96 / 201
相性
しおりを挟む「様子が変だな」
俺はリリアを見た瞬間に嫌な感じがした。
「リリアちゃんの魔力がおかしい」
ユウカも気づいたようだ。
リリアの身体から白銀の魔力が滲み出ているからだ。
見せつけるように圧倒的な魔力を。
『試験を開始します』
メディアルの剣聖適性の試験が始まる。
『精霊化』
リリアの瞳が蒼色から虹色に変わり、白銀のオーラルも瞳と同じ色に変わる。
『天空の光よ、私に力を貸して』
虹色のオーラルを纏う透明な剣がリリアの手に現れる。
剣聖適正の希望者達は一瞬でリリアを標的に定める。
そして一瞬で終わる。
「弱いですよ」
リリアが呟くとその場の希望者達は一人残らず倒れる。
『勝者リリア・フィールド』
リリアの圧倒的な勝利に剣聖適性の試験は幕を閉じる。
『休憩時間を挟んで剣聖試験を開始します』
「そんなの良いから早く始めてよ!」
リリアの声と共に剣聖がコロシアムに降り立つ。
『君すごいね』
剣聖が鋭い目でリリアを見る。
メディアルの魔物襲来だけじゃなく幾度ともメディアルを救った自負がある剣聖。
こんな小娘に負けないと。
『それでは予定よりも早くなりましたが剣聖試験を始めます。リリア・フィールド様はリューク・ディル様を倒すと剣聖になることができます』
「僕に勝てると本気で思ってるのかい?」
「貴方に勝てないぐらいじゃ私は絶対に追い付けない」
『君、何に焦ってるんだい?』
黒銀の魔力を纏ったリュークが動く。
鞘から剣を引き抜くとリリアとの距離を詰める。
リリアの圧倒的な魔力にたじろぐ事なくリュークは剣を振り抜く。
「僕はこれでも剣聖なんだよ」
圧倒的なはずのリリアがリュークに押されていた。
「なんでって顔だね」
リリアはリュークに心の中を見られたような感覚に陥る。
「僕と戦う人は皆んな同じ顔をするから」
上段から振られた剣をリリアは弾き返して距離を取る。
「私の方が強いはずなのに」
「そう君の方が強いよ、僕のオーラルの能力は下克上」
リリアは天敵のような能力に驚きを隠せない。
『下克上』は自分よりも魔力が多い者の差を埋める能力。
「僕はね、フィーリオン剣士学園の卒業生で君の先輩なんだよ」
そしてとリュークは呟く。
「入学したときに僕は学園最弱と言われた」
リュークは学園最弱で剣聖まで登り詰めた真の強者。
『君みたいな偽者とは違うんだよ!』
リュークはその力がリリアの物だとは思えなかった。偽りの力を手に入れているリリアに苛立ちを見せる。
「……さい」
リリアは弱者から剣聖になったリュークを見ていると少し羨ましく感じてしまった。
まさに憧れた英雄章の剣の勇者が目の前にいるように思えてしまったからだ。
『うるさい!』
リリアの魔力がさらに上がっていく。
だが下克上の能力でリュークの魔力も上がっていく。
リュークの瞳の色が変わる。
『精霊化』
茶色の瞳が紫に染まる。
「でも貴方は私と同等になっただけ!」
「そうだね『スイッチ』」
精霊化の能力を発動させるリューク。
持っていた剣が姿を変える。
剣が弓に。
魔力で作った矢がリリアに向かって放たれる。
その矢は絶大な魔力を纏う。
リリアも距離が離れると不利な事に気付き、矢を避けながら距離を詰める。
懐に飛び込んだリリアだったが。
『スイッチ』
弓がリュークの拳に集まる。
魔力が込められた拳がリリアの腹を抉る。
リリアも不意を突かれたが魔力を腹に集めて緩和させる。
「なんで私はこれだけの力があるのに!」
リリアの苛立ちは頂点に届く。
一瞬で勝つと思っていたリリアには予想外の事が起こりすぎていた。
『力の使い方が雑なんだよね』
脳内に響く声にリリアは耳を傾ける。
『なんで勝とうとしてるの? 勝とうとしてもソイツには勝てない相性が悪すぎる』
リリアはその声の意味が分からなかった。
『殺せ』
『はい』
リリアの瞳から生気が消える。
その瞬間にリュークの足に闇が絡み付く。
「動けない!」
リュークは縛られたように動けなくなっていた。
リリアは透明な剣をリュークの命を刈り取るように動かす。
リュークとリリアの間に一人の人物が乱入する。
リュークの首筋を捉えたはずのリリアの剣がピタリと止まる。
『俺の妹に変な事を吹き込んだ奴出てこいよ』
金色に染まるオーラを纏った黒剣がリリアの透明な剣を止めていた。
0
あなたにおすすめの小説
生贄にされた少年。故郷を離れてゆるりと暮らす。
水定ゆう
ファンタジー
村の仕来りで生贄にされた少年、天月・オボロナ。魔物が蠢く危険な森で死を覚悟した天月は、三人の異形の者たちに命を救われる。
異形の者たちの弟子となった天月は、数年後故郷を離れ、魔物による被害と魔法の溢れる町でバイトをしながら冒険者活動を続けていた。
そこで待ち受けるのは数々の陰謀や危険な魔物たち。
生贄として魔物に捧げられた少年は、冒険者活動を続けながらゆるりと日常を満喫する!
※とりあえず、一時完結いたしました。
今後は、短編や別タイトルで続けていくと思いますが、今回はここまで。
その際は、ぜひ読んでいただけると幸いです。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
S級冒険者の子どもが進む道
干支猫
ファンタジー
【12/26完結】
とある小さな村、元冒険者の両親の下に生まれた子、ヨハン。
父親譲りの剣の才能に母親譲りの魔法の才能は両親の想定の遥か上をいく。
そうして王都の冒険者学校に入学を決め、出会った仲間と様々な学生生活を送っていった。
その中で魔族の存在にエルフの歴史を知る。そして魔王の復活を聞いた。
魔王とはいったい?
※感想に盛大なネタバレがあるので閲覧の際はご注意ください。
転生したら最強種の竜人かよ~目立ちたくないので種族隠して学院へ通います~
ゆる弥
ファンタジー
強さをひた隠しにして学院の入学試験を受けるが、強すぎて隠し通せておらず、逆に目立ってしまう。
コイツは何かがおかしい。
本人は気が付かず隠しているが、周りは気付き始める。
目立ちたくないのに国の最高戦力に祭り上げられてしまう可哀想な男の話。
勇者パーティーにダンジョンで生贄にされました。これで上位神から押し付けられた、勇者の育成支援から解放される。
克全
ファンタジー
エドゥアルには大嫌いな役目、神与スキル『勇者の育成者』があった。力だけあって知能が低い下級神が、勇者にふさわしくない者に『勇者』スキルを与えてしまったせいで、上級神から与えられてしまったのだ。前世の知識と、それを利用して鍛えた絶大な魔力のあるエドゥアルだったが、神与スキル『勇者の育成者』には逆らえず、嫌々勇者を教育していた。だが、勇者ガブリエルは上級神の想像を絶する愚者だった。事もあろうに、エドゥアルを含む300人もの人間を生贄にして、ダンジョンの階層主を斃そうとした。流石にこのような下劣な行いをしては『勇者』スキルは消滅してしまう。対象となった勇者がいなくなれば『勇者の育成者』スキルも消滅する。自由を手に入れたエドゥアルは好き勝手に生きることにしたのだった。
序盤でざまぁされる人望ゼロの無能リーダーに転生したので隠れチート主人公を追放せず可愛がったら、なぜか俺の方が英雄扱いされるようになっていた
砂礫レキ
ファンタジー
35歳独身社会人の灰村タクミ。
彼は実家の母から学生時代夢中で書いていた小説をゴミとして燃やしたと電話で告げられる。
そして落ち込んでいる所を通り魔に襲われ死亡した。
死の間際思い出したタクミの夢、それは「自分の書いた物語の主人公になる」ことだった。
その願いが叶ったのか目覚めたタクミは見覚えのあるファンタジー世界の中にいた。
しかし望んでいた主人公「クロノ・ナイトレイ」の姿ではなく、
主人公を追放し序盤で惨めに死ぬ冒険者パーティーの無能リーダー「アルヴァ・グレイブラッド」として。
自尊心が地の底まで落ちているタクミがチート主人公であるクロノに嫉妬する筈もなく、
寧ろ無能と見下されているクロノの実力を周囲に伝え先輩冒険者として支え始める。
結果、アルヴァを粗野で無能なリーダーだと見下していたパーティーメンバーや、
自警団、街の住民たちの視線が変わり始めて……?
更新は昼頃になります。
伯爵家の三男に転生しました。風属性と回復属性で成り上がります
竹桜
ファンタジー
武田健人は、消防士として、風力発電所の事故に駆けつけ、救助活動をしている途中に、上から瓦礫が降ってきて、それに踏み潰されてしまった。次に、目が覚めると真っ白な空間にいた。そして、神と名乗る男が出てきて、ほとんど説明がないまま異世界転生をしてしまう。
転生してから、ステータスを見てみると、風属性と回復属性だけ適性が10もあった。この世界では、5が最大と言われていた。俺の異世界転生は、どうなってしまうんだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる