52 / 81
第2章 王への道
十六話 控え室にて
しおりを挟む
なんだか二章になってから主人公が変わってきたと思う今日この頃。
今回は宴の直前の話です。
楽しんでいただけると嬉しいです。
ーーー
かつて俺が創生神イザナギにミスって転移させられた、遥か天空に浮かぶ秘境、『遥か高き果ての森』。
それは俺の亜神化、並びに真の神への昇華に伴う核となる『エナジーコア』の力の急激な増加・暴走により新たな大陸へと進化を遂げた。
俺の中で新生秘境と呼称しているこの場所は『始まりの森』と名を改めた元『遥か高き果ての森』を中心にちょうど八角形のような形をしているらしい。
ピザのピースみたいに八つの地域に区分されたうち、西に位置する地域にある都が存在する。それは新生秘境を統率するものたちが住まう、大陸中の文化の集まった場所だ。
首都であるそこは、エクセイザーを筆頭とした元『遥か高き果ての森』のメンバーで構成された政府、そして各秘境の統率者で構成された〝統率府〟が運営している。
城塞に囲まれる首都は権威の象徴、そして政府並びに〝統率府〟の仕事場である城を中心にいつくかの区画に分かれて構成されている。
新生秘境の運営に関わる施設の集まる〝行政区〟。
大陸中の魔物商人と物の集まる市場である〝商業区〟。
首都に住む他国からの使者や魔物たちの住んでいる〝居住区〟。
そして娯楽施設を主にして研究所や工房、鍛冶屋などのある〝歓楽区〟。
大まかに言えばこの四つの区画に区分される。その中でさらに種類別に分かれており、さらに細かい区分けがあるらしいが長くなるので割愛する。
そして歓楽区には何か大きな催しをする際に使われる、特殊な異空間にある巨大な広場がある。
その規模は大陸中の魔物や亜人、人間が集まってなお余りあるほど。最初に使用されたのは首都の完成を祝う祭りだったとか。
そして、エクセイザーを主にして空間魔法の使い手達で作られたその場所にて今日、新たに一つの宴が大陸中の生き物達を集めて行われる。
それは、俺……新生秘境の誕生の原因となった人間、皇龍人の覚醒を祝う宴。一週間前から招待が行われ、今、始まろうとしている。
「ーーと思っている。だから俺は……」
そんな中、俺は広場に設置された建物の控え室にてスピーチの練習をしていた。鏡の前に立ち、堂々と胸を張って声を張り上げている。
この部屋は防音設備が整っており、声を張り上げても外には全く漏れない。そのため、俺は気兼ねなく演説の練習をしていた。
カンペを作ったのは5日前、エクセイザーにこの宴のことを聞かされた日からこうして練習を重ねていた。
飛躍的に向上した記憶力で完璧に記憶した内容を、より力強く、印象に残るように修正をする。
幸い、瑠璃が現れてからはクラスにも溶け込み、クラス委員として文化祭の指揮を取っていたことがあるのでそこまで直す必要はなかった。
「……以上で演説を終える。ご静聴、感謝します」
通算67回目になる練習を終えると、正していた背中から力を抜いて息を吐いた。ふう、なんとかまとまったな。
力のこもった肩をほぐすと、手に霊力を纏って鏡に触る。するとそれまでなんの変哲も無いガラスに波紋が浮かぶ。
数秒して、つい先ほどまでの練習中の俺の姿が映し出された。これは写っていたものを最大一時間まで記録することのできる魔道具だ。
事前にセットして録画した自分のスピーチは、我ながらなかなか堂に入っているものだった。これなら大丈夫か。
魔道具を停止し、ポケットからカンペを取り出してもう一度見ておく。神化した脳は一度読んだだけで一言一句全て記憶したが、なんとなく間違えていないか確認したくなった。
そうやってカンペと睨めっこしていると、コンコンというノックとともに扉の開く音が聞こえる。思わず顔を上げてそちらを見た。
「失礼するぞ……と、なんじゃ、まだ確認しておったのか」
「よーリュート、来たぜ」
そう言って入って来たのは、いつもとは違う装いのエクセイザーとヴェルだった。振り返って見て、二人の姿に思わず見惚れる。
