天才な妹と最強な元勇者

くらげさん

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怒るぞ!

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 どんだけ食うんだぁぁぁぁぁ!

 俺の心の叫びは誰にも聞こえない。

 リリアとユウカは料理屋を片っ端から潰して行ってる。

 俺はもう吐きそうだ。

「ご注文の物はこちらでよろしいですか?」

「「はい!」」

 若い女の店員さんが訪ねると二人は揃って返事をする。

 俺はテーブルに視線を落とす。

 リリアとユウカの前に広がるスイーツの数々。

 見るだけでお腹一杯だ。

 最初のメチャデカパフェから始まり、テーブルに敷き詰められたスイーツを見るのはこれで六件目だ。

 二人とも。

「美味しいね~」

 と言いながら二人の腹の中に消えていくスイーツ達。

 俺は勇気を出して聞こうと思う。

「そんなに食べてお腹一杯にならないのか?」

 すると二人がスプーンをテーブルに置く。

「女の子の中にはスイーツ専用のブラックホールが存在するんだよ!」

 ユウカが胸を張るとリリアはウンウンと頷いている。

「そ、そうか」

 俺はその気迫に飲まれ何も言えなくなる。

 そしてあっという間に食べ終わった。



 店を出ると。

 二人はまだ食べる気なのか次の店を何処にするか二人で考えている。

 俺は呆れながら呟く。

「そんなに食べてたら太るぞ」

 その場が一瞬で氷つく。

 えっ! なに!

 二人から氷点下の目線を向けられて俺は状況が理解できない。

「お兄ちゃん、それは禁句だよ」

「クレス君、それは僕も許せない発言だよ」

 冷たい口調で発せられた声に俺は身震いする。

「あれだけ食ってれば太る……」

 二人がぶつぶつ呟いた瞬間に俺の首元には二つの透明な剣が交差して置かれる。

「お兄ちゃん?」

「クレス君?」

 殺気が膨れ上がり、その標的は俺だ。

「「それ以上言ったら」」

 ゴクリとクレスの唾を飲む音が聞こえる。

 そしてリリアとユウカがニコリと笑い、二つの剣が消える。


 し、死ぬかと思った!

 あの状況で何か言ったら本当に殺されてた。

 妹様からあんな殺気感じたの初めてなんだが!

 俺は女の子には「太る」と言うのが禁句だと身をもって知った。

「さて、リリアちゃん! 次はあの店だ!」

「うん!」

 二人は意気揚々と次の店に足を進める。


 だがな!

 俺は二人の前に立ち歯を食い縛る。

「その辺にしとけ! 本当に太るぞ!」

 俺は太ったリリアとユウカなんかみたくない!

「お兄ちゃんでも次はないよ」

「クレス君も聞き分けがないよね」

 二人の殺気と魔力が膨れ上がる。

「なんとでも言え! お前らは俺が止める! 行くなら俺を倒してから行くんだな!」



 ここで戦ったら迷惑になるということでフィーリオンの外で戦うことにする。

 外には丁度よく学園のコロシアムぐらいの平原があった。

 今はその中央で向かい合っている。

 リリアとユウカはどちらも半透明な白銀色のオーラルを纏う透明な剣を持っている。

 ユウカはリリアの剣が綺麗! と言っていたから教えて貰っていたんだろう。

 この二人は最近凄く仲が良い。

 俺は勿論金のオーラを纏う黒剣を持っている。

「俺が勝ったらスイーツは諦めろ」

「今の僕達は剣の勇者にも負けないよ。スイーツがどれだけ女の子に力をくれるか見せてあげる!」

「俺も五割ぐらいで行くからな! 悪く思うなよ!」

 リリアの顔から汗が垂れる。
 
 俺が本気で止めに来ているのが分かるからだ。

 五割がどれくらいか分かっていないユウカ。

 ユウカ自身も邪神や魔王を倒してるから五割ぐらいなら倒せると思っているのだろう。





「リリアちゃんと力を合わせたら剣の勇者にだって勝てるよ!」

「う、うん」

 リリアが自信なさげに頷く。


 それから三人は激突する。

 リリアとユウカが動かないクレスに剣を振り下ろすとクレスがその場から消える。

「何処に向かって剣を振ってるんだ?」

 二人は後ろからのクレスの声に振り返ると。

 二人が持っていた剣が粉々に砕け散る。

「「えっ!」」


 なにが起こったのか理解できない。


「そこから一歩でも動いたら、斬るぞ」

 黒剣が二人に向けられている。

 クレスの殺気を纏った低い声に二人は動くことも出来ずに固まる。

 三人の間に静寂な時間が流れる。



 そして静寂を切り裂いた人物が居た。

「お兄ちゃんごめんなざい~」

 リリアが耐えられなくなり膝から崩れ落ちる。

「リリアちゃんズルいよ~僕も反省じます~」

 それにユウカもつられる。

 美少女二人が泣きながら反省している。

「スイーツは美味しいけど食べ過ぎて太った姿なんて見たくないからな! まぁ俺の勝手な言い分だから、今から食べに行きたいなら好きにしていい。俺は寮に帰るがな」

「お兄ちゃんに嫌われるのは嫌だ、一緒がいい」

「僕もクレス君に嫌われたくない、クレス君と休日をすごしたい!」





 二人ともこれでスイーツもほどほどにしてくれると約束してくれた。

 そのあとの休日は三人でブラブラ散歩したり、服や魔道具の店を中心に見てまわったり、楽しい休日になった。




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