降り積もる記憶の彼方から

椎葉ユズル

文字の大きさ
20 / 22

later scene.1(黒木side)②

しおりを挟む


 ゲームを終了させると、佐野さんは少し怒ったように俺を睨みつけた。

「なに急にサカってんだよ」
「急じゃないです。佐野さんがそんな話するからです」
「煽ってた? 俺」
「……めちゃくちゃ煽ってました」
 ぷーっと頬を膨らませると、佐野さんがさも可笑しそうに腕をバンバン叩いてくるので、痛いです、とひっこめた。

「悪い悪い。んじゃ、やるか」
 と、すいっと立ち上がって寝室へ向かうので、一瞬、拍子抜けする。

 え、やるって、ヤるの? いいの? 真昼間なんだけど。

 見えない糸に引っ張られるように、よどみなく歩く佐野さんの後をついていく。

 座れ、と顎で示されて、ベッドに腰かける。その俺の脚の間に片膝をついて、腕を首に絡めてきた。

「……言っとくけどさあ」
 見上げた佐野さんの頬が紅潮している。

「俺、ちゃんとお前のこと好きだから。――お前は?」
「す、好きです」
「じゃあ、触ってこいよ。……不安になるだろうがよ」

 すっごい威圧的に、とろけるような告白をしてくる。

「……馨介」
 佐野さんが首を傾けて、唇を重ねてきた。
「ん……」

 佐野さんから。――初めて。告白とは正反対に、おずおずと舌を差し入れて、俺の上顎を舐める。そのもどかしさが愛しくて、もっと味わいたかったけど我慢できずに舌を絡める。

「ふ、んんっ……」

 合間に漏れる吐息すら可愛い。やがてぷは、と唇を離して、細く整った眉を吊り上げた。


「お前、キスもしてくんなかっただろ……だから、俺が相手じゃつまんなかったのかな、と思ってた」
 そんなことあるわけないのに。

「すみません。うっかりキスなんかしたら絶対それだけじゃ終わらないと思って我慢してました」
「……バカ」
 怒ったように、でも照れたようにそう言うと、俺の髪をくしゃくしゃと混ぜた。

「遼太郎さん……好きです」
「……ん。俺も好き」

 また降りてきた唇を舌でなぞって、今度は自分から歯列を割って頬の内側を舐め上げる。ん、とくぐもった声ごと、俺の中へ。舌を絡め合って、唾液が溢れる。それを啜って、また何度も濃厚なキスを交わす。

 佐野さんのジーンズの前をくつろげると、ぴくん、と腰が震えた。構わずにすでに硬くなりはじめた中心にそっと触れ、安心する。勢いよく下着ごと引き下ろすと、それがぶるんと顔を出した。

「あ」
 一瞬、恥ずかしいのか腰を捩ったが、その仕草にかえって煽られるって……言わない方がいいだろうなあ。

 佐野さんの勃ちあがったモノに指を這わす。包み込んで、上下にゆるゆると動かすと、さらに硬さを増した。

「あ、あ……馨介……」
 俺の肩に顔を埋めて、かすれた声で喘がれるともうたまらなくなる。早く繋がりたい衝動を抑えて、俺は先走りに濡れた先端から蜜をすくった。

「あっ……」

 蜜をまとわせた指を、双球を掠めて前から蕾に差し入れる。
「んっ」
 小さく声を上げ、びくりと腰が震えた。

 こないだは、俺も夢中でできなかったけど。佐野さんの中をゆっくりとまさぐり、ある場所を探る。
 コリ、と指が当たった。

「あっ? やっ……あんっ」
「遼太郎さん……ここ、いい?」
「え、あ、ちょっと待って……あ、何、これっ」
 びくびくと痙攣したように身体を震わせる。膝ががくがくして、硬くなってきた俺のモノに当たって、さらに煽られた。指を二本に増やす。

「や、馨介、やあ……」
「遼太郎さんっ」

 ああ、もう無理。乱暴に着ていたニットを脱がせると、肩を抱き寄せて、シーツに沈める。半端に足首に絡まっていたジーンズと下着も足から引き抜いたら、佐野さんの白い素肌が視界に広がった。

「肌……綺麗ですね……」
 滑らかな触り心地の肌を堪能しながら、腹部に指を添わせる。
「んん……っ、そんなの、言われたことねえよ……」

 そりゃ女の人は言わないだろうなあ。そう思うと、佐野さんにとって自分が初めての男だということに安心する。さわさわとじっくり吸い付くような感触を楽しんでいたら、佐野さんがじろっと俺を睨みつけてきた。