エクセイザーは十年前の、俺の知る艶やかな紫色のドレスを纏っていた。それに控えめに装飾を付け足し、髪をセットした感じだ。
それは大人びた彼女の魅力が前面に押し出されており、非常に美しい。改めて、こんな美人が自分の奥さんだと思うと驚いた。
対するヴェルは、いつもの機動力重視の開放的な服装とは真逆に、ロングスカートの落ち着いた漆黒のドレスを着ている。
眼帯はしておらず、代わりに髪を下ろす髪型にすることで隠しており、むしろそちらの方が自然に見えて胸が高鳴る。
「ふふ、どうやら気に入ってもらえたようじゃぞ」
「へえ、そりゃよかった」
不敵に笑うエクセイザーと、ニヤニヤとした顔でこちらを見るヴェルにようやくハッと我にかえる。
や、やべえ。あまりにも二人が綺麗すぎて、エクセイザーに思考が筒抜けなのを完全に忘れてた。めちゃくちゃ恥ずかしい。
いや、嘘偽りない本心を伝えられたと思えば、むしろいいことなのか……いや、やっぱそんなわけない、恥ずかしい。
熱くなっている顔をそらしていると、コツコツと廊下の方から足音が聞こえて来た。誰かが、こちらに近づいてきている。
「おや、本命が来たようじゃの」
「本命?」
エクセイザーの言葉をおうむ返しにしていると、部屋の前で足音が一旦途絶える。どうやらここに向かっていたようだ。
そして、再び足音を鳴らして姿を現したのは……
「……センパイ」
……純白のドレスに身を包んだ、シリルラだった。
「ッーーー」
これまで生きてきて、驚くようなことやわれを忘れるようなことは何度もあった。実際、先ほどもエクセイザーたちを見て驚いた。
でも……でもきっと、この瞬間に比べればなんでもないことのように、そう思えてしまった。それほどまでに衝撃的だったから。
何の穢れもない真っ白なドレスを纏ったシリルラは、どこまでも美しかった。文字通り天上の存在といっても過言ではない。
ひざ下まで届くスカート状のドレスはよく見れば細かな装飾が施されており、一級品であることが伺える。
しかしそれは、あくまでシリルラの美しさを引き立てているに過ぎない。見るべきは、彼女自身。
白い肌は息を呑むほどきめ細やかで、まるで陶器のよう…いや、もしくはそれ以上に透き通っている。
人形のように整った相貌は触れれば壊れてしまいそうなほど儚げで、手を伸ばすのを思わずためらうほど。
瑠璃色の髪は片方を耳にかけ、花形の飾りで留めている。それによって露わになった首筋は清楚な色気が漂っていた。
まさに至高、神がかっているという言葉が正しいだろう。最愛の少女は、今まで見たどんなものよりも綺麗だった。
だから俺は、体を駆け巡る衝動の赴くままにーー
「ーー結婚してくれ」
ーー気がつけば、そんな言葉を吐き出していた。
口にして初めて、自分が何をやっているのかを自覚する。ふと見れば、いつのまにか俺はシリルラの前に跪き、彼女の手を取っていた。
……あれ? 俺、何やってんだ?
呆然とシリルラを見上げれば、白磁の頬を赤く染めて驚いている。
「……ふふ。はい、喜んで」
しかし、次の瞬間シリルラは微笑んでそう言葉を返してくれた。冗談だとわかっていながらも、嬉しいという気持ちが湧き上がってくる。
「「……………」」
……はっ!? な、なんだ。今後ろを振り向いたら、とても後悔しそうな予感がする。とても後ろの二人を見たくない。
それでも振り向いてしまうのは、好奇心のいたずらか。まったくもって、現実というのは思い通りにいかない。
…この数秒後、俺はこんなことをしなければよかったと、自分の行動を後悔することになるが、それを今の俺が知る由もなかった。
恐る恐る振り返った先には……先ほど以上にニヤニヤとしているエクセイザーとヴェルがいた。
聞かなくても、何を考えているのかは一目瞭然だ。俺は慌てて立ち上がり、言い訳をしようとする。
「あ、あの、これは、だな……」
「いやいや、わかっておるぞ。抑えきれなかったのじゃろう?」
「大丈夫だって。普段から見てりゃシリルラが一番なのはわかってるからよ」
ぽん、と俺の両肩に手を置いて笑顔で頷く二人にがっくりと肩を落とす。いや、確かにその通りなんだけどね!
