天才な妹と最強な元勇者

くらげさん

文字の大きさ
30 / 201

チビじゃない

しおりを挟む






 ユウカとリリアとミミリアの三人は森の中にいる。

 始まってから五~六時間は経ち、ランダムで場所を決めているのか、また森のステージだ。

「今、残ってる人は何人なのかな~」

「もう結構経つよね~」

 リリアとユウカが座り込み楽しく喋っている。

「もう少し気を張ってくれ」

 ずっと周囲を警戒しているミミリアが二人に言い放つ。

「だってさ~お腹も空いたし強敵! って感じる人とも会えないし、つまんない~」

「闇の勇者なユウカ様を煩わせる相手がいたならこっちから遠慮したいです」

 この三人の中で飛び抜けて強いのがユウカだ。

「え~ミミリアちゃん、そんなこと言ってたら剣の勇者になんか到底追い付かないよ」

「クレスは規格外ですから」

「またまた~、ミミリアちゃんはクレス君と肩を並べるほど強くなりたいんでしょ」

「な、なんでそれを! ……違いますよ!」

 ミミリアは頬を朱に染めながら否定する。

「見てれば分かるよ~」

 それをユウカがからかう。



 ユウカとリリアが立ち上がり。

「ほら~ミミリアちゃんが強敵なんて言うから来ちゃったよ」

「私はそんなこと言ってない! ユウカ様が言ってたじゃないですか!」

 ミミリアが否定した時、木の影から姿を表す人物が。

「おっ! 可愛い子達はっけ~ん」

 精霊の勇者ソラ・ミズキだ。

 ソラは染めた金髪の髪に甘いマスク、イケメン勇者だ。

「帰ってくれないかな、僕達は君とは戦いたくないんだけど」

「おっ! その声ダークネスか!」

 ソラは驚きに満ちた声を出す。

「よく分かったね、正体を隠してる時は風の魔法で声を低くしてたんだけど」

「ダークネスが女の子だったって噂で聞いててね。前から華奢な奴だとは思ってたんだよ。あと声を低くしたからって俺にはわかっちゃうよ、だってこんな美少女だ……」

 ユウカはソラの声を遮る。

「ふ~ん、まぁ君には興味なんてないからどうでもいいんだけど」

「俺に言い寄ってくる美少女達は沢山いるけど、そうやって俺の事を軽くあしらう女の子を落とすのが燃えるんだよ!」

 ソラは剣を構える。

「知らないのかい? 女の子には優しくするものだよ」

 ユウカ、リリア、ミミリアが呪文を詠唱する。

『天空の光よ、僕に力を』

『天空の光よ、私に力を貸して』

『漆黒の闇よ、形をなし我が手の中へ』

 透明な剣が二本と銀の剣が現れる。

「こっちは三人で君は一人かい?」

「俺は一人でも三人を相手に出来るけど魔力の消費が激しそうだね」

「やはり我の力がいるか、精霊の勇者よ」

 どこからか聞こえる声に精霊の勇者が答える。



「まっ共闘と行こうじゃないか元邪神さん」

 森の中で闇が空中に集まっていき人の形になっていく。

「久しぶりよのう、闇の勇者」

 艶のある黒髪を腰まで伸ばし、つり目で吸い込まれそうな紫色の瞳、手足が細く白い肌、そして人を見下した雰囲気。




「チビ」

 ユウカがぼそりと呟く。

「チビじゃなかろう! 我と貴様の身長は変わらぬではないか!」

 元邪神様は顔を赤くして吠える。

「僕は153だけど? 君は?」

「146じゃ」

 ボソボソと邪神が呟く。

「ずいぶん盛ったね~、チビじゃん」

「バカにするな~! 我はまだ完全に復活出来てないのじゃ!」

「前とはずいぶん違うからね、誰もが見惚れるだろうスタイルだったのに笑っちゃうよ」

 ミミリアは歴史に名を刻んだ最強の勢揃いに言葉が出ない。

 リリアは立っているだけで汗が出る。

 ミミリアとリリアは最強達の出すプレッシャーを浴びて身体が震えて動けない。

「わ、我の名はフィリア・アーリエスタ」

