛に付けるわ。ではまたね、ブランシュ」
私は震えながらも礼をして中庭を後にする。馬車まではノルヴァン様が護衛として付いてくれるみたい。
「ノルヴァン様、馬車まで送って頂き有難う御座いました。また会えることを願っておりますわ」
リップサービスは必要よね。
「こちらこそ、女神と出会えた事、お送りできた事を誇りに感じております。是非、また王宮へお越しください。いつでも私の名をお呼びください」
ノルヴァン様は最敬礼して見送ってくれるらしい。そこにお兄様がやってきたわ。あの令嬢達をどうやって躱してきたのかしら。
「間に合って良かったよ」
よいしょ、と兄は馬車に乗り込むと、馬車は急ぐように出発する。
我が家の馬車の後ろにはビルンド伯爵家の馬車と王宮から馬に騎乗した騎士達が五名程付いてきている。流石に城から邸まで襲撃なんてないに決まっているわ。だって王都って治安がいいと聞いているもの。
……と思っていた私が馬鹿だったわ。
紋章の付いた制服を着た騎士が数名、私の乗る馬車に並走し始めた。よく見ると皆違う紋章だ。
「マルリアーニ侯爵家の馬車と見受けた!直ちに停車されよ!」
一人の騎士がそう叫ぶ。
「チッ。公爵家の犬がっ!」
ロラ姉様が悪態を吐いている。爵位が上である公爵家に呼び止められては停まるしかない。馬車が停車すると母はイライラしながら馬車を降りて公爵家の騎士に問いかけた。
「公爵家の騎士が我が家に何用かしら?」
「子息様からブランシュ嬢を公爵家にお連れしろと願われた。是非公爵家へとお越しいただきたい」
すると他の家の騎士達も口を揃えて私を連れていくという。
怖い。怖すぎるわ。
あれだけの短時間だったのにも拘らず追いかけて邸に連れていくだなんて。しかも公爵からは拒めないのではないかしら。
ガクブルと震えているとモニカ姉様が微笑みながらギュッと抱きしめてくれる。
「残念ながらそのお誘いは断らせていただきますわ。ここに王家の書状、印が見えますでしょう? 娘を連れて行く事は無理ですわ。では、私たちはこれで失礼しますね」
母がツンとすました顔で馬車に戻ってきた。
「お、お母様。大丈夫なのですか?」
「大丈夫よ、ブランシュ。王妃様からきちんとブランシュを家に送り届けるように命令されているし、他家の無理な誘いを断ってもいいとお許しを頂いているもの」
「母上、これから大変ですね」
兄も母も真面目な顔で話をしている。
「お兄様、何故大変なのでしょうか?」
「ブランシュの存在が知られてしまったから以前よりも襲撃は多くなるわ。侯爵家総出で魔の手からブランシュを守り切らなくてはね?」
お母様はこれ以上ない微笑みで私に答えてくれた。
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