……シリルラのドレス姿を見ただけで我を忘れてあんな行動をとるとは、我ながらかなり感情的だ。
以前からちょくちょく思ってたけど、神になってから感情がそのまま行動に出ている気がする。これは自制しなくては。
ていうか……こんな祭りのためのドレス程度でこんなになるなら、本当のドレスを見たときはどうなってしまうのか。
…いや、やっぱりやめておこう。想像するだけで、自分がどんな行動に出るのか恐ろしくなる。マジで体をコントロールできるようにしなくちゃ。
「ふむ……それにしても、案外似合っておるの」
「そ、そうか?」
「おう、キマってるぜ」
「思ったよりかっこいいですね、センパイ」
俺の身を包むユキさんのオーダーメイドであるタキシードに目を向け、褒めてくれる二人。少し照れくさくなって頬をかく。
「それにしても…存外、緊張していないのう?」
「え?」
「そうそう、緊張してたら励ましてやろうと思ってここに来たんだけどよ」
「どうやら、いらない心配だったようですね」
うんうんと頷く三人。そうか、彼女たちは俺を励ましに来てくれたのか。ちょっと恥ずかしいけど、嬉しいな。
実際、緊張していなかったといえば嘘になる。そうじゃなきゃ、何回も鏡を使って自分の演説を確認なんかしない。
さっきクラスの指揮をとったと言ったが、正直言ってそんなものは今回に限ってはほとんど役に立たないだろう。
やることは同じなれど、規模が全く違う。せいぜい三十人くらいと、数千、数万もの大衆が相手ではまるで比べ物にならない。
しかも、相手は気心の知れたクラスメイトではなく、ほとんどが初対面の奴らだ。そんな中緊張しないでいられるほど、俺の肝はすわってない。
もちろん、ここまできて逃げるようなつもりはない。ただ、もし失敗したらという不安がどうしても拭いきれないのだ。
しかし、それは三人が来たことで良い意味でも悪い意味でもかなりなくなった。恥ずかしい思いはしたが、わずかに強張っていた力を抜くことができた。
「ほう、そうじゃったのか……まあ心配するな、妾たちが側についておるゆえ、心配はいらぬ」
「なんだよ、まだ不安だったのか?大丈夫だぞ、どんな失敗しても笑わないからよ」
「おう、ありがとう…って、そこは成功する前提で言ってくれよ」
「そうですね、センパイが恥ずかしいミスをしても笑うことは……プフッ」
「おい、今失敗するとこ想像したろ」
「いえ、なんのことだかわかりませんね……プクク」
完全にからかっているシリルラ。全くこいつは、親密な関係になっても俺を弄るのがお好きなようだ。
いたずら好きの彼女に苦笑するも、心配するなと頷く三人に頼もしさを覚える。これはいよいよ失敗はできなくなった。
彼女たちを失望させないため……一人は笑わせないために……頑張らなくては。
「……パパ」
「父ちゃん!」
拳を握って意気込んでいると、新たな人物が控え室に入ってくる。それは、俺の最愛の二人の娘たちだった。その後ろにいるメイド?さあ、見えないな。
真っ直ぐ突進してきたローサを受け止め、次にトテトテと近づいてきたウィータをもう片方の手で抱き寄せる。
「二人とも、よく来たな」
「…ん、きた」
「えへへー、ねえ父ちゃん、これ可愛い?」
胸の中で笑うローサを見れば、ピンク色のドレスを着ていて、フリルが可愛らしく揺れるそれにはローサの明るい笑顔がよく似合っていた。
対するウィータは、落ち着いた紺色のドレス。ハーフアップにされた銀髪を髪型を崩さないよう撫でれば、気持ちよさそうに目を細める。
「ん…パパ、気持ち良い」
「あー、姉ちゃんだけずるい! 父ちゃん、私も!」
「はいはい」
「えへへー」
天使のような笑顔を浮かべるローサとスリスリと頭を寄せてくるウィータに、どんどん心が癒されていく。ああ、ここが理想郷か……!
しばらくすると、二人を離して立ち上がろうとする。すると、ウィータがくいっとズボンの裾を引いた。
「どうした?」
「……パパ、しゃがんで」
「お、おう」
言われた通りしゃがみ込めば、ウィータは俺の頭を撫でてきた。それはとても優しいもので、心に温かい何かが広がっていく。
「えっと、ウィータ?」
「……パパ、頑張ってね? 応援してるから」
……そうか。こいつは、励ましに来てくれたのか。なんて可愛い娘なんだ。
「ああ、頑張るぜ」
「ん!」
「父ちゃん、頑張れよ!」
「おう!」
力強く答えて、愛娘二人をもう一度抱きしめる。そうすると、大勢の民衆を前にする不安が溶けていく気がした。
愛する人たちからの応援と、娘からの応援。この二つを受けた今、俺の心から完全に不安は消え去った。これならいける。
「あら、いつも通りだ」
「ん、レイ?」
「やっほー、リュー兄」
声のした方に顔を向ければ、ドレス姿のレイが入り口の横の壁に寄りかかっていた。そしてパチッとウィンクをしてジェスチャーをする。可愛い。
「なんか、大丈夫そうだね」
「ああ。シリルラ達と二人に励まされたからな」
「……どやっ」
「へへーん!」
「むしろ、あんなことをしておいてミスをしたらそれこそお笑いものですね」
「ふふ、そうじゃのう」
「おいおい、からかってやるなよ……まあ、ちょっと見て見たい気もするけど」
「おいお前ら、意地が悪いぞ」
胸を張る二人の頭に手を置きながらシリルラ達に答えていると、苦笑しているレイが壁から背中を離して目の前までやってきた。
「そっか。でも一応私からも言っておくよ……頑張ってね、リュー兄。きっと色んなことを言う人もいると思うけど、私たちは味方だからね」
「ああ、やれるだけやってみるさ」
心配そうな顔をするレイに出来るだけ自信満々な顔をして胸を叩く。すると、ずっと沈黙してた(ついでに視界に入れないようにしていた)シドが、レイの後ろから顔を出した。
「ご主人様……」
「……なんだ」
「まだ今少し不安が残っていらっしゃるようでしたら、私を叩いて発散「ふんっ!」ありがとうございますっ!」
相変わらず平常運転な変態メイドを拳骨で黙らせると、入り口のほうからこの施設の職員の魔物が現れて時間であることを告げてきた。
それにすぐに行くと答えると、一度目を閉じて深く息を吐く。そうすることで心を今一度落ち着かせた。
「……よし、行くか」
目を開くと、覚悟を決めた表情をして、あれ入り口へと……その先にいる大勢の民衆へと、一歩踏み出したのだった。
さあ……いよいよ、宴の始まりだ。
ちなみに、シドは廊下に出たところで復活して追いかけてきた。そのまま沈んでればよかったのにと思ったのは内緒だ。
ーーー
次回、ついに演説です。
感想をお願いします。
今回は宴の直前の話です。
楽しんでいただけると嬉しいです。
ーーー
かつて俺が創生神イザナギにミスって転移させられた、遥か天空に浮かぶ秘境、『遥か高き果ての森』。
それは俺の亜神化、並びに真の神への昇華に伴う核となる『エナジーコア』の力の急激な増加・暴走により新たな大陸へと進化を遂げた。
俺の中で新生秘境と呼称しているこの場所は『始まりの森』と名を改めた元『遥か高き果ての森』を中心にちょうど八角形のような形をしているらしい。
ピザのピースみたいに八つの地域に区分されたうち、西に位置する地域にある都が存在する。それは新生秘境を統率するものたちが住まう、大陸中の文化の集まった場所だ。
首都であるそこは、エクセイザーを筆頭とした元『遥か高き果ての森』のメンバーで構成された政府、そして各秘境の統率者で構成された〝統率府〟が運営している。
城塞に囲まれる首都は権威の象徴、そして政府並びに〝統率府〟の仕事場である城を中心にいつくかの区画に分かれて構成されている。
新生秘境の運営に関わる施設の集まる〝行政区〟。
大陸中の魔物商人と物の集まる市場である〝商業区〟。
首都に住む他国からの使者や魔物たちの住んでいる〝居住区〟。
そして娯楽施設を主にして研究所や工房、鍛冶屋などのある〝歓楽区〟。
大まかに言えばこの四つの区画に区分される。その中でさらに種類別に分かれており、さらに細かい区分けがあるらしいが長くなるので割愛する。
そして歓楽区には何か大きな催しをする際に使われる、特殊な異空間にある巨大な広場がある。
その規模は大陸中の魔物や亜人、人間が集まってなお余りあるほど。最初に使用されたのは首都の完成を祝う祭りだったとか。
そして、エクセイザーを主にして空間魔法の使い手達で作られたその場所にて今日、新たに一つの宴が大陸中の生き物達を集めて行われる。
それは、俺……新生秘境の誕生の原因となった人間、皇龍人の覚醒を祝う宴。一週間前から招待が行われ、今、始まろうとしている。
