炎奏するルールブレイカー〜追放されたからソロプレイで無双する〜

くらげさん

文字の大きさ
32 / 51

貢ぎ物の詳細

しおりを挟む





 コーヒー牛乳を飲みながら僕はシンの横顔を見る。

 何年も会いに来なかったシンが今目の前にいる。

 それだけで懐かしさと共に約束の地が恋しくなる。

 このコーヒーとミルクの味を僕は忘れない。


 

 未開の地。

「僕の名前はジョーカー」

「えっ? なんでこんな所にプレイヤーいんの!」

 この世界に生まれて初めて見た人間は呆気なく僕の剣に切り裂かれた。

「こんなもんか」

 ただの遊びのつもりで剣を振ったにもかかわらずそれを避けるでも剣で受けるでもなく呆然と立ち尽くしていた人間。

 それから数時間後。

「良くもやってくれたな!」

 人間は僕を見て剣を構えていた。

 さっきの呆気ない人間。

 僕は下に見ながら遊びの剣を振るった。

 そのどれもが空を斬る。


『おいおい、その程度か?』


 僕に一瞬で負けた筈の人間が余裕顔で僕を見下ろしていた。

 上を見上げると首元に剣が置かれシーンと場が静まり返る。

「本気出していい?」

「どこのプレイヤーか知らねぇけど躾てやるからかかってこい」

 剣を弾き返して地面を蹴る。

 キキンと人間は特有のスキルという物を使って僕の速度に追い付いてくる。

 身体能力は僕の方が上だと分かるが速度では既に引き剥がせない。

 混じり合う剣先は火花を散らし剣の衝撃は地面を抉り木々を薙ぎ倒す。

 僕の剣の圧倒的な攻撃力を持ってしても目の前の人間は何気なく撃ち合って来る。

 面白いと戦闘のギアを一段二段と上げていくが余裕顔で僕の本気を超えてくる人間。

 ここまで強いのか人間は。

 音が遅れてやってくる。

 キキンと異常な速度のスキル音が耳にこびり付く、いつの間にか僕の剣の方が振り遅れてる事に気がついた。

 圧倒的なまでの実力差。

 僕がここまで感じたのはロイヤルさんぐらい。

 この人間は間違いなくロイヤルさんに近い次元にいる。

 ロイヤルさんからは人間は集団でやっと僕達と並ぶ程度の力を持つ者だと聞いた。

 なのにこの人間は一人で僕よりも強い。

「っともういいか」

 撃ち合う中で僕の剣が手から離れ後ろの地面に突き刺さった。

 そして首元に剣が置かれた。

「もうプレイヤーキルなんてするなよ! まったく」

 人間はそう言うと剣をスっと消した。

「僕は魔物だ! 人間を倒す事が役目だ」

「なりきりプレイヤーなのか? まぁ人のプレイスタイルは自由だからな」

 ウンウンと納得した人間。

「魔物狩りの途中でプレイヤー見たの初めてだから友達になろうぜ」

「えっ?」

「魔物と友達は変か? お前が可愛いからとかで話しかけた訳じゃなくてな! ただここら辺で話が出来る相手って居なかったから少し嬉しくてな」

「僕可愛いの?」

「可愛いとか綺麗とかの部類だろう」

 僕は初めて負けた人間に褒められて少し照れてくる。
 
「お近付きの印に乾杯でもするか」

 人間は片手ぐらいの大きさの紙の箱を僕に差し出してくる。

 そこに細い棒を刺していた。

 僕も同じように刺す。

「カンパーイ!」

 箱を突き出す人間。

「か、かんぱい?」

 僕もそれに倣った。

 棒を口に含んで人間は吸ってるように見えた。

 僕も棒を吸ってみると甘い匂いが口いっぱいに広がる。

 そして喉を鳴らすと鼻を突き抜ける香ばしい匂いと後に残る苦味がサッパリと残っていた甘さを消してくれる。

「美味しい」

「ふふふ、コーヒー牛乳だ」

「コーヒーぎゅうにゅう?」

 不思議な響きだ。

「俺の名前はシン。お前はジョーカーだったか?」

「そうだよ。僕はジョーカー」

 お別れするのは寂しいそんな気持ちになってしまった。

「ジョーカーこれから毎日来るから宜しくな」

「えぇ! 毎日来てくれるの」

 僕と毎日遊んでくれる! もう寂しくない。

「ジョーカーが気に入ってくれたコーヒー牛乳も持ってくるからな」

「ホントに!」

「明日もこの場所に来るからな。じゃあ」

 走り去っていく後ろ姿を眺める。

 僕はそのまま手を振ると門番の仕事をスッカリ忘れていた。

「シン、シン、シン」

 僕は忘れない様に何度もシンの名前を記憶に刻む。

 僕はこの日初めて門番をサボった。





「ジョーカーどうした?」

「なんでもないよぉ」


【スタンピードロスト・条件達成『コーヒー牛乳を捧げる』】

「シン、シン、シン」

 僕はシンに抱き着いた。

「おい離れろよ」

 僕は久しぶりのシンの感触を肌で感じて嬉しかった。





しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

キメラスキルオンライン 【設定集】

百々 五十六
SF
キメラスキルオンラインの設定や、構想などを保存しておくための設定集。 設定を考えたなら、それを保存しておく必要がある。 ここはそういう場だ。

ザコ魔法使いの僕がダンジョンで1人ぼっち!魔獣に襲われても石化した僕は無敵状態!経験値が溜まり続けて気づいた時には最強魔導士に!?

さかいおさむ
ファンタジー
戦士は【スキル】と呼ばれる能力を持っている。 僕はスキルレベル1のザコ魔法使いだ。 そんな僕がある日、ダンジョン攻略に向かう戦士団に入ることに…… パーティに置いていかれ僕は1人ダンジョンに取り残される。 全身ケガだらけでもう助からないだろう…… 諦めたその時、手に入れた宝を装備すると無敵の石化状態に!? 頑張って攻撃してくる魔獣には申し訳ないがダメージは皆無。経験値だけが溜まっていく。 気づけば全魔法がレベル100!? そろそろ反撃開始してもいいですか? 内気な最強魔法使いの僕が美女たちと冒険しながら人助け!

スキル間違いの『双剣士』~一族の恥だと追放されたが、追放先でスキルが覚醒。気が付いたら最強双剣士に~

きょろ
ファンタジー
この世界では5歳になる全ての者に『スキル』が与えられる――。 洗礼の儀によってスキル『片手剣』を手にしたグリム・レオハートは、王国で最も有名な名家の長男。 レオハート家は代々、女神様より剣の才能を与えられる事が多い剣聖一族であり、グリムの父は王国最強と謳われる程の剣聖であった。 しかし、そんなレオハート家の長男にも関わらずグリムは全く剣の才能が伸びなかった。 スキルを手にしてから早5年――。 「貴様は一族の恥だ。最早息子でも何でもない」 突如そう父に告げられたグリムは、家族からも王国からも追放され、人が寄り付かない辺境の森へと飛ばされてしまった。 森のモンスターに襲われ絶対絶命の危機に陥ったグリム。ふと辺りを見ると、そこには過去に辺境の森に飛ばされたであろう者達の骨が沢山散らばっていた。 それを見つけたグリムは全てを諦め、最後に潔く己の墓を建てたのだった。 「どうせならこの森で1番派手にしようか――」 そこから更に8年――。 18歳になったグリムは何故か辺境の森で最強の『双剣士』となっていた。 「やべ、また力込め過ぎた……。双剣じゃやっぱ強すぎるな。こりゃ1本は飾りで十分だ」 最強となったグリムの所へ、ある日1体の珍しいモンスターが現れた。 そして、このモンスターとの出会いがグレイの運命を大きく動かす事となる――。

【完結】VRMMOでチュートリアルを2回やった生産職のボクは最強になりました

鳥山正人
ファンタジー
フルダイブ型VRMMOゲームの『スペードのクイーン』のオープンベータ版が終わり、正式リリースされる事になったので早速やってみたら、いきなりのサーバーダウン。 だけどボクだけ知らずにそのままチュートリアルをやっていた。 チュートリアルが終わってさぁ冒険の始まり。と思ったらもう一度チュートリアルから開始。 2度目のチュートリアルでも同じようにクリアしたら隠し要素を発見。 そこから怒涛の快進撃で最強になりました。 鍛冶、錬金で主人公がまったり最強になるお話です。 ※この作品は「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過した【第1章完結】デスペナのないVRMMOで〜をブラッシュアップして、続きの物語を描いた作品です。 その事を理解していただきお読みいただければ幸いです。 ─────── 自筆です。 アルファポリス、第18回ファンタジー小説大賞、奨励賞受賞

