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第45話 フルーツケーキ
しおりを挟む人族が妖精の国に争いを仕掛けて一ヶ月が経った。俺は世界樹の上から復興する街並みを見ていた。
俺が創り出したクレーターは埋めるのは諦めて、クレーターに蓋を被せるらしい。
ここからじゃ変わっていないように見えるが、ここからじゃ見えない所から作業をやっている。
一ヶ月前の争い結果だが、妖精の国の亜人がソフィアを殺したと言うので人族が妖精の国を攻めた。そのソフィアが戦っている人族の前に現れたことで、スムーズに争いが終わった。
「はい、お兄様」
「あぁ」
世界樹の上のテラス席。俺はそこでノエルと一緒にティータイムだ。
ノエルの手作りのフルーツケーキを口に運び、ノエルがいれてくれたお茶を飲む。
飲み終わると、お茶をいれてくれる。
この場所はマナも風も心地良い。一ヶ月はあっという間に過ぎていったほどだ。
「そうだ、橋!」
「イルチアの街へ続く橋ですね。佐藤さんとお兄様が戦って、まだ直っていません」
「そうか、そうだったな。ノエルにちゃんと渡らせたかった」
お茶を飲む。
「フルーツケーキもお茶も美味しいよ」
「まだまだありますよ、妖精の国では色んなフルーツがあって料理も作りがいがあります」
そうだな、だってウェディングケーキみたいなフルーツケーキがノエルの横に鎮座されているからな。
これを一人で食べ切らないといけない。
ノエルから聞いたんだが、勇者が俺の屋敷で好き勝手にやってたみたいだ。
ノエルにも恥ずかしい服を着せたりと、沢山のメイドを雇ったりと、メイドに色んな事をさせたりと。
その沢山いたメイドは神器の銃で記憶を壊されて、勇者の玩具として日々を暮らしていたと。
ノエルは勇者にいやらしい目を向けられていたが、実害は無かったとも言っていた。でもノエルと勇者の結婚式が数日後に迫っていたと。
本当に好きな人には結婚式をやってからと決めていたのか。まぁ、さすが勇者に憧れるだけはあるという事か。
王道に憧れるのは分からなくもない。
俺も男の子だ。勇者がノエルに着せたミニスカートのメイド服が気になる。
「屋敷にいたメイドたちはどうだった?」
「はい。お兄様から神器が入っているポーチを借りて、勇者との記憶を破壊してから、杖で呪いと身体の傷を癒して、全員お家にちゃんと送り届けました」
「それは良かった」
「お兄様が望むなら、恥ずかしいメイド服でも着ちゃいますよ」
「コボッ! コハッ! はぁ、はぁ」
お茶を飲んだ最中に変な事を言うから変な所へお茶が入った。
「お兄様!」
ノエルが俺の背中を優しくさすってくれる。今のノエルは神器の盾を装備してはいないが、盾を所持してから心を読まれることが多くなった。
「盾は関係ありませんよ。まぁ精度は上がりましたけど」
ノエルが俺の心を読むのは前からだったと言えば前からだった。
神の頃からも俺を見ているからか、精度が上がったと喜んでいる。
盾を貸してもらっても俺は神の頃の記憶を思い出せなかった。やはり神器は神器を創った者が所持してから発動するユニークスキルのような物があるらしい。
それを言うと、レクシアの剣の全能の消滅が俺のユニークスキルなのか? だから神の頃の俺はテトナに剣を預けて、俺が持った時しか発動しないユニークスキルだと分からせないようにしたのか。
神の力を持ったテトナと俺の剣は相性が良い。どこまで神の頃の俺は考えていたんだ。
テトナという神を一人にして、神たちに殺されそうだった俺とノエルを救って、レクシアの剣のユニークスキルも守って。
すげぇよ、俺は。
「はい、お兄様は凄いです」
ノエルが俺の背中から手を離し、フルーツケーキを切りに行った。
そして俺の目の前に特大のフルーツケーキが運ばれる。
「今日の晩御飯もお兄様のために腕によりをかけて作ります」
「え、うん。楽しみにしてる」
「はい!」
ノエルは鼻歌交じりで、俺のティーカップにお茶をそそぐ。
なんで俺の心の声が読めるのに、料理の量を減らしてくれないんだろうか。
ノエルの料理は美味いが、美味いけどだ。量を減らせ、量を減らせ。
心の中で量を減らせと言ってみる。
「あ! お兄様ごめんなさい」
ふぅ、胸を撫で下ろす。
「やっとわかってくれたか」
「私の料理が……」
ノエルが持っているポットがカチャカチャと鳴る。そしてノエルを見てみると左手で口を抑えて目がうるうると一筋の涙が零れた。
「ば、晩御飯楽しみだなぁ!」
「……」
「もちろん俺の好きな物を作ってくれるんだろ! まぁ、ノエルが作ってくれたら好き嫌いはないけどな!」
量を減らせとか言って俺の方がごめんなさいだわ。ノエルは涙を拭く。
「はい、頑張りますね」
鼻が赤いノエルは涙目で微笑んだ。
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