「ーーと思っている。だから俺は……」
そんな中、俺は広場に設置された建物の控え室にてスピーチの練習をしていた。鏡の前に立ち、堂々と胸を張って声を張り上げている。
この部屋は防音設備が整っており、声を張り上げても外には全く漏れない。そのため、俺は気兼ねなく演説の練習をしていた。
カンペを作ったのは5日前、エクセイザーにこの宴のことを聞かされた日からこうして練習を重ねていた。
飛躍的に向上した記憶力で完璧に記憶した内容を、より力強く、印象に残るように修正をする。
幸い、瑠璃が現れてからはクラスにも溶け込み、クラス委員として文化祭の指揮を取っていたことがあるのでそこまで直す必要はなかった。
「……以上で演説を終える。ご静聴、感謝します」
通算67回目になる練習を終えると、正していた背中から力を抜いて息を吐いた。ふう、なんとかまとまったな。
力のこもった肩をほぐすと、手に霊力を纏って鏡に触る。するとそれまでなんの変哲も無いガラスに波紋が浮かぶ。
数秒して、つい先ほどまでの練習中の俺の姿が映し出された。これは写っていたものを最大一時間まで記録することのできる魔道具だ。
事前にセットして録画した自分のスピーチは、我ながらなかなか堂に入っているものだった。これなら大丈夫か。
魔道具を停止し、ポケットからカンペを取り出してもう一度見ておく。神化した脳は一度読んだだけで一言一句全て記憶したが、なんとなく間違えていないか確認したくなった。
そうやってカンペと睨めっこしていると、コンコンというノックとともに扉の開く音が聞こえる。思わず顔を上げてそちらを見た。
「失礼するぞ……と、なんじゃ、まだ確認しておったのか」
「よーリュート、来たぜ」
そう言って入って来たのは、いつもとは違う装いのエクセイザーとヴェルだった。振り返って見て、二人の姿に思わず見惚れる。
エクセイザーは十年前の、俺の知る艶やかな紫色のドレスを纏っていた。それに控えめに装飾を付け足し、髪をセットした感じだ。
それは大人びた彼女の魅力が前面に押し出されており、非常に美しい。改めて、こんな美人が自分の奥さんだと思うと驚いた。
対するヴェルは、いつもの機動力重視の開放的な服装とは真逆に、ロングスカートの落ち着いた漆黒のドレスを着ている。
眼帯はしておらず、代わりに髪を下ろす髪型にすることで隠しており、むしろそちらの方が自然に見えて胸が高鳴る。
「ふふ、どうやら気に入ってもらえたようじゃぞ」
「へえ、そりゃよかった」
不敵に笑うエクセイザーと、ニヤニヤとした顔でこちらを見るヴェルにようやくハッと我にかえる。
や、やべえ。あまりにも二人が綺麗すぎて、エクセイザーに思考が筒抜けなのを完全に忘れてた。めちゃくちゃ恥ずかしい。
いや、嘘偽りない本心を伝えられたと思えば、むしろいいことなのか……いや、やっぱそんなわけない、恥ずかしい。
熱くなっている顔をそらしていると、コツコツと廊下の方から足音が聞こえて来た。誰かが、こちらに近づいてきている。
「おや、本命が来たようじゃの」
「本命?」
エクセイザーの言葉をおうむ返しにしていると、部屋の前で足音が一旦途絶える。どうやらここに向かっていたようだ。
そして、再び足音を鳴らして姿を現したのは……
「……センパイ」
……純白のドレスに身を包んだ、シリルラだった。
「ッーーー」
これまで生きてきて、驚くようなことやわれを忘れるようなことは何度もあった。実際、先ほどもエクセイザーたちを見て驚いた。
でも……でもきっと、この瞬間に比べればなんでもないことのように、そう思えてしまった。それほどまでに衝撃的だったから。
何の穢れもない真っ白なドレスを纏ったシリルラは、どこまでも美しかった。文字通り天上の存在といっても過言ではない。
ひざ下まで届くスカート状のドレスはよく見れば細かな装飾が施されており、一級品であることが伺える。
しかしそれは、あくまでシリルラの美しさを引き立てているに過ぎない。見るべきは、彼女自身。
白い肌は息を呑むほどきめ細やかで、まるで陶器のよう…いや、もしくはそれ以上に透き通っている。
人形のように整った相貌は触れれば壊れてしまいそうなほど儚げで、手を伸ばすのを思わずためらうほど。
瑠璃色の髪は片方を耳にかけ、花形の飾りで留めている。それによって露わになった首筋は清楚な色気が漂っていた。
まさに至高、神がかっているという言葉が正しいだろう。最愛の少女は、今まで見たどんなものよりも綺麗だった。
だから俺は、体を駆け巡る衝動の赴くままにーー
「ーー結婚してくれ」
ーー気がつけば、そんな言葉を吐き出していた。
口にして初めて、自分が何をやっているのかを自覚する。ふと見れば、いつのまにか俺はシリルラの前に跪き、彼女の手を取っていた。
……あれ? 俺、何やってんだ?
