44 / 201
剣の勇者の最後
しおりを挟む「お前らまとめて相手してやるよ」
クレスはグランゼルを構える。
「ミミリアちゃん頑張って!」
「お姉ちゃん頑張って!」
ユウカとリリアはその場で後ろに下がる。
「ちょっと待て! 私だけか!」
「僕達にあの化物と手合わせする趣味はないよ! だからミミリアちゃんに譲ることにした」
「三人で倒しましょうよ!」
「ミミリアちゃん一人で戦った方がいいって僕の直感が言ってる」
ユウカはミミリアから目線をそらす。
「絶対嘘じゃないですか!」
「嘘じゃないよ~僕達はクレス君ともう手合わせしたことあるしミミリアちゃんは強くなりたいんでしょ? なら一人の方がいいよ」
「そうですね」
ミミリアは納得してないが手合わせが出来るならとクレスの方を向き剣を構える。
「手合わせをお願いする」
「おう!」
クレスが返事をするとミミリアが前に出る。
クレスはミミリアが反応できる速度で剣を振る。
ミミリアはクレスの剣をギリギリでしのぐ。
その剣は徐々に速く、ミミリアがギリギリ反応できる速度。
慣れてきたらまた少しスピードを速くしていく。
「最初からこうするつもりだったのか!」
「まぁな、ユウカが邪魔者を呼んだから掃除するために時間を使っただけだ」
息を切らしながら話すミミリアに対してクレスは平然としている。
「ほら、ボサッとしてないでリリアもユウカも来いよ、三人纏めて俺が指導してやる」
「久しぶりにお兄ちゃんに教えてもらえる!」
リリアはクレスの言葉を聞き、二人の中に入っていく。
「え~」
それに対してユウカは嫌がる。
クレスはミミリアとリリアが反応できるスピードを器用に使い分けている。
「ユウカちゃんも来なよ~」
ギリギリの攻防を楽しそうにやっているミミリアとリリア。
「リリアちゃんもミミリアちゃんも楽しそう! 僕もやる~!」
リリアに誘われユウカも入ることにする。
ユウカも入り、クレスは三人を相手にしても余裕で対応している。
「ユウカ様、リリア、私に譲ってくれるんじゃなかったですか?」
「僕の直感で勝てる望みがあるって分かってたけどこれだったんだね! 他の勇者達を呼んだけど意味なかったよ」
「聞いてるんですかユウカ様」
「ミミリアちゃん! 楽しそうなことを独り占めは良くない!」
「そうだよ! お姉ちゃん」
「いいじゃないか、三人を相手にするのは俺のプラン通りだしな」
「ん? プラン通りなのかい?」
「あぁ」
三人の剣はクレスには全然届かない。
リリア、ミミリア、ユウカは当然クレスには弾き返される物だと思いながら自分の今できる最高の剣を全力で振る。
その剣がクレスに深々と突き刺さる。
クレスはそのまま地面に倒れる。
「「「えっ!」」」
三人はそこで呆然とする。
闇が晴れて観客席からバトルフィールドが見えるようになり剣の勇者が倒されているのを見るとうるさいぐらい騒がしくなる。
その騒がしさで我に戻った三人はすぐさま回復魔法をかける。
『『光の癒しよ、眠れる者を呼び起こせ』』
光の神級魔法をリリアとユウカがクレスにかける。
『闇よ、傷つき者に再生を』
闇の神級魔法をミミリアがクレスにかける。
クレスは回復魔法の薄い緑色のオーラを纏うが全然目を開けない。
「お兄ちゃんなんで!」
「クレス君目を開けてよ!」
「クレス!」
三人の目から涙が落ちる。
『お前らに教えてやれることはもうない。元勇者は退場しないとな』
クレスの口だけが動き一言呟くと身体が光の粒子になり消えていく。
『最後にお前らに会えて良かっ……』
「「「……」」」
三人は言葉がでない。
涙だけが溢れてくる。
光の粒子が消えかけた中から記憶の石が現れ、その記憶の石も真っ二つに割れ、キラキラと消えていく。
クレスが握っていたグランゼルは持ち主を失って地面に落ちる。
そこでまた三人は呆然とする。
「記憶の石?」
ユウカが呟く。
『剣の勇者が倒されたのを確認しましたので優勝特典の願いを言ってください』
その場でアナウンスが響く。
『よくやったぞ~お前ら~』
客席からクレスの声も響く。
声を聞きクレスの方に振り返ったリリア達は一瞬安堵した顔になった後、クレスに向けて凄まじい殺気を飛ばす。
「えっ! 俺なにかした?」
隣に座るフィリアからも殺気が飛んでくる。
「死ね」
「えっ!」
本当に何も分かってないクレスだった。
0
あなたにおすすめの小説
生贄にされた少年。故郷を離れてゆるりと暮らす。
水定ゆう
ファンタジー
村の仕来りで生贄にされた少年、天月・オボロナ。魔物が蠢く危険な森で死を覚悟した天月は、三人の異形の者たちに命を救われる。
異形の者たちの弟子となった天月は、数年後故郷を離れ、魔物による被害と魔法の溢れる町でバイトをしながら冒険者活動を続けていた。
そこで待ち受けるのは数々の陰謀や危険な魔物たち。
生贄として魔物に捧げられた少年は、冒険者活動を続けながらゆるりと日常を満喫する!