「お前も脱げ。俺ばっかりズルい」
「あ」
 すみません、とセーターを脱ぐと、「相変わらず割れてやがる」と起き上がって腹筋を撫でられた。くすぐったい。

「もう学生時代から習慣で。……一緒にやります? 筋トレ」
「……考えとく」

 佐野さんは今くらいのすっきりしたカンジでちょうどいいのになあ。逆にあんまり割れてほしくないというか。
 考えながらサイドボードからローションを取り出すと、佐野さんがじーっとその様を見つめてくるので少したじろいだ。

「……こないだの冷たいやつ、それか」
「冷たかったですね……すみません」
 手のひらで包んで、なるべく温めるようにする。
「別に……いいけど……」
 ふいっと背けた横顔が真っ赤になっている。耳まで赤い。

「さっきの、とこ。あれ、何」
 しばらく考えて、ああ、と思い至る。
「前立腺のことですか?」
「何か……あれって、おわっ」

 最後まで言わせず、また押し倒して後孔に濡れた指を差し入れる。さきほど少し解したおかげで、指はすんなりと侵入を許された。また佐野さんが感じるところを探り、関節をくいっと曲げた。

「やっ」
 両脚がびくん、と震えた。指を増やし、さらにとんとんと刺激を与える。

「や、やあ、そこ、……やだっ」
 足の指をぎゅっと曲げて、快感に悶えている。腰がいやらしく揺れるのに合わせて、中心も妖艶にうごめく。それを握って、俺は咥え込んだ。

「あ、馨介っ」
 前からと後ろから同時に刺激を与えると、佐野さんが陸にあげられた魚のように跳ねた。
 舐め上げて、先端に舌を這わす。後孔に入れた指をリズムを刻むように腹に向けて擦ると、口に含んだ昂りが快感を示すように大きさを増した。




しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

タトゥーの甘い檻

マリ・シンジュ
BL
執着系わんこ攻(大学生)× 高潔な美形教授受(30代) どのお話も単体でお楽しみいただけます。 ​「先生、ここ……僕の瞳を入れるから。ずっと、僕だけを見てて」 ​真面目な大学教授・新城が、大学生の・羽生にだけ許した、あまりにも淫らな「わがまま」。 ​それは、誰にも見えない内腿の奥深くに、消えないタトゥーを刻むこと。 「下書き」と称して肌を赤く染めるペン先の冷たさ。 アトリエの無機質なライトの下、四つん這いで晒される大人の矜持。 ​ずっと年下の青年の、必死で、残酷で、純粋な独占欲。 愚かだと知りながら、新城はその熱に絆され、ゆっくりと「聖域」を明け渡していく――。 ​「……お前のわがままには、最後まで付き合う」 ​針が通るその時、二人の関係は一生消えない「共犯」へと変わる。 執着攻め×年上受け、密やかに刻まれる秘め事のお話。

人族は一人で生きられないらしい――獣人公爵に拾われ、溺愛されて家族になりました

よっちゃん
BL
人族がほとんど存在しない世界に、 前世の記憶を持ったまま転生した少年・レオン。 獣人が支配する貴族社会。 魔力こそが価値とされ、 「弱い人族」は守られるべき存在として扱われる世界で、 レオンは常識の違いに戸惑いながらも必死に生きようとする。 そんな彼を拾ったのは、 辺境を治める獣人公爵アルト。 寡黙で冷静、しかし一度守ると決めたものは決して手放さない男だった。 溺愛され、守られ、育てられる日々。 だが、レオンはただ守られるだけの存在で終わることを選ばない。 学院での出会い。 貴族社会に潜む差別と陰謀。 そして「番」という、深く重い絆。 レオンは学び、考え、 自分にしかできない魔法理論を武器に、 少しずつ“並び立つ覚悟”を身につけていく。 獣人と人族。 価値観も、立場も、すべてが違う二人が、 それでも選び合い、家族になるまでの物語。 溺愛×成長×異世界BL。 読後に残るのは、 「ここに居場所があっていい」と思える、あたたかな幸福。

[BL]憧れだった初恋相手と偶然再会したら、速攻で抱かれてしまった

ざびえる
BL
エリートリーマン×平凡リーマン モデル事務所で メンズモデルのマネージャーをしている牧野 亮(まきの りょう) 25才 中学時代の初恋相手 高瀬 優璃 (たかせ ゆうり)が 突然現れ、再会した初日に強引に抱かれてしまう。 昔、優璃に嫌われていたとばかり思っていた亮は優璃の本当の気持ちに気付いていき… 夏にピッタリな青春ラブストーリー💕