呆然とシリルラを見上げれば、白磁の頬を赤く染めて驚いている。
「……ふふ。はい、喜んで」
しかし、次の瞬間シリルラは微笑んでそう言葉を返してくれた。冗談だとわかっていながらも、嬉しいという気持ちが湧き上がってくる。
「「……………」」
……はっ!? な、なんだ。今後ろを振り向いたら、とても後悔しそうな予感がする。とても後ろの二人を見たくない。
それでも振り向いてしまうのは、好奇心のいたずらか。まったくもって、現実というのは思い通りにいかない。
…この数秒後、俺はこんなことをしなければよかったと、自分の行動を後悔することになるが、それを今の俺が知る由もなかった。
恐る恐る振り返った先には……先ほど以上にニヤニヤとしているエクセイザーとヴェルがいた。
聞かなくても、何を考えているのかは一目瞭然だ。俺は慌てて立ち上がり、言い訳をしようとする。
「あ、あの、これは、だな……」
「いやいや、わかっておるぞ。抑えきれなかったのじゃろう?」
「大丈夫だって。普段から見てりゃシリルラが一番なのはわかってるからよ」
ぽん、と俺の両肩に手を置いて笑顔で頷く二人にがっくりと肩を落とす。いや、確かにその通りなんだけどね!
……シリルラのドレス姿を見ただけで我を忘れてあんな行動をとるとは、我ながらかなり感情的だ。
以前からちょくちょく思ってたけど、神になってから感情がそのまま行動に出ている気がする。これは自制しなくては。
ていうか……こんな祭りのためのドレス程度でこんなになるなら、本当のドレスを見たときはどうなってしまうのか。
…いや、やっぱりやめておこう。想像するだけで、自分がどんな行動に出るのか恐ろしくなる。マジで体をコントロールできるようにしなくちゃ。
「ふむ……それにしても、案外似合っておるの」
「そ、そうか?」
「おう、キマってるぜ」
「思ったよりかっこいいですね、センパイ」
俺の身を包むユキさんのオーダーメイドであるタキシードに目を向け、褒めてくれる二人。少し照れくさくなって頬をかく。
「それにしても…存外、緊張していないのう?」
「え?」
「そうそう、緊張してたら励ましてやろうと思ってここに来たんだけどよ」
「どうやら、いらない心配だったようですね」
うんうんと頷く三人。そうか、彼女たちは俺を励ましに来てくれたのか。ちょっと恥ずかしいけど、嬉しいな。
実際、緊張していなかったといえば嘘になる。そうじゃなきゃ、何回も鏡を使って自分の演説を確認なんかしない。
さっきクラスの指揮をとったと言ったが、正直言ってそんなものは今回に限ってはほとんど役に立たないだろう。
やることは同じなれど、規模が全く違う。せいぜい三十人くらいと、数千、数万もの大衆が相手ではまるで比べ物にならない。
しかも、相手は気心の知れたクラスメイトではなく、ほとんどが初対面の奴らだ。そんな中緊張しないでいられるほど、俺の肝はすわってない。
もちろん、ここまできて逃げるようなつもりはない。ただ、もし失敗したらという不安がどうしても拭いきれないのだ。
しかし、それは三人が来たことで良い意味でも悪い意味でもかなりなくなった。恥ずかしい思いはしたが、わずかに強張っていた力を抜くことができた。
「ほう、そうじゃったのか……まあ心配するな、妾たちが側についておるゆえ、心配はいらぬ」
「なんだよ、まだ不安だったのか?大丈夫だぞ、どんな失敗しても笑わないからよ」
「おう、ありがとう…って、そこは成功する前提で言ってくれよ」
「そうですね、センパイが恥ずかしいミスをしても笑うことは……プフッ」
「おい、今失敗するとこ想像したろ」
「いえ、なんのことだかわかりませんね……プクク」
完全にからかっているシリルラ。全くこいつは、親密な関係になっても俺を弄るのがお好きなようだ。
いたずら好きの彼女に苦笑するも、心配するなと頷く三人に頼もしさを覚える。これはいよいよ失敗はできなくなった。
彼女たちを失望させないため……一人は笑わせないために……頑張らなくては。
「……パパ」
「父ちゃん!」
拳を握って意気込んでいると、新たな人物が控え室に入ってくる。それは、俺の最愛の二人の娘たちだった。その後ろにいるメイド?さあ、見えないな。
真っ直ぐ突進してきたローサを受け止め、次にトテトテと近づいてきたウィータをもう片方の手で抱き寄せる。
「二人とも、よく来たな」
「…ん、きた」
「えへへー、ねえ父ちゃん、これ可愛い?」
