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第2章 王への道

二十四話 本戦 第5ブロック

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減っていくばかりのお気に入りを見て、なんだかやる気が急激に無くなっている作者です。
今回からの決まりごととして、読者様からの感想が来ない場合、少し更新を停止することにしました。
楽しんでいただけると嬉しいです。


ーーー


『皆さま、第4ブロックは驚きの展開でしたね!ほとんど動かなかったコモノ選手が、一瞬で勝利を収めました!』
『意外な展開も、このような催し物の醍醐味じゃろう。さて、それでは次は最後の試合じゃ。皆のもの、存分に楽しんでくれ』

   二人の言葉とともに、第5ブロック……大武闘大会本戦、最後の試合が開始されようとしていた。

   それは同時に、俺が戦う五人の、最後の一人が決まることを意味している。いよいよ、皆の前で力を振るうのだ。

   自然と、緊張が体を強張らせる。これまで俺が戦ってきたのは、自分の大切なもののためだ。

   だが、これは違う。これから皆のためにも戦っていく意思を、力を示すための、いわば一つの自己表明だ。

   それに、もともと陰陽師は公にではなく、密かに悪を断ずる存在。人前で戦うのなど、陰陽師同士の戯れの時のみだ。

   俺もその経験がないわけではないが、見ている人間の規模が違う。不安が心によぎるのは、仕方がないだろう。

「それに……」

   不安材料は他にもある。次の試合に出る選手の資料の一枚を見て、俺はどうしようもない不安に駆られた。

 俺の心中でもやもやとした気持ちが広がる中、壁が開いて選手たちが入場してくる。それがやけに重々しく感じた。

『エントリーNo.33!影に潜み、静かに敵を葬る暗殺者!光る刃はまるで死神の鎌のよう!アサシナイトパンサーのヴェヴェアァァアア!』

「グルル…」

 真っ黒な体毛の、前腕に銀色の刃を生やした豹の魔物が黄金の眼光を光らせた。種族名はアサシンとナイトを組み合わせたものだろうか。

『エントリーNo.51!勇猛な翼と、雄々しい立派な二本の角!伝説に存在する種族が、今日この場に現れました!竜人族のサンゾウ!!』

「………」

 刀を携え、藍色の袴姿に黒の羽織を着た、竜の翼と角を生やした偉丈夫が口を真一文字に引き結び立っている。いることは知っていたが、実際に見るとすごいな。

『エントリーNo.11!超音波と高速飛行を用いた立体的な戦法を得意とする、闇夜のハンター!ブラッドバットのマログ!』

「キキキキキキ!」

 真っ赤な体をした、人間大の半分人間のようなコウモリの魔物が甲高い鳴き声をあげる。その声が怖かったのか、子供の悲鳴が聞こえた。

『エントリーNo.5!その身に纏うは天然の、鉄壁の盾!全身を覆う甲羅はまるで要塞のよう!キャッスルタートルのフィゲアァ!』

「ふふふふふ……」

   鮮やかなパープルグリーンの、文字通り要塞のような形をした甲羅と外殻を纏った、二足歩行の亀のような魔物が怪しく笑う。声からして女性らしい。

   ……さて。ここまでは問題ない。これまでの試合通り、ただ個性豊かなだけの・・・・・・・・・・、普通の選手たちだ。

   問題は、5人目。そいつこそが俺の不安となっている相手であり、ステージの上にいるのを見ても未だ信じたくなかった。

   だが、時は無情にも進む。俺はその瞬間に備えて、ぐっと覚悟を決めてステージを見た。さあ、いつでもこい。

『……龍人』

   すると、ぎゅっと手を握られる感覚を覚えた。驚いて足に乗せている手を見れば、となりのエクセイザーの手が重ねられている。

   彼女の顔を見ると、「そう気負うな」と言っているのが念話で伝えられなくても分かった。

   俺はそれに深く頷き、深呼吸する。そして今度こそ、完全に覚悟を決めた顔でそいつの紹介を聞いた。

『エントリーNo.1!今大会最初の参加者!出自、経歴ともに一切不明!その姿から唯一、どこかのメイドであることだけがうかがえます!』

そいつの名は……







『彗星の如く現れた美麗なる女鬼人……シドオォオオオッ!!!』







……我が家のドMメイドこと、シドだった。

「ご主人様ーーーー!!!」

   司会席……つまりこちらを向いて、俺を見てブンブンと手を振ってくるシド。柔和な笑顔は、それだけならとても美しく見える。

   実際、高い身長と超然とした美貌に反したその顔に、ため息を漏らす客がほとんどを占めていた。選手たちですら見惚れていた。

   だが他の誰よりも内面を知っている俺は、そっと顔をそらして手で顔を覆った。やっぱ無理、ショックがでかすぎる。

   そう、シドこそが俺の不安の原因の一つ。あいつ、いないと思ったらいつの間にか大武闘大会に参加してやがったのだ。

   正直言って、シリルラが瑠璃だってことを知った時と同じくらいの衝撃だった。というより、知った時は気を失いかけた。

   なんでそこまでの反応を見せるかというと、あいつと戦った場合、必ず酷いことになるからだ。主に俺の風評的に。

   なるべく頼もしい姿を見せなきゃいけなのに、あんな変態に騒がれながら戦ったんじゃ、格好がつくはずもない。

   そして、その可能性は確実。あいつの強さは文字通り、身を以て知っている。最後の五人になるのは明らかである。

   本当に、どこまでも俺のやりたいことを邪魔してくれる奴である。終わったら絶対にしばき倒す。

『多分、喜ぶだけだから無駄だと思うぞ』

……ですよね。

『それでは……第5ブロック、スタァアァァァトッ !!!』

   エクセイザーの言葉にガックリとうなだれているうちに、開始の銅鑼がなって選手たちが戦い始めた。

   それを聞いた選手たちは、各々他の選手たちと戦い始める。意外にも、シドは予選の時のように盛大に暴れはしなかった。

   その間に、大激闘を繰り広げる選手たち。それまでは分断されたり、一人が圧倒したりといった展開が多かったので、観客たちは大いに叫び喜んだ。

   マログが空を飛び回り、それを飛翔する斬撃でサンゾウが捉えんとする。それをフィゲアが突進で妨害し、ヴェヴェアが陰から奇襲をかけた。

「ーーーーーーーーーーーッッッ!!!」

   サンゾウの斬撃を回避したマログが、口を開けて超音波を発した。結界によって俺たちは守られているが、選手たちは動きを止める。

   その間に、マログが急降下をしてフィゲアをひっくり返し、その首筋に牙を突き立てる。近くの席で、母親が子供の目を塞いでいた。

   スクリーンの中で、その名の通りマログはゴクゴクと喉を動かしてフィゲアの血を吸う。フィゲアはじたばたと暴れるが、胴体を抑えられてるため逃げられない。

「シッ!」
「キェァアァアアアアァアアアッ !?」

   と、吸血に夢中になっているマログの下の陰からヴェヴェアが姿を現し、胸にナイフを突き刺した。絶叫を上げるマログ。

   転げ回るマログの赤い体を、血の赤が染めていく。だがすぐに傷口はふさがり、立ち上がったマログは空中へと後退した。

   そしてヴェヴェアを探すが、いつのまにか姿が消えていた。俺たちですらどこにいるのかわからず、観客は困惑した。

「ハッ !!」
「ギギッ!?」

   龍の翼を広げ、後を追いかけたサンゾウが、マログの足を掴むと地面に投げ落とす。さらに落ちる直前、背中に蹴りを入れていた。

   マログの体は地面に激突し、数回バウンドしてから止まる。そこに落ちてきたサンゾウが拳を振り下ろすが、横に転がって回避した。

