天才な妹と最強な元勇者

くらげさん

文字の大きさ
45 / 201

強制

しおりを挟む




 クレスに殺気を飛ばしたリリア達は気を取り直してラグナロクの優勝特典の願いを言うことにする。

「僕の願いは願いを一人一つにして~」

『そういう願いは無理です、他の願いを言ってください』

 アナウンスで即答されたユウカ。

「でもさ~、僕達は勇者にいきなり乱入されたんだよ? 少しぐらい何かあってもいいよね~」

 勇者達を呼んだのはユウカなのだが……。

 ユウカはリリアとミミリアを交互に見る。

「う、うん」

「そう、ですね」

 リリアとミミリアは頷くしかない。

『少しお待ちください』

 そこでアナウンスがプツリと切れる。


「待つのか~じゃあ行くよ!」

 ユウカの声に二人は頷きバトルフィールドを後にする。

 出口には気絶している勇者達がタンカで運ばれていた。



 もちろん向かう先は。

「お兄ちゃん!」

「クレス!」

「クレス君!」

 三人の前には椅子に座ったクレスがいる。

「僕達に言うことは?」

「そうだな……」

 クレスは顔をふせる。


 ガバッと立ち上がり。


「優勝おめでとう~!」

 クレスは満面の笑みだ。

「「「「違う!」」」」

 リリア達の中に座っていたフィリアも入る。

「さっきの説明をしてくれるかい?」

「さっきの?」

「あれはダメだと思うよお兄ちゃん!」

 ユウカとリリアはクレスに詰め寄る。

 クレスはやっと自分がしたことを理解する。

「あれはシャドウだな。精霊神に記憶の石が消えるところを再現して貰った」

 シャドウはホーリートレースと同じ効果の闇属性の魔法だ。

「嘘でもあんなことはもうやめてよ」

「あ、あぁ」

 涙ぐむリリアに迫られてクレスは反省する。


 そこでアナウンスが流れる。

『勇者の乱入により迷惑されたということで願いを三個まで認めます』

 ユウカはニヤリと笑う。

「まず大きな家が欲しい! お金をずっと払わなくていい家が!」

『了解しました、家ですね? どこに建てますか?』

「建ててくれるのかい? じゃあ学園に通える距離で~静かな所で~ぐらいかな~」

「私は~おっきな庭も欲しい」

 ユウカが言い終わるとリリアがそれに付け加える。


『了解しました。それでは後二つの願いを言ってください』

「フィリアちゃんをフィーリオン剣士学園に強制入学で!」

 ユウカが願いを言う。

「ちょっと待て、どうして我が!」

「せっかく仲良くなったのに……フィリアちゃんは嫌なの?」

 リリアはフィリアに近づき目線を合わせながら問う。

「い、嫌ではないが我は他の学園には行けないのじゃ」

 それぞれの学園では入学後に違う学園には入れなくなる。

 ユウカは入学の手続きだけしかしてなかったのでフィーリオン剣士学園にはスムーズに入れた。

「「強制入学で!」」

 リリアとユウカが叫ぶ。

『了解しました。続いて後一つの願いを言ってください』
 

「最後の願いはミリアード王国の国宝、グランゼルを譲って~」

「えっ!」

 ミミリアは聞いていなかったのかユウカの言葉に驚きの声をあげる。

「ミミリアちゃん、あれは元々誰のかな?」

「お姉ちゃん、あの黒剣はお兄ちゃんが使ってた時に凄く嬉しそうだったよ~」

「そうですね。剣に心があるのならグランゼルは剣の勇者に持っていて欲しいでしょう」

 ミミリアは倉庫で厳重に保管されるよりもクレスに持っていて貰いたいと思う。

『了解しました。ミリアード王国に確認を取りますので少しの間お待ちください』


「グランゼルは誰が欲しいんだ?」

 クレスは疑問に思ったのか口を開く。

「クレス君、聞いてなかったのかい? クレス君にグランゼルをかえすんだよ」

「願いを俺のために使ってよかったのか?」

「いいんだよお兄ちゃん!」

「ならいいんだが、ありがとな」

 リリア、ミミリア、ユウカはクレスの感謝の言葉に頬を朱に染める。


 アナウンスが流れる。

『ミリアード王国はミミリア様に託すつもりだったとの事なのでミミリア様からの承諾を得れば可能です』

「私は別にいいぞ」

 ミミリアが承諾する。

『それでは』

 バトルフィールドに落ちているグランゼルが光に包まれ、リリア達の前に鞘と一緒に転移する。

『ミリアード王国から所有権が移ります』

 空中に浮いている鞘とグランゼルをリリアが取る。

「はい、お兄ちゃん」

 リリアから差し出された鞘とグランゼルをクレスは受けとる。

「ありがとな」

 クレスは満面の笑みで再度感謝を伝える。

「う、うん」

 三人共にクレスの顔を見れない。

 腰に鞘を掛けて嬉しそうにキラリと輝くグランゼルを鞘にしまう。

「姿は変わったが昔の剣の勇者を思い出す、懐かしい」

 フィリアはクレスを見ながら懐かしんでいる。

『優勝特典も終わったので転移を開始します』

 アナウンスが響くと会場中の全ての人が光に包まれる。



 光がおさまるとラグナロクに転移する前のようにクレスは武道館の椅子に腰掛けていた。

 転移で静まりかえった武道館が急激に熱を取り戻す。

「やっと終わったか」

 クレスは一息つく。

 騒がしい武道館の中で先生達は泣きながら優勝したことを発表し、優勝に貢献した十一人の生徒を表彰している。

 武道館の隅の方では一緒に転移させられたらしいフィリアが入学の手続きを初めていた。




『平和を望んでいた俺だがこういう騒がしいのは悪くないな』

 クレスは平和で騒がしい日常を楽しんでいるのだった。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

スライムすら倒せない底辺冒険者の俺、レベルアップしてハーレムを築く(予定)〜ユニークスキル[レベルアップ]を手に入れた俺は最弱魔法で無双する

カツラノエース
ファンタジー
ろくでもない人生を送っていた俺、海乃 哲也は、 23歳にして交通事故で死に、異世界転生をする。 急に異世界に飛ばされた俺、もちろん金は無い。何とか超初級クエストで金を集め武器を買ったが、俺に戦いの才能は無かったらしく、スライムすら倒せずに返り討ちにあってしまう。 完全に戦うということを諦めた俺は危険の無い薬草集めで、何とか金を稼ぎ、ひもじい思いをしながらも生き繋いでいた。 そんな日々を過ごしていると、突然ユニークスキル[レベルアップ]とやらを獲得する。 最初はこの胡散臭過ぎるユニークスキルを疑ったが、薬草集めでレベルが2に上がった俺は、好奇心に負け、ダメ元で再びスライムと戦う。 すると、前までは歯が立たなかったスライムをすんなり倒せてしまう。 どうやら本当にレベルアップしている模様。 「ちょっと待てよ?これなら最強になれるんじゃね?」 最弱魔法しか使う事の出来ない底辺冒険者である俺が、レベルアップで高みを目指す物語。 他サイトにも掲載しています。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

異世界転移からふざけた事情により転生へ。日本の常識は意外と非常識。

久遠 れんり
ファンタジー
普段の、何気ない日常。 事故は、予想外に起こる。 そして、異世界転移? 転生も。 気がつけば、見たことのない森。 「おーい」 と呼べば、「グギャ」とゴブリンが答える。 その時どう行動するのか。 また、その先は……。 初期は、サバイバル。 その後人里発見と、自身の立ち位置。生活基盤を確保。 有名になって、王都へ。 日本人の常識で突き進む。 そんな感じで、進みます。 ただ主人公は、ちょっと凝り性で、行きすぎる感じの日本人。そんな傾向が少しある。 異世界側では、少し非常識かもしれない。 面白がってつけた能力、超振動が意外と無敵だったりする。

【完結】487222760年間女神様に仕えてきた俺は、そろそろ普通の異世界転生をしてもいいと思う

こすもすさんど(元:ムメイザクラ)
ファンタジー
 異世界転生の女神様に四億年近くも仕えてきた、名も無きオリ主。  億千の異世界転生を繰り返してきた彼は、女神様に"休暇"と称して『普通の異世界転生がしたい』とお願いする。  彼の願いを聞き入れた女神様は、彼を無難な異世界へと送り出す。  四億年の経験知識と共に異世界へ降り立ったオリ主――『アヤト』は、自由気ままな転生者生活を満喫しようとするのだが、そんなぶっ壊れチートを持ったなろう系オリ主が平穏無事な"普通の異世界転生"など出来るはずもなく……?  道行く美少女ヒロイン達をスパルタ特訓で徹底的に鍛え上げ、邪魔する奴はただのパンチで滅殺抹殺一撃必殺、それも全ては"普通の異世界転生"をするために!  気が付けばヒロインが増え、気が付けば厄介事に巻き込まれる、テメーの頭はハッピーセットな、なろう系最強チーレム無双オリ主の明日はどっちだ!?    ※小説家になろう、エブリスタ、ノベルアップ+にも掲載しております。

勇者パーティーにダンジョンで生贄にされました。これで上位神から押し付けられた、勇者の育成支援から解放される。

克全
ファンタジー
エドゥアルには大嫌いな役目、神与スキル『勇者の育成者』があった。力だけあって知能が低い下級神が、勇者にふさわしくない者に『勇者』スキルを与えてしまったせいで、上級神から与えられてしまったのだ。前世の知識と、それを利用して鍛えた絶大な魔力のあるエドゥアルだったが、神与スキル『勇者の育成者』には逆らえず、嫌々勇者を教育していた。だが、勇者ガブリエルは上級神の想像を絶する愚者だった。事もあろうに、エドゥアルを含む300人もの人間を生贄にして、ダンジョンの階層主を斃そうとした。流石にこのような下劣な行いをしては『勇者』スキルは消滅してしまう。対象となった勇者がいなくなれば『勇者の育成者』スキルも消滅する。自由を手に入れたエドゥアルは好き勝手に生きることにしたのだった。

【一時完結】スキル調味料は最強⁉︎ 外れスキルと笑われた少年は、スキル調味料で無双します‼︎

アノマロカリス
ファンタジー
調味料…それは、料理の味付けに使う為のスパイスである。 この世界では、10歳の子供達には神殿に行き…神託の儀を受ける義務がある。 ただし、特別な理由があれば、断る事も出来る。 少年テッドが神託の儀を受けると、神から与えられたスキルは【調味料】だった。 更にどんなに料理の練習をしても上達しないという追加の神託も授かったのだ。 そんな話を聞いた周りの子供達からは大爆笑され…一緒に付き添っていた大人達も一緒に笑っていた。 少年テッドには、両親を亡くしていて妹達の面倒を見なければならない。 どんな仕事に着きたくて、頭を下げて頼んでいるのに「調味料には必要ない!」と言って断られる始末。 少年テッドの最後に取った行動は、冒険者になる事だった。 冒険者になってから、薬草採取の仕事をこなしていってったある時、魔物に襲われて咄嗟に調味料を魔物に放った。 すると、意外な効果があり…その後テッドはスキル調味料の可能性に気付く… 果たして、その可能性とは⁉ HOTランキングは、最高は2位でした。 皆様、ありがとうございます.°(ಗдಗ。)°. でも、欲を言えば、1位になりたかった(⌒-⌒; )

侯爵家三男からはじまる異世界チート冒険録 〜元プログラマー、スキルと現代知識で理想の異世界ライフ満喫中!〜【奨励賞】

のびすけ。
ファンタジー
気づけば侯爵家の三男として異世界に転生していた元プログラマー。 そこはどこか懐かしく、けれど想像以上に自由で――ちょっとだけ危険な世界。 幼い頃、命の危機をきっかけに前世の記憶が蘇り、 “とっておき”のチートで人生を再起動。 剣も魔法も、知識も商才も、全てを武器に少年は静かに準備を進めていく。 そして12歳。ついに彼は“新たなステージ”へと歩み出す。 これは、理想を形にするために動き出した少年の、 少し不思議で、ちょっとだけチートな異世界物語――その始まり。 【なろう掲載】

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

処理中です...