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薔薇色の瞳
しおりを挟むエリザベス様に手を引かれて、元のテーブルまで戻ってきた。
私、ルブラン殿下を怒らせるようなことしちゃったのかな……。最悪家取り潰しとか……。どうしよう……。
「…と。ちょっとアリア?聞いてるの?」
「はっすみません。聞いてませんでした。」
ネガティブ思考で頭がいっぱいだった。それでエリザベス様のお話を聞き逃すなんて最悪だ。……もしかして、エリザベス様も私のさっきの態度に怒ってらっしゃるのかな。そんなに、カーテシー下手くそだったかな…。
「もう、仕方ないわね。……アリア、顔色が酷いわよ。帰った方が良いけれど、それだと私の友達としては不合格だわ。……殿下的にね。」
ふ、ふごうかく……?友達に合否があるの…!?
「私は、どうしたら…。あの、先程は、私の何が良くなかったのですか?」
「良い、悪いの問題ではないわ。……アリアは、前回開催されたお茶会にも参加していたでしょう。その時、私の隣にあなたはいなかった。でも、今回私の隣にあなたはいる。これがどういうことかわかる?」
「もしかして…エリザベスの隣にいることで殿下の視界に入ろうとしているように見えているということですか……?」
「そうね。そして、ルブラン殿下は、アリアを試した。……アリアは、毒か薬か。だから、ここで帰ってしまえば、殿下の視線に怯んでしっぽを巻いて逃げた小心者。そんな者が、筆頭貴族の隣にいることで起こるリスクを見ているのでしょうね……。」
なんてこった……!もしここで認めていただけなければ、私はエリザベス様と交流することができない…さらに、殿下のことを気にせずそのまま一緒にいれば、エリザベス様まで……
「エリザベス、私、頑張ります、相応しくなれるように。」
「えぇ、そうしてちょうだいな。……私だってせっかく出来た友達を失いたくはないわ。」
エリザベス様は、頬を薄く染めて、薔薇色の瞳を細め、柔らかく微笑んだ。
エリザベス様の艶やかな金髪が、陽の光に照らされて、キラキラと眩しかった。
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