   それどころか、マログは地面に突き刺さった拳を足で薙ぎ払うと、逆にサンゾウのバランスを崩して至近距離で超音波を浴びせた。

   マログの超音波は衝撃波を伴うのか、サンゾウは吹っ飛んでいく。しかしそこは伝説の竜人、体制をすぐに立て直した。

「オォリャァッ!」

   と、そこで復活したフィゲアが両手についている半円型の甲羅を組み合わせ、マログを弾き飛ばした。

   不完全な体制だったためか、防ぎきれず宙に浮かぶマログ。その下の地面に浮かんだ陰から再びヴェヴェアが飛び出して、マログの首と足を持つと膝を背骨に叩き込んだ。

   ボギッ、と嫌な音が響く。それにとどまらず、マログはヴェヴェアによって影の中へと引きずりこまれた。

『マログ選手、ヴェヴェア選手のスキルに取り込まれたー!今影の中では、どんな攻防が繰り広げられているのでしょうか!?』
『なにやら影が動いてるな。戦ってることは間違いなさそうだ』

   まるで沸騰している液体のように、マログの引き摺り込まれた影が激しく動いている。中で何かが行われているようだ。

   程なくして、影の様子が落ち着いたかと思うと、全身血まみれのマログが放り出された。その後にヴェヴェアが出てくる。

「こ、降参、する……」

   誰がどう見ても虫の息なマログは、手を震えさせながらリタイア宣言をした。あのダメージでは、仕方があるまい。

   銅鑼が2度鳴った後、壁が開いて例の猿たちが出てきて、気絶したマログを回収していった。放置してたら出欠多量で死んでたからな。
 
『マログ選手、しっかーく!猛攻を振るっていた彼でしたが、ヴェヴェア選手にあえなく敗北いたしました!』
『……殺してはならないという決まりを守った、瀕死一歩手前に追い込む実力。さすがはかの戦でも猛威を振るった黒豹じゃ』

「フッ……」

   小さく笑みを浮かべたヴェヴェアは、再び影に潜ってその姿を消す。次はどこからくると、構えを取るサンゾウとフィゲア。

   だがいつまでたっても現れず、ならば見えない敵より目の前の敵と言わんばかりに、二人は戦い始めた。

「ハッ!シィッ!」
「ぬぅんっ!」

   サンゾウが嵐のような斬撃を繰り出すが、フィゲアはそのことごとくを防御、うまくいなしていた。その不動の姿は名の通り要塞の如く。

   このままでは拉致があかないと思ったのか、サンゾウは刀を投げ捨てると両腕を竜の腕に変化させる。

   それを使って強引にフィゲアの組み合わさった両腕の甲羅を引き離した。驚くフィゲアに、サンゾウが頭突きをお見舞いする。

『サンゾウ選手、強烈なヘッドバット!これには流石のフィゲア選手も効いたー!』

「グ、ォ……」
「ウォオッ!」

   よろけたフィゲアの隙を逃さず、サンゾウは拳を叩き込む。鎧の隙間だったのか、フィゲアが体をくの字に折った。

   だが、フィゲアも負けじと体制を立て直し、腕の甲羅をナックル代わりにしてサンゾウをぶん殴る。今度はサンゾウがのけぞった。

「オラァッ!」
「どりゃぁっ!」

『両者一歩も譲らぬ拳の応酬!鮮血が飛び散り、凄まじい気迫がぶつかり合っています!会場の声援も二人の力を後押ししているのでしょうか!?』

   一発殴れば、お返しと言わんばかりに一発殴り返す。まさに泥臭い、河川敷で行われる男同期の喧嘩のような光景がそこにあった。

「……………」

   二人が殴り合い、会場が沸いている中、シドはあいも変わらず開始地点から一歩も動いていなかった。

   両手に一本ずつ、棘の生えた極太の金棒を持っているが、瞑目して棒立ちになっているだけで何もしていない。

『サンゾウ選手とフィゲア選手が熱い展開を見せる中、シド選手、全く動く気配がない!まるで眠っているようにも見えるぞ!?』

   観客同様に気づいていたのか、セレアさんも不思議そうな顔で突っ込んだ。しかし、未だシドは動かない。

あいつ、何を狙って……?

「シャァッ!」

   と、突如シドの背中側に傾いていた足元の陰から、ヴェヴェアが飛び出した。そしてナイフで背中を貫く。

   わずかにシドの体が揺れ、スクリーンにエプロンの腹部からナイフの切っ先が顔を出しているのが映った。

『ヴェヴェア選手、再び奇襲を仕掛けた!シド選手、それを何の防御もせずに受けました!大丈夫なのでしょうか!?』

   ルール的に、急所は外しているだろうが明らかに無視していいダメージではない。ざわざわと観客の声が揺れる。

   俺もシドの意図が読めず、懐疑的な顔をする中、ふとヴェヴェアの様子がおかしいことに気づいた。

「……っ?  っ!?  ぬ、抜けない!?」

   ナイフを両手で掴んで引っ張っているのだが、シドの体から抜けないようなのだ。両足で踏ん張っているが、ビクともしていない。

「……足りぬ」
「な、なに?」

   その時、試合が始まって初めてシドが声を発した。










「まったくもって、威力が足らんわーーーーーーーっ!!!!!」
「ぶげらっ!?」










   かと思えば、視認すら困難な速度で棍棒を振るい、叫びながらヴェヴェアを殴り倒した。振り下ろした棍棒により、ステージに放射状に亀裂が入る。

   シーン、と会場が静まり返った。殴り合っていたサンゾウとフィゲアも、驚いてシドの方を向く。

   誰もが沈黙する中、亀裂の中心で金棒の下敷きになっているヴェヴェアに、カメラが近づく。すると白目を剥いているのがわかった。

『ヴ、ヴェヴェア選手、気絶により戦闘続行を不可能とみなし、失格!シド選手、開始以来はじめての白星です!』

   バァーン、と銅鑼が2度音を響かせる。ふんっ、と鼻を鳴らしながら、シドが自分でナイフを引っこ抜いた。

「まったく、あまりにも弱すぎて虫に刺されたかと思ったぞ。痛みに悦ぶことすらできん。まあそもそも、ご主人様でなければ興奮しないが」

   ………………シドはどこまでもシドだった。っていうかなんで俺だと興奮するんだよ。

「さあ、次はどいつだ。私にどれだけの痛みを与えられるかと様子見していたが、もう待つのも飽きた。どっちでもいいからさっさとかかってこい」

   俺が引きつった笑みを浮かべていると、ナイフを投げ捨てたシドは、地面にめり込ませていた棍棒を引き抜く。

   そして、自分を見て動きを止めていた二人に金棒を向けた。ビクゥッ!とサンゾウたちの体が震え、互いの顔を見合わせる。

   しばらくその状態で、なにやらアイコンタクトを取ると……

「グォオオォオオオッ!」
「ヌァアァアアアッ !」

   雄叫びをあげて、同時にシドに襲いかかった。どうやら一人じゃやばいことを悟ったらしい。賢明な判断である。

「ほう、二人同時か……そういえばご主人様は、あのトカゲと一緒に私に挑んできたな。懐かしいものだ」
「グルァァアァ!」
「ヴォオオォオオオッ!」

『余裕の姿勢でいるシド選手に、サンゾウ選手とフィゲア選手が襲いかかるーー!シド選手、どう防ぐ!?』

   先ほど以上に肉体を変化させ、ほぼ人型のドラゴンになったサンゾウの爪が、何かのスキルを使ったのか全身に棘を生やしたフィゲアの突進が迫る。


ガキンッ!


   それを、シドは金棒一本……つまり片手で受け止めた。目を剥くサンゾウとフィゲア。

「な、我が一撃が!?」
「何という膂力……!」
「それに比べて……お前たちの力は、脆弱極まりないわァ!!!」

   棍棒を薙ぎ払うシド。たったそれだけの動きで豪風が吹き荒れ、サンゾウとフィゲアはゴミのように吹き飛ばされる。

   ステージの上を転がる二人は、しかしあれほどの接戦を見せただけあってすぐに体制を立て直し、シドを睨み据えた。

「ぐっ、これほどの力とは……!」
「女と思い、後回しにしたのは失敗であったか!」
「さあ、脆弱なものたちよ!せいぜいそのちっぽけな力で争ってくるがいい!ご主人様はどんなに傷ついても、死にかけても諦めはしなかったぞ!」

   立つのもやっとといった様子の二人に、悪鬼のような凄絶な笑みを浮かべながらゆっくりと迫るシド。子供が泣く声が聞こえた。

『……おい龍人、足が震えておるぞ』

   …ごめん、ちょっとあの時のこと思い出した。

「拳を構えろ!盾を掲げろ!どこからでもいい、かかって来るがよい!」
「ぐ、ぐぅ……!」
「なんという気迫か……!」
「どうした、かかってこないのかこの[ピーー]どもめ!そんなんだから貴様らは[ピーー]なのだこの×××どもが!ご主人様の足元にも及ばない[バキューン]め!どうせ[自主規制]も主人様のものに比べて大したことないのだろう!」

   聞くに耐えない言葉を乱用するシド。やめてくれ、ご主人様と言うのなら、頼むから今すぐその口を閉じてくれ。

「ていうか、いつ俺の見たんだよ……」
「奥方と逢瀬を交わしている時にございます、ご主人様!」

   なんでこっちの声が聞こえてるんだよぉぉおぉおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!?

「な、なんだとこのデカ女め!」
「さ、流石にそこまで愚弄されるいわれはないわこの小娘が!?」
「ふん、でかくて何が悪い!それに私は27歳だ!小娘という年ではない!そんな程度しか言い返せないからお前たちは[ピーー]なのだこのトカゲとカメが!」
「トカゲ!?」
「カメ!?」

   ……なんかもう、色々酷いことになってる。今すぐ現実からフェードアウトしたい気分だった。

「こ、この、どこまでもバカにしてくれおって……!」
「殺す、絶対殺す……!」

   ほら、サンゾウとフィゲア顔にめっちゃ青筋浮かんでるじゃん。これ後で飼い主ってわかったら、俺が追いかけ回されるんじゃねえの?

「ほう、ようやくその気になったか!それならさあ、早くかかってこい!さあさあさあさあさあ!」
「上等だ、やってやるわ!」
「後悔させてやるぞ小娘が!」

   怒りマックスなご様子で、再びシドに飛びかかるサンゾウとフィゲア。しかし、また金棒一本で受け止められて終わった。

「フン、所詮はトカゲとカメか!もうよい、去ね!」
「オゴッ!」
「アバッ!」

   それぞれ一本ずつ、金棒が二人の頭に叩き込まれる。奇声をあげたサンゾウたちは、脱力して地面に倒れ伏した。

   数分経っても起き上がる気配はなく、一応カメラが確認する。案の定、両者とも気絶していた。

『え、えー……サンゾウ選手とフィゲア選手、戦闘不能により失格!よって、試合終了です!』

   バァーン!と銅鑼が鳴らされる。それによって、シドの勝利が決まった。決まって、しまった。

「ご主人様、勝ちましたよーー!これで存分に甚振っていただけます!」

「……………」

   何やらステージの上でシドが騒いでいるが、俺は今にも魂が口から出て行きそうな心境だった。

『えーそれでは、今後の予定について放送いたします。まず……』

   その後、第五ブロックの終了が告げられ、俺と最後の五人の戦いの前に一時間の休憩を挟むという放送がされたが……俺は終始無言だった。

そして心の中で一つ、はっきりと決めた。





シドのやつ、絶対ぶん殴ると。





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