※とりあえず、一時完結いたしました。
今後は、短編や別タイトルで続けていくと思いますが、今回はここまで。
その際は、ぜひ読んでいただけると幸いです。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
S級冒険者の子どもが進む道
干支猫
ファンタジー
【12/26完結】
とある小さな村、元冒険者の両親の下に生まれた子、ヨハン。
父親譲りの剣の才能に母親譲りの魔法の才能は両親の想定の遥か上をいく。
そうして王都の冒険者学校に入学を決め、出会った仲間と様々な学生生活を送っていった。
その中で魔族の存在にエルフの歴史を知る。そして魔王の復活を聞いた。
魔王とはいったい?
※感想に盛大なネタバレがあるので閲覧の際はご注意ください。
転生したら最強種の竜人かよ~目立ちたくないので種族隠して学院へ通います~
ゆる弥
ファンタジー
強さをひた隠しにして学院の入学試験を受けるが、強すぎて隠し通せておらず、逆に目立ってしまう。
コイツは何かがおかしい。
本人は気が付かず隠しているが、周りは気付き始める。
目立ちたくないのに国の最高戦力に祭り上げられてしまう可哀想な男の話。
勇者パーティーにダンジョンで生贄にされました。これで上位神から押し付けられた、勇者の育成支援から解放される。
克全
ファンタジー
エドゥアルには大嫌いな役目、神与スキル『勇者の育成者』があった。力だけあって知能が低い下級神が、勇者にふさわしくない者に『勇者』スキルを与えてしまったせいで、上級神から与えられてしまったのだ。前世の知識と、それを利用して鍛えた絶大な魔力のあるエドゥアルだったが、神与スキル『勇者の育成者』には逆らえず、嫌々勇者を教育していた。だが、勇者ガブリエルは上級神の想像を絶する愚者だった。事もあろうに、エドゥアルを含む300人もの人間を生贄にして、ダンジョンの階層主を斃そうとした。流石にこのような下劣な行いをしては『勇者』スキルは消滅してしまう。対象となった勇者がいなくなれば『勇者の育成者』スキルも消滅する。自由を手に入れたエドゥアルは好き勝手に生きることにしたのだった。
序盤でざまぁされる人望ゼロの無能リーダーに転生したので隠れチート主人公を追放せず可愛がったら、なぜか俺の方が英雄扱いされるようになっていた
砂礫レキ
ファンタジー
35歳独身社会人の灰村タクミ。
彼は実家の母から学生時代夢中で書いていた小説をゴミとして燃やしたと電話で告げられる。
そして落ち込んでいる所を通り魔に襲われ死亡した。
死の間際思い出したタクミの夢、それは「自分の書いた物語の主人公になる」ことだった。
その願いが叶ったのか目覚めたタクミは見覚えのあるファンタジー世界の中にいた。
しかし望んでいた主人公「クロノ・ナイトレイ」の姿ではなく、
主人公を追放し序盤で惨めに死ぬ冒険者パーティーの無能リーダー「アルヴァ・グレイブラッド」として。
自尊心が地の底まで落ちているタクミがチート主人公であるクロノに嫉妬する筈もなく、
寧ろ無能と見下されているクロノの実力を周囲に伝え先輩冒険者として支え始める。
結果、アルヴァを粗野で無能なリーダーだと見下していたパーティーメンバーや、
自警団、街の住民たちの視線が変わり始めて……?
更新は昼頃になります。
異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~
宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。
転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。
良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。
例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。
けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。
同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。
彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!?
※小説家になろう様にも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる