天才な妹と最強な元勇者

くらげさん

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疑問

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 昔の記憶はもう薄らとしかない。

 私はもうメルカトラス学園の中等部に通っている。

 もう十三歳! 立派なお姉さんだ。

 リリアママやユウカママは私の憧れでママ達を超えることが夢。

 勉強も教えてくれるし凄く強くて、魔物がフィーリオンに攻めてきた時なんか瞬殺だった。

 そして二人とも凄く綺麗なママ達だ……なんでパパと結婚してるのか不思議なくらい。

 みんなから何故か凄く慕われているパパはフランさんのお兄ちゃんでジークさんの師匠。

 でもご飯を食べて寝てばかりのパパがなんでこんなに慕われてるのか分からない。

 昔は私もパパと稽古なんかしていたらしいが遠い記憶で覚えていない。

 物心ついてパパが剣を持っている事なんてまずなかったからだ。

 ジークさんの師匠なのにジークさんはいつもユウカママやたまにリリアママが教えている。

 なんでパパを師匠と言ってるのかも疑問だ。

 ジークさんはフィーリオンの剣聖でずっとパパなんかよりも偉いのに。

 昔はパパもギルドでレジェンド級まで言ったとか自慢して来るけど首にかけているランクを表すタグは今だに中級のシンプルなタグだ。

 全く説得力がない。

 世界を魔王とかから何度も救ったなんて言うけど、魔力も無いのにどうやって絶対の魔力を誇る魔王と戦ったのか矛盾ばかりだ。

 魔力無しでも剣聖まで上り詰めたジークさんが言った方がまだ説得力がある。

 ジークさんでもまだまだママ達には敵わない。



 目の前にぐうたらとソファーの上で寝転んで眠っているパパの姿が映る。

 私は嘘つきなパパが嫌いだ。

 友達にパパは何をしてるの? って聞かれた時なんか本当に困る。

 ママ達の事ならすぐに答えられるのに。

 ユウカママは闇の勇者でみんなから尊敬されて敬われているし、リリアママだって悪の剣の勇者を倒した英雄で昔は剣聖なんかもやっていた。

 ママ達の事は調べればすぐに出てくるような有名な出来事ばっかりだ。

 本当にパパってこんな凄いママ達をどうやって惚れさせたんだろう。

 今だにママ達はパパにゾッコンだから尚更疑問だ。


 私はパパに聞いてみることにした。

「ねぇ、パパ?」

 私の声に反応してパパは目を開けてふぁっと変な声を上げていた。

「なんだ、ユリア」

「パパってなんでこんなにダメダメなのにママ達と結婚出来たの?」

「……なんでだろうなぁ」

 欠伸をしながら間の抜けたような返事が返ってきた。

「真剣に聞いてるのに!」

「ユリアはパパの事、嫌いか?」

「うん、嫌い! 友達のパパとか凄いんだよ! カッコイイし優しいし、お金持ちでこの国の為に必死で働いてるのにパパはいつも寝てて何もしてないから!」

「めちゃくちゃ直球だな」

 パパは少し寂しそうな顔をしたが、またすぐにいつものマヌケ顔に戻る。

「パパは働きたくない!」

 ドヤ顔で言い放つパパに心底飽きられる。
 
「こんなかっこ悪いパパは嫌だ!」

「ぐはっ!」

 パパはいつもこんな感じだ。

 真剣なパパなんて見た事ないし、いつもマヌケ顔。

「なぁユリア、どんなパパだったらカッコイイんだ? 頼むから教えてくれよ」

 私は顔の前に両手を合わせて頭を下げてくるパパに教えてあげる事にした。

「友達のパパみたいなパパ」

「ソイツの名前はなんだ? 参考にするから教えてくれ」

「えっと……」

 私が名前を言う瞬間にさっとユウカママが入ってきた。


『ユリアちゃん、教えたらダメだよ』


「チッ!」

 パパは小さく舌打ちをしてまたソファーに寝転がった。

「ユウカママ、なんで言ったらダメなの? パパがカッコよくなってくれたら私も嬉しいのに」

「いや、僕はその友達のパパの方が心配になったよ」

「なんで?」

「娘がカッコイイと言う人を知ったらクレス君は何をするかわかんないからね」

「パパじゃ友達のパパに何も出来ないよ! ここの王国に仕えてる魔法剣士だよ!」

 ガチャりと部屋の扉が開くと何時の間にかパパが扉の前に立っていた。

「ちょっと王国に急用ができた!」

「ダメだよクレス君、リリアちゃんに言いつけるからね」

 だけどユウカママはすぐさまパパに声をかける。

「……う、嘘だよ、ただ散歩をしようと思っただけで」

 パパはまたソファーに戻って寝転がった。


「さて、リリアちゃんがお仕事から帰ってくるからご飯の用意をしないとね、ユリアちゃんも手伝ってくれるかな?」

「うん!」

 私はキッチンに足を向ける。

 寝転がっているパパを見ると既に寝息を立てていた。

 なんでこんなパパを見捨てないのか今日リリアママにも聞いてみよ。

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