胸の中で笑うローサを見れば、ピンク色のドレスを着ていて、フリルが可愛らしく揺れるそれにはローサの明るい笑顔がよく似合っていた。
対するウィータは、落ち着いた紺色のドレス。ハーフアップにされた銀髪を髪型を崩さないよう撫でれば、気持ちよさそうに目を細める。
「ん…パパ、気持ち良い」
「あー、姉ちゃんだけずるい! 父ちゃん、私も!」
「はいはい」
「えへへー」
天使のような笑顔を浮かべるローサとスリスリと頭を寄せてくるウィータに、どんどん心が癒されていく。ああ、ここが理想郷か……!
しばらくすると、二人を離して立ち上がろうとする。すると、ウィータがくいっとズボンの裾を引いた。
「どうした?」
「……パパ、しゃがんで」
「お、おう」
言われた通りしゃがみ込めば、ウィータは俺の頭を撫でてきた。それはとても優しいもので、心に温かい何かが広がっていく。
「えっと、ウィータ?」
「……パパ、頑張ってね? 応援してるから」
……そうか。こいつは、励ましに来てくれたのか。なんて可愛い娘なんだ。
「ああ、頑張るぜ」
「ん!」
「父ちゃん、頑張れよ!」
「おう!」
力強く答えて、愛娘二人をもう一度抱きしめる。そうすると、大勢の民衆を前にする不安が溶けていく気がした。
愛する人たちからの応援と、娘からの応援。この二つを受けた今、俺の心から完全に不安は消え去った。これならいける。
「あら、いつも通りだ」
「ん、レイ?」
「やっほー、リュー兄」
声のした方に顔を向ければ、ドレス姿のレイが入り口の横の壁に寄りかかっていた。そしてパチッとウィンクをしてジェスチャーをする。可愛い。
「なんか、大丈夫そうだね」
「ああ。シリルラ達と二人に励まされたからな」
「……どやっ」
「へへーん!」
「むしろ、あんなことをしておいてミスをしたらそれこそお笑いものですね」
「ふふ、そうじゃのう」
「おいおい、からかってやるなよ……まあ、ちょっと見て見たい気もするけど」
「おいお前ら、意地が悪いぞ」
胸を張る二人の頭に手を置きながらシリルラ達に答えていると、苦笑しているレイが壁から背中を離して目の前までやってきた。
「そっか。でも一応私からも言っておくよ……頑張ってね、リュー兄。きっと色んなことを言う人もいると思うけど、私たちは味方だからね」
「ああ、やれるだけやってみるさ」
心配そうな顔をするレイに出来るだけ自信満々な顔をして胸を叩く。すると、ずっと沈黙してた(ついでに視界に入れないようにしていた)シドが、レイの後ろから顔を出した。
「ご主人様……」
「……なんだ」
「まだ今少し不安が残っていらっしゃるようでしたら、私を叩いて発散「ふんっ!」ありがとうございますっ!」
相変わらず平常運転な変態メイドを拳骨で黙らせると、入り口のほうからこの施設の職員の魔物が現れて時間であることを告げてきた。
それにすぐに行くと答えると、一度目を閉じて深く息を吐く。そうすることで心を今一度落ち着かせた。
「……よし、行くか」
目を開くと、覚悟を決めた表情をして、あれ入り口へと……その先にいる大勢の民衆へと、一歩踏み出したのだった。
さあ……いよいよ、宴の始まりだ。
ちなみに、シドは廊下に出たところで復活して追いかけてきた。そのまま沈んでればよかったのにと思ったのは内緒だ。
ーーー
次回、ついに演説です。
感想をお願いします。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~
宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。
転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。
良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。
例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。
けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。
同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。
彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!?
