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剣の勇者の最後
しおりを挟む「お前らまとめて相手してやるよ」
クレスはグランゼルを構える。
「ミミリアちゃん頑張って!」
「お姉ちゃん頑張って!」
ユウカとリリアはその場で後ろに下がる。
「ちょっと待て! 私だけか!」
「僕達にあの化物と手合わせする趣味はないよ! だからミミリアちゃんに譲ることにした」
「三人で倒しましょうよ!」
「ミミリアちゃん一人で戦った方がいいって僕の直感が言ってる」
ユウカはミミリアから目線をそらす。
「絶対嘘じゃないですか!」
「嘘じゃないよ~僕達はクレス君ともう手合わせしたことあるしミミリアちゃんは強くなりたいんでしょ? なら一人の方がいいよ」
「そうですね」
ミミリアは納得してないが手合わせが出来るならとクレスの方を向き剣を構える。
「手合わせをお願いする」
「おう!」
クレスが返事をするとミミリアが前に出る。
クレスはミミリアが反応できる速度で剣を振る。
ミミリアはクレスの剣をギリギリでしのぐ。
その剣は徐々に速く、ミミリアがギリギリ反応できる速度。
慣れてきたらまた少しスピードを速くしていく。
「最初からこうするつもりだったのか!」
「まぁな、ユウカが邪魔者を呼んだから掃除するために時間を使っただけだ」
息を切らしながら話すミミリアに対してクレスは平然としている。
「ほら、ボサッとしてないでリリアもユウカも来いよ、三人纏めて俺が指導してやる」
「久しぶりにお兄ちゃんに教えてもらえる!」
リリアはクレスの言葉を聞き、二人の中に入っていく。
「え~」
それに対してユウカは嫌がる。
クレスはミミリアとリリアが反応できるスピードを器用に使い分けている。
「ユウカちゃんも来なよ~」
ギリギリの攻防を楽しそうにやっているミミリアとリリア。
「リリアちゃんもミミリアちゃんも楽しそう! 僕もやる~!」
リリアに誘われユウカも入ることにする。
ユウカも入り、クレスは三人を相手にしても余裕で対応している。
「ユウカ様、リリア、私に譲ってくれるんじゃなかったですか?」
「僕の直感で勝てる望みがあるって分かってたけどこれだったんだね! 他の勇者達を呼んだけど意味なかったよ」
「聞いてるんですかユウカ様」
「ミミリアちゃん! 楽しそうなことを独り占めは良くない!」
「そうだよ! お姉ちゃん」
「いいじゃないか、三人を相手にするのは俺のプラン通りだしな」
「ん? プラン通りなのかい?」
「あぁ」
三人の剣はクレスには全然届かない。
リリア、ミミリア、ユウカは当然クレスには弾き返される物だと思いながら自分の今できる最高の剣を全力で振る。
その剣がクレスに深々と突き刺さる。
クレスはそのまま地面に倒れる。
「「「えっ!」」」
三人はそこで呆然とする。
闇が晴れて観客席からバトルフィールドが見えるようになり剣の勇者が倒されているのを見るとうるさいぐらい騒がしくなる。
その騒がしさで我に戻った三人はすぐさま回復魔法をかける。
『『光の癒しよ、眠れる者を呼び起こせ』』
光の神級魔法をリリアとユウカがクレスにかける。
『闇よ、傷つき者に再生を』
闇の神級魔法をミミリアがクレスにかける。
クレスは回復魔法の薄い緑色のオーラを纏うが全然目を開けない。
「お兄ちゃんなんで!」
「クレス君目を開けてよ!」
「クレス!」
三人の目から涙が落ちる。
『お前らに教えてやれることはもうない。元勇者は退場しないとな』
クレスの口だけが動き一言呟くと身体が光の粒子になり消えていく。
『最後にお前らに会えて良かっ……』
「「「……」」」
三人は言葉がでない。
涙だけが溢れてくる。
光の粒子が消えかけた中から記憶の石が現れ、その記憶の石も真っ二つに割れ、キラキラと消えていく。
クレスが握っていたグランゼルは持ち主を失って地面に落ちる。
そこでまた三人は呆然とする。
「記憶の石?」
ユウカが呟く。
『剣の勇者が倒されたのを確認しましたので優勝特典の願いを言ってください』
その場でアナウンスが響く。
『よくやったぞ~お前ら~』
客席からクレスの声も響く。
声を聞きクレスの方に振り返ったリリア達は一瞬安堵した顔になった後、クレスに向けて凄まじい殺気を飛ばす。
「えっ! 俺なにかした?」
隣に座るフィリアからも殺気が飛んでくる。
「死ね」
「えっ!」
本当に何も分かってないクレスだった。
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