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プロローグ
セイラムという男
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ここは魔界とよばれる人間の世界と全く異なった暗い闇の世界。
その闇の中を黒いフードをかぶった男が一人、用心深く辺りをきょろきょろ見回している。
男は誰もいないのを確認するとそのまま目の前にある洞窟の中へと入っていった。
洞窟の中は暗くてほとんど何も見えない。男がパッとフードを取った。
ボサボサに伸びた長い黒髪、青白い顔に窪んだ目、頬はだいぶやつれていてかなり不健康そうだ。口の周りの伸びた無精髭がもう何ヶ月も顔を剃っていないのだろうと大体想像がつく。
男の名前をセイラムという。
元々は人間の世界に住んでいた魔法使いであり、当時の彼は今とは比べ物にならないほどのいい男だった。
肩にかかるくらいのサラサラで艶やかな黒髪に好奇心旺盛なキラキラした瞳、少年のような無邪気な笑顔…年はとうに30を過ぎていたが20そこそこに見られても不思議ではなかった。
彼はある研究をしていた。その研究とは人の心の中に潜んでいる悪の部分についてであった。
どんなに【良い人】だって必ず心の奥底に悪の部分があるはずだ。ただそれを実行しないから目にも見えないしわからないんだ。
【良い人】の心の中の悪の部分をどうにかして見てみたいな…。
ふとそう思った彼自身の好奇心から来る悪の部分がこれからの彼の運命を狂わせたのかもしれない。
それからというもの、セイラムは毎日研究室に引きこもり、研究に研究を重ね、ついには人の心の中に潜む悪の部分を引き出す方法を生み出した。
ある日、セイラムの前に二人の魔物が現れた。一人は赤毛の髪を腰まで垂らし、髪の色と同じ色の瞳をした一見20代くらいの色白の美女で、もう一人はボサボサの長い黒髪を無造作に後ろに束ね、頭に角の生えた黄色い瞳の少年の姿をしていた。少年は赤いマントをつけていた。
彼らは人間の悪の部分を引き出すセイラムの研究に目をつけ、その力を自分に取り込めばより強い魔力を得られるのだろうと考えたのだった。
そして、その日からセイラムの人生は変わった。
彼らはセイラムがだいぶ前に妻と死別していること、そしてただ一人の息子を溺愛しているのを知っていた。
「あなた、息子がいるわね。…ふふ、聡明そうな子ね。…大事な息子を殺されたくなければ素直に私達に従うことね」
女の魔物が目を閉じて静かに言った。
こうして二人の魔物はセイラムを脅迫し強引に魔界に連れて帰ると同時に彼を荒れた納屋に閉じ込めて【ある物】を作らせた。
そして何ヶ月もの間セイラムはその見知らぬ世界で逃げ出すことも最愛の息子に会うこともできず、ただひたすら【ある物】を作り続けるしかなかったのだった。
その闇の中を黒いフードをかぶった男が一人、用心深く辺りをきょろきょろ見回している。
男は誰もいないのを確認するとそのまま目の前にある洞窟の中へと入っていった。
洞窟の中は暗くてほとんど何も見えない。男がパッとフードを取った。
ボサボサに伸びた長い黒髪、青白い顔に窪んだ目、頬はだいぶやつれていてかなり不健康そうだ。口の周りの伸びた無精髭がもう何ヶ月も顔を剃っていないのだろうと大体想像がつく。
男の名前をセイラムという。
元々は人間の世界に住んでいた魔法使いであり、当時の彼は今とは比べ物にならないほどのいい男だった。
肩にかかるくらいのサラサラで艶やかな黒髪に好奇心旺盛なキラキラした瞳、少年のような無邪気な笑顔…年はとうに30を過ぎていたが20そこそこに見られても不思議ではなかった。
彼はある研究をしていた。その研究とは人の心の中に潜んでいる悪の部分についてであった。
どんなに【良い人】だって必ず心の奥底に悪の部分があるはずだ。ただそれを実行しないから目にも見えないしわからないんだ。
【良い人】の心の中の悪の部分をどうにかして見てみたいな…。
ふとそう思った彼自身の好奇心から来る悪の部分がこれからの彼の運命を狂わせたのかもしれない。
それからというもの、セイラムは毎日研究室に引きこもり、研究に研究を重ね、ついには人の心の中に潜む悪の部分を引き出す方法を生み出した。
ある日、セイラムの前に二人の魔物が現れた。一人は赤毛の髪を腰まで垂らし、髪の色と同じ色の瞳をした一見20代くらいの色白の美女で、もう一人はボサボサの長い黒髪を無造作に後ろに束ね、頭に角の生えた黄色い瞳の少年の姿をしていた。少年は赤いマントをつけていた。
彼らは人間の悪の部分を引き出すセイラムの研究に目をつけ、その力を自分に取り込めばより強い魔力を得られるのだろうと考えたのだった。
そして、その日からセイラムの人生は変わった。
彼らはセイラムがだいぶ前に妻と死別していること、そしてただ一人の息子を溺愛しているのを知っていた。
「あなた、息子がいるわね。…ふふ、聡明そうな子ね。…大事な息子を殺されたくなければ素直に私達に従うことね」
女の魔物が目を閉じて静かに言った。
こうして二人の魔物はセイラムを脅迫し強引に魔界に連れて帰ると同時に彼を荒れた納屋に閉じ込めて【ある物】を作らせた。
そして何ヶ月もの間セイラムはその見知らぬ世界で逃げ出すことも最愛の息子に会うこともできず、ただひたすら【ある物】を作り続けるしかなかったのだった。
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