身代わり召喚された俺は四人の支配者に溺愛される〜囲い込まれて逃げられません〜

たら昆布
BL
間違って異世界召喚された青年が4人の男に愛される話

初恋の実が落ちたら

ゆれ
BL
オメガバースの存在する世界。スキャンダルが原因でアイドルを辞め、ついでに何故かヒートも止まって、今は社会人として元気に働く千鶴。お相手である獅勇は何事もなかったかのように活動を続けており、いちファンとしてそれを遠くから見守っていた。そしておなじグループで活動する月翔もまた新しい運命と出会い、虎次と慶はすぐ傍にあった奇跡に気づく。第二性に振り回されながらも幸せを模索する彼らの三つの物語。※さまざまな設定が出てきますがこの話はそうという程度に捉えていただけると嬉しいです。他サイトにも投稿済。

黒の執愛~黒い弁護士に気を付けろ~

ひなた翠
BL
小野寺真弥31歳。 転職して三か月。恋人と同じ職場で中途採用の新人枠で働くことに……。 朝から晩まで必死に働く自分と、真逆に事務所のトップ2として悠々自適に仕事をこなす恋人の小林豊28歳。 生活のリズムも合わず……年下ワンコ攻め小林に毎晩のように求められてーー。 どうしたらいいのかと迷走する真弥をよそに、熱すぎる想いをぶつけてくる小林を拒めなくて……。 忙しい大人の甘いオフィスラブ。 フジョッシーさんの、オフィスラブのコンテスト参加作品です。

従僕に溺愛されて逃げられない

大の字だい
BL
〈従僕攻め×強気受け〉のラブコメ主従BL! 俺様気質で傲慢、まるで王様のような大学生・煌。 その傍らには、当然のようにリンがいる。 荷物を持ち、帰り道を誘導し、誰より自然に世話を焼く姿は、周囲から「犬みたい」と呼ばれるほど。 高校卒業間近に受けた突然の告白を、煌は「犬として立派になれば考える」とはぐらかした。 けれど大学に進学しても、リンは変わらず隣にいる。 当たり前の存在だったはずなのに、最近どうも心臓がおかしい。 居なくなると落ち着かない自分が、どうしても許せない。 さらに現れた上級生の熱烈なアプローチに、リンの嫉妬は抑えきれず――。 主従なのか、恋人なのか。 境界を越えたその先で、煌は思い知らされる。 従僕の溺愛からは、絶対に逃げられない。

オッサン課長のくせに、無自覚に色気がありすぎる~ヨレヨレ上司とエリート部下、恋は仕事の延長ですか?

中岡 始
BL
「新しい営業課長は、超敏腕らしい」 そんな噂を聞いて、期待していた橘陽翔(28)。 しかし、本社に異動してきた榊圭吾(42)は―― ヨレヨレのスーツ、だるそうな関西弁、ネクタイはゆるゆる。 (……いやいや、これがウワサの敏腕課長⁉ 絶対ハズレ上司だろ) ところが、初めての商談でその評価は一変する。 榊は巧みな話術と冷静な判断で、取引先をあっさり落としにかかる。 (仕事できる……! でも、普段がズボラすぎるんだよな) ネクタイを締め直したり、書類のコーヒー染みを指摘したり―― なぜか陽翔は、榊の世話を焼くようになっていく。 そして気づく。 「この人、仕事中はめちゃくちゃデキるのに……なんでこんなに色気ダダ漏れなんだ?」 煙草をくゆらせる仕草。 ネクタイを緩める無防備な姿。 そのたびに、陽翔の理性は削られていく。 「俺、もう待てないんで……」 ついに陽翔は榊を追い詰めるが―― 「……お前、ほんまに俺のこと好きなんか?」 攻めるエリート部下 × 無自覚な色気ダダ漏れのオッサン上司。 じわじわ迫る恋の攻防戦、始まります。 【最新話:主任補佐のくせに、年下部下に見透かされている(気がする)ー関西弁とミルクティーと、春のすこし前に恋が始まった話】 主任補佐として、ちゃんとせなあかん── そう思っていたのに、君はなぜか、俺の“弱いとこ”ばっかり見抜いてくる。 春のすこし手前、まだ肌寒い季節。 新卒配属された年下部下・瀬戸 悠貴は、無表情で口数も少ないけれど、妙に人の感情に鋭い。 風邪気味で声がかすれた朝、佐倉 奏太は、彼にそっと差し出された「ミルクティー」に言葉を失う。 何も言わないのに、なぜか伝わってしまう。 拒むでも、求めるでもなく、ただそばにいようとするその距離感に──佐倉の心は少しずつ、ほどけていく。 年上なのに、守られるみたいで、悔しいけどうれしい。 これはまだ、恋になる“少し前”の物語。 関西弁とミルクティーに包まれた、ふたりだけの静かな始まり。 (5月14日より連載開始)

処理中です...