※小説家になろう様にも掲載しています。
辺境貴族ののんびり三男は魔道具作って自由に暮らします
雪月夜狐
ファンタジー
書籍化決定しました!
(書籍化にあわせて、タイトルが変更になりました。旧題は『辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~』です)
壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。
辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。
しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。
第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。
黒ハット
ファンタジー
前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。
傷物転生令嬢マグダリーナと原初の魔法使いエステラの幻想譚-女神とスライムの光とともに- (旧タイトル:ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異
天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――
※他サイトでも掲載しています
※ちょいちょい手直ししていってます
2026.12.14 タイトル変更 旧タイトル:ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活
剣ぺろ伝説〜悪役貴族に転生してしまったが別にどうでもいい〜
みっちゃん
ファンタジー
俺こと「天城剣介」は22歳の日に交通事故で死んでしまった。
…しかし目を覚ますと、俺は知らない女性に抱っこされていた!
「元気に育ってねぇクロウ」
(…クロウ…ってまさか!?)
そうここは自分がやっていた恋愛RPGゲーム
「ラグナロク•オリジン」と言う学園と世界を舞台にした超大型シナリオゲームだ
そんな世界に転生して真っ先に気がついたのは"クロウ"と言う名前、そう彼こそ主人公の攻略対象の女性を付け狙う、ゲーム史上最も嫌われている悪役貴族、それが
「クロウ•チューリア」だ
ありとあらゆる人々のヘイトを貯める行動をして最後には全てに裏切られてザマァをされ、辺境に捨てられて惨めな日々を送る羽目になる、そう言う運命なのだが、彼は思う
運命を変えて仕舞えば物語は大きく変わる
"バタフライ効果"と言う事を思い出し彼は誓う
「ザマァされた後にのんびりスローライフを送ろう!」と!
その為に彼がまず行うのはこのゲーム唯一の「バグ技」…"剣ぺろ"だ
剣ぺろと言う「バグ技」は
"剣を舐めるとステータスのどれかが1上がるバグ"だ
この物語は
剣ぺろバグを使い優雅なスローライフを目指そうと奮闘する悪役貴族の物語
(自分は学園編のみ登場してそこからは全く登場しない、ならそれ以降はのんびりと暮らせば良いんだ!)
しかしこれがフラグになる事を彼はまだ知らない
99歳で亡くなり異世界に転生した老人は7歳の子供に生まれ変わり、召喚魔法でドラゴンや前世の世界の物を召喚して世界を変える
ハーフのクロエ
ファンタジー
夫が病気で長期入院したので夫が途中まで書いていた小説を私なりに書き直して完結まで投稿しますので応援よろしくお願いいたします。
主人公は建築会社を55歳で取り締まり役常務をしていたが惜しげもなく早期退職し田舎で大好きな農業をしていた。99歳で亡くなった老人は前世の記憶を持ったまま7歳の少年マリュウスとして異世界の僻地の男爵家に生まれ変わる。10歳の鑑定の儀で、火、水、風、土、木の5大魔法ではなく、この世界で初めての召喚魔法を授かる。最初に召喚出来たのは弱いスライム、モグラ魔獣でマリウスはガッカリしたが優しい家族に見守られ次第に色んな魔獣や地球の、物などを召喚出来るようになり、僻地の男爵家を発展させ気が付けば大陸一豊かで最強の小さい王国を起こしていた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる