天才な妹と最強な元勇者

くらげさん

文字の大きさ
95 / 201

偽りの契約

しおりを挟む


『探したよ邪神』

『我をか?』

 闇に染まる空間で邪神と女神が語り合う。

『なぜこんな所にいるんだい?』

「精神的なダメージを受けて魔法を使おうとするとな」

 黒銀の魔力を手のひらに集めようとする邪神だったが。

 その魔力は纏まらず粒子に変わる。

「今の我は魔法も使えないのじゃ」

『剣の勇者が憎い?』

「憎い、憎い、憎い!」

『なら私と手を組む気はないか?』

「剣の勇者を倒せる力を手に入れる事が出来るのなら何でもしてやる」

『力を合わせるよ』

 闇の女神がどんよりとした虹色に輝く光を出すと、その光は闇の女神と邪神を飲み込んだ。



 光が収まると闇の女神でも邪神でもなく一人の人物が立っていた。

 漆黒を纏う髪に闇の女神と邪神の良いところを全部とったような完成された美女が。

『ピースは後一つ、面白くなってきた』

 その美女は軽く微笑むと。

『剣の勇者、私に絶望を見せてくれ』

 一言を残し、美女は消え去った。





 リリアが剣聖になる晴れ舞台!

 絶対に見るわ!

「クレス楽しそうだな」

 フィリアが俺に向かって当たり前な事を言う。

「今日はリリアが剣聖になるんだぞ!」

「もう確信してるのか」

「勿論だ!」

 剣聖適性の試験は学園がテレポートで生徒を送ると言っていたので俺はトウマのテレポートで先にメディアルに来ていた。

「僕もいるよ~」

「我も友達の応援ぐらいはな」

 ユウカは勇者だから剣聖の試験は受けれなく、暇だとついて来やがった。

 そしてフィリアも。

 まぁいいか! 妹様の晴れ舞台を特等席で見なければ。

 

 特等席を確保した俺達。

 希望者が続々と出て来はじめ、その中に妹様もいた。

『様子が変だな』





『リリアさん、期待してますよ』

 口々にそれしか言わない周りに私はうんざりしていた。

 世界を救った一人でしかも学園在学中に剣聖になった人はまだ一人もいない。

 私は在学中に剣聖になれるかもしれない生徒。

 フィーリオン剣士学園も知名度が急上昇らしい。

 私にとって甘い世界だった。

 そう嫌な人が私の前に現れるまでは。

 誰一人として私に尊敬の眼差しを送る。

 初めてだった勝てるイメージが完全に湧かない相手というのは。

 悔しい。

 私は今から剣聖適性の試験がある。

 先生の転移魔法が発動したようだ。




 真っ白に染まる視界の中でどす黒い魔力が通りすぎる。

『ここはどこ?』

 メディアルに転移されたはずの私の目の前に女の私でも見惚れる女の人が現れた。

 私は身構える。

『安心していい、私はリリアの味方だ』

「なんで私の名前を!」

『味方だと言っただろう、彼奴に勝ちたいとずっと思ってるんじゃないか? 私は女神、リリアの力になる為に呼んだんだ』

 私が勝ちたいと思ってる彼奴って嫌な人の事だよね。

「……ください」

『ハッキリ言え、リリアが望む力をやろう』

 私は力強く声に出す。



『あの人に勝てる力を下さい!』



『良いだろう、契約だ! 絶対勝利の力を授けよう』

 だがと女神様は呟く。

『契約の代価は剣の勇者の命』

 剣の勇者? 私達が倒したはずなのに。

『もう一度現れるかも知れないからな』

 女神様は剣の勇者がもう一度現れることを危惧して私に力を与えるという。

 なら私の答えは決まっている。

「契約します、代価は剣の勇者の命」

『契約だ、代価は絶対勝利の力』

 私の周りに闇が集まる。


「すごい!」

  魔力量は生まれた時から決まっている。

 なのに、私の魔力量が段違いに上がっていき、限界なんかないように止まることがない。

 集中すると周りが止まっているかのように遅く感じる。

 最初は目の前の女神様に勝てるかどうかも分からなかったのに今では勝てるかもじゃなく負ける気がしない。

『これでリリアは一人で剣の勇者を圧倒させる程の力を得た』

「これで私はあの人に追い付ける」




 リリアの喜んでる姿を横目に結末を知っている女神はニヤリと笑うのだった。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

生贄にされた少年。故郷を離れてゆるりと暮らす。

水定ゆう
ファンタジー
 村の仕来りで生贄にされた少年、天月・オボロナ。魔物が蠢く危険な森で死を覚悟した天月は、三人の異形の者たちに命を救われる。  異形の者たちの弟子となった天月は、数年後故郷を離れ、魔物による被害と魔法の溢れる町でバイトをしながら冒険者活動を続けていた。  そこで待ち受けるのは数々の陰謀や危険な魔物たち。  生贄として魔物に捧げられた少年は、冒険者活動を続けながらゆるりと日常を満喫する!  ※とりあえず、一時完結いたしました。  今後は、短編や別タイトルで続けていくと思いますが、今回はここまで。  その際は、ぜひ読んでいただけると幸いです。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

S級冒険者の子どもが進む道

干支猫
ファンタジー
【12/26完結】 とある小さな村、元冒険者の両親の下に生まれた子、ヨハン。 父親譲りの剣の才能に母親譲りの魔法の才能は両親の想定の遥か上をいく。 そうして王都の冒険者学校に入学を決め、出会った仲間と様々な学生生活を送っていった。 その中で魔族の存在にエルフの歴史を知る。そして魔王の復活を聞いた。 魔王とはいったい? ※感想に盛大なネタバレがあるので閲覧の際はご注意ください。

転生したら最強種の竜人かよ~目立ちたくないので種族隠して学院へ通います~

ゆる弥
ファンタジー
強さをひた隠しにして学院の入学試験を受けるが、強すぎて隠し通せておらず、逆に目立ってしまう。 コイツは何かがおかしい。 本人は気が付かず隠しているが、周りは気付き始める。 目立ちたくないのに国の最高戦力に祭り上げられてしまう可哀想な男の話。

勇者パーティーにダンジョンで生贄にされました。これで上位神から押し付けられた、勇者の育成支援から解放される。

克全
ファンタジー
エドゥアルには大嫌いな役目、神与スキル『勇者の育成者』があった。力だけあって知能が低い下級神が、勇者にふさわしくない者に『勇者』スキルを与えてしまったせいで、上級神から与えられてしまったのだ。前世の知識と、それを利用して鍛えた絶大な魔力のあるエドゥアルだったが、神与スキル『勇者の育成者』には逆らえず、嫌々勇者を教育していた。だが、勇者ガブリエルは上級神の想像を絶する愚者だった。事もあろうに、エドゥアルを含む300人もの人間を生贄にして、ダンジョンの階層主を斃そうとした。流石にこのような下劣な行いをしては『勇者』スキルは消滅してしまう。対象となった勇者がいなくなれば『勇者の育成者』スキルも消滅する。自由を手に入れたエドゥアルは好き勝手に生きることにしたのだった。

序盤でざまぁされる人望ゼロの無能リーダーに転生したので隠れチート主人公を追放せず可愛がったら、なぜか俺の方が英雄扱いされるようになっていた

砂礫レキ
ファンタジー
35歳独身社会人の灰村タクミ。 彼は実家の母から学生時代夢中で書いていた小説をゴミとして燃やしたと電話で告げられる。 そして落ち込んでいる所を通り魔に襲われ死亡した。 死の間際思い出したタクミの夢、それは「自分の書いた物語の主人公になる」ことだった。 その願いが叶ったのか目覚めたタクミは見覚えのあるファンタジー世界の中にいた。 しかし望んでいた主人公「クロノ・ナイトレイ」の姿ではなく、 主人公を追放し序盤で惨めに死ぬ冒険者パーティーの無能リーダー「アルヴァ・グレイブラッド」として。 自尊心が地の底まで落ちているタクミがチート主人公であるクロノに嫉妬する筈もなく、 寧ろ無能と見下されているクロノの実力を周囲に伝え先輩冒険者として支え始める。 結果、アルヴァを粗野で無能なリーダーだと見下していたパーティーメンバーや、 自警団、街の住民たちの視線が変わり始めて……? 更新は昼頃になります。

伯爵家の三男に転生しました。風属性と回復属性で成り上がります

竹桜
ファンタジー
 武田健人は、消防士として、風力発電所の事故に駆けつけ、救助活動をしている途中に、上から瓦礫が降ってきて、それに踏み潰されてしまった。次に、目が覚めると真っ白な空間にいた。そして、神と名乗る男が出てきて、ほとんど説明がないまま異世界転生をしてしまう。  転生してから、ステータスを見てみると、風属性と回復属性だけ適性が10もあった。この世界では、5が最大と言われていた。俺の異世界転生は、どうなってしまうんだ。  

処理中です...