さんざん馬鹿にされてきた最弱精霊使いですが、剣一本で魔物を倒し続けたらパートナーが最強の『大精霊』に進化したので逆襲を始めます。

ヒツキノドカ
ファンタジー
 誰もがパートナーの精霊を持つウィスティリア王国。  そこでは精霊によって人生が決まり、また身分の高いものほど強い精霊を宿すといわれている。  しかし第二王子シグは最弱の精霊を宿して生まれたために王家を追放されてしまう。  身分を剥奪されたシグは冒険者になり、剣一本で魔物を倒して生計を立てるようになる。しかしそこでも精霊の弱さから見下された。ひどい時は他の冒険者に襲われこともあった。  そんな生活がしばらく続いたある日――今までの苦労が報われ精霊が進化。  姿は美しい白髪の少女に。  伝説の大精霊となり、『天候にまつわる全属性使用可』という規格外の能力を得たクゥは、「今まで育ててくれた恩返しがしたい!」と懐きまくってくる。  最強の相棒を手に入れたシグは、今まで自分を見下してきた人間たちを見返すことを決意するのだった。 ーーーーーー ーーー 閲覧、お気に入り登録、感想等いつもありがとうございます。とても励みになります! ※2020.6.8お陰様でHOTランキングに載ることができました。ご愛読感謝!

レベルが上がらない【無駄骨】スキルのせいで両親に殺されかけたむっつりスケベがスキルを奪って世界を救う話。

玉ねぎサーモン
ファンタジー
絶望スキル× 害悪スキル=限界突破のユニークスキル…!? 成長できない主人公と存在するだけで周りを傷つける美少女が出会ったら、激レアユニークスキルに! 故郷を魔王に滅ぼされたむっつりスケベな主人公。 この世界ではおよそ1000人に1人がスキルを覚醒する。 持てるスキルは人によって決まっており、1つから最大5つまで。 主人公のロックは世界最高5つのスキルを持てるため将来を期待されたが、覚醒したのはハズレスキルばかり。レベルアップ時のステータス上昇値が半減する「成長抑制」を覚えたかと思えば、その次には経験値が一切入らなくなる「無駄骨」…。 期待を裏切ったため育ての親に殺されかける。 その後最高レア度のユニークスキル「スキルスナッチ」スキルを覚醒。 仲間と出会いさらに強力なユニークスキルを手に入れて世界最強へ…!? 美少女たちと冒険する主人公は、仇をとり、故郷を取り戻すことができるのか。 この作品はカクヨム・小説家になろう・Youtubeにも掲載しています。

底辺動画主、配信を切り忘れてスライムを育成していたらバズった

椎名 富比路
ファンタジー
ダンジョンが世界じゅうに存在する世界。ダンジョン配信業が世間でさかんに行われている。 底辺冒険者であり配信者のツヨシは、あるとき弱っていたスライムを持ち帰る。 ワラビと名付けられたスライムは、元気に成長した。 だがツヨシは、うっかり配信を切り忘れて眠りについてしまう。 翌朝目覚めると、めっちゃバズっていた。

大器晩成エンチャンター~Sランク冒険者パーティから追放されてしまったが、追放後の成長度合いが凄くて世界最強になる

遠野紫
ファンタジー
「な、なんでだよ……今まで一緒に頑張って来たろ……?」 「頑張って来たのは俺たちだよ……お前はお荷物だ。サザン、お前にはパーティから抜けてもらう」 S級冒険者パーティのエンチャンターであるサザンは或る時、パーティリーダーから追放を言い渡されてしまう。 村の仲良し四人で結成したパーティだったが、サザンだけはなぜか実力が伸びなかったのだ。他のメンバーに追いつくために日々努力を重ねたサザンだったが結局報われることは無く追放されてしまった。 しかしサザンはレアスキル『大器晩成』を持っていたため、ある時突然その強さが解放されたのだった。 とてつもない成長率を手にしたサザンの最強エンチャンターへの道が今始まる。

処理中です...