 どうやら元邪神フィリアは仕切り直すらしい。

「ずいぶん、可愛い名前だね」

「ぐぬぬ」

「精霊の学園と邪神の学園は手を組んでたって事だね」

「前から精霊の学園とは共闘関係にある。なぜ我がここに居るのか疑問に思わないのか?」

「どうでもいい……なぜだい?」

「貴様、心の声は口に出すな! まぁよい、今の我は世界征服なぞ望んでいない、我が世界征服を望んでいたのは人族が魔族の恨みを買いすぎたからじゃ。今の世界は魔族に対しても居心地がいい、世界征服する必要もなくなった」

「だから学園に入ってこの平和を楽しんでいると?」

「そうゆう事じゃ」

 フィリアが言い終わると魔力が膨れあがる。



「我を楽しませろ、退屈しのぎにはなって貰わないとな!」

 フィリアはユウカに向けて斬りかかる。フィリアはどこから出したのか黒い刀を持っている。

「さすが邪神様と言った所だね」

 その剣撃をユウカが凌ぐ。

「我も言おう、さすが闇の勇者だ」

 フィリアの横からソラが現れる。

 そしてユウカに斬りかかる。

 ユウカは二人の剣撃をギリギリで耐えている。

「女の子に二人がかりは卑怯じゃないかい?」

「ダークネスの能力はやっかいだからね、先に潰して置くよ!」

 ソラはユウカの勇者の能力を知っている。

 勇者はそれぞれ固有スキルを持っている。

 魔術、魔力を使わないスキル。

「そんなに僕の直感のスキルが怖いのかい?」

「あぁなんせその直感がなければ俺達は邪神を倒せなかっただろうからな!」

「おいおい買いかぶりすぎだよ、直感なんてみんな持ってるだろ」

「直感が全部当たるスキルなんてチートスキルだろうが!」

「だから買いかぶりすぎだよ~」

 ソラの苛立ちが頂点まで届く。





「「じゃあ、目を開けろ!」」

「あっ!」

 フィリアとソラの声が重なる。

 そうユウカは途中からずっと目を瞑って直感だけで剣撃を全て受け流してたのだ。

「もういいアレを使うぞ!」

「わかった」

 フィリアの言葉と同時にソラとフィリアがユウカから距離を取る。

「もう終わりかい?」

 ユウカは目を開け煽る。


 フィリアとソラが同時に詠唱する。

『『戒めの鎖を解き放て』』

 その言葉と共に深い闇と眩い光が姿を現す。

 深い闇が形づくる闇の精霊。

 眩い光が形づくる光の精霊。

 美しい美女が二人。

 眩い銀髪の長い髪を持ち、透き通る金色の瞳を持つ光の精霊。

 紫色の長い髪を持ち、深い紫色の瞳を持つ闇の精霊。

 どちらも肌が白く、スタイルも抜群で顔も整っている。

 だが淀んだ赤いオーラを発する鎖に縛られている。


 それを見たリリアの眼の色が変わる。

 眼の色が変わる、金色に。

 精霊化オーラルフォーゼ

『お兄ちゃん! 私ちゃんと助けるから!』

 リリアの震えが止まり、今動き出す。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

生贄にされた少年。故郷を離れてゆるりと暮らす。

水定ゆう
ファンタジー
 村の仕来りで生贄にされた少年、天月・オボロナ。魔物が蠢く危険な森で死を覚悟した天月は、三人の異形の者たちに命を救われる。  異形の者たちの弟子となった天月は、数年後故郷を離れ、魔物による被害と魔法の溢れる町でバイトをしながら冒険者活動を続けていた。  そこで待ち受けるのは数々の陰謀や危険な魔物たち。  生贄として魔物に捧げられた少年は、冒険者活動を続けながらゆるりと日常を満喫する!  ※とりあえず、一時完結いたしました。  今後は、短編や別タイトルで続けていくと思いますが、今回はここまで。  その際は、ぜひ読んでいただけると幸いです。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

転生したら最強種の竜人かよ~目立ちたくないので種族隠して学院へ通います~

ゆる弥
ファンタジー
強さをひた隠しにして学院の入学試験を受けるが、強すぎて隠し通せておらず、逆に目立ってしまう。 コイツは何かがおかしい。 本人は気が付かず隠しているが、周りは気付き始める。 目立ちたくないのに国の最高戦力に祭り上げられてしまう可哀想な男の話。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

勇者パーティーにダンジョンで生贄にされました。これで上位神から押し付けられた、勇者の育成支援から解放される。

克全
ファンタジー
エドゥアルには大嫌いな役目、神与スキル『勇者の育成者』があった。力だけあって知能が低い下級神が、勇者にふさわしくない者に『勇者』スキルを与えてしまったせいで、上級神から与えられてしまったのだ。前世の知識と、それを利用して鍛えた絶大な魔力のあるエドゥアルだったが、神与スキル『勇者の育成者』には逆らえず、嫌々勇者を教育していた。だが、勇者ガブリエルは上級神の想像を絶する愚者だった。事もあろうに、エドゥアルを含む300人もの人間を生贄にして、ダンジョンの階層主を斃そうとした。流石にこのような下劣な行いをしては『勇者』スキルは消滅してしまう。対象となった勇者がいなくなれば『勇者の育成者』スキルも消滅する。自由を手に入れたエドゥアルは好き勝手に生きることにしたのだった。

S級冒険者の子どもが進む道

干支猫
ファンタジー
【12/26完結】 とある小さな村、元冒険者の両親の下に生まれた子、ヨハン。 父親譲りの剣の才能に母親譲りの魔法の才能は両親の想定の遥か上をいく。 そうして王都の冒険者学校に入学を決め、出会った仲間と様々な学生生活を送っていった。 その中で魔族の存在にエルフの歴史を知る。そして魔王の復活を聞いた。 魔王とはいったい? ※感想に盛大なネタバレがあるので閲覧の際はご注意ください。

序盤でざまぁされる人望ゼロの無能リーダーに転生したので隠れチート主人公を追放せず可愛がったら、なぜか俺の方が英雄扱いされるようになっていた

砂礫レキ
ファンタジー
35歳独身社会人の灰村タクミ。 彼は実家の母から学生時代夢中で書いていた小説をゴミとして燃やしたと電話で告げられる。 そして落ち込んでいる所を通り魔に襲われ死亡した。 死の間際思い出したタクミの夢、それは「自分の書いた物語の主人公になる」ことだった。 その願いが叶ったのか目覚めたタクミは見覚えのあるファンタジー世界の中にいた。 しかし望んでいた主人公「クロノ・ナイトレイ」の姿ではなく、 主人公を追放し序盤で惨めに死ぬ冒険者パーティーの無能リーダー「アルヴァ・グレイブラッド」として。 自尊心が地の底まで落ちているタクミがチート主人公であるクロノに嫉妬する筈もなく、 寧ろ無能と見下されているクロノの実力を周囲に伝え先輩冒険者として支え始める。 結果、アルヴァを粗野で無能なリーダーだと見下していたパーティーメンバーや、 自警団、街の住民たちの視線が変わり始めて……? 更新は昼頃になります。

伯爵家の三男に転生しました。風属性と回復属性で成り上がります

竹桜
ファンタジー
 武田健人は、消防士として、風力発電所の事故に駆けつけ、救助活動をしている途中に、上から瓦礫が降ってきて、それに踏み潰されてしまった。次に、目が覚めると真っ白な空間にいた。そして、神と名乗る男が出てきて、ほとんど説明がないまま異世界転生をしてしまう。  転生してから、ステータスを見てみると、風属性と回復属性だけ適性が10もあった。この世界では、5が最大と言われていた。俺の異世界転生は、どうなってしまうんだ。  

処理中です...