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第51話 1位
しおりを挟む昨日はノエルと一緒にお風呂を楽しんでいた。
さて、今日は今日とて、何をやろうか。
今日はノエルと一緒だ。
神器の時間停止の剣を持った俺は、サクッと十年後に行ってムスリを助けようと思った。
時間旅行をするとノエルに言ったら、必要な物をポーチに詰めてすぐにノエルは支度をした。
妖精の国を一望できる世界樹の木の上のテラスで、未来に行くために神器の剣をノエルに渡す。
このテラスはティータイムとかによく使っている。
「お兄様、手を握ってください」
ほぅ、やっぱりノエルは行き方を知っているのか。
俺はノエルの左手を握る。
するとノエルが剣で目の前に大きい丸を作った。
丸を作った瞬間に丸の中の空間が半透明になり、段々と消えて行く。そして丸の中は景色が不安定なトンネルが出来ていた。
「お兄様、時空の輪には触れないでくださいね。今のお兄様が触れてしまうと一瞬で巻き込まれますよ」
巻き込まれるって、何に!? 時空に?
危ない、触るところだった。
俺は慎重に丸をくぐる。
トンネルをノエルと一緒に歩く。
「これ何処まで続いているんだ!」
「お兄様止まってください」
まだ二歩しか歩いてない。
「あと一歩で十年から四年後の未来に行けますがどうしますか?」
「十年後の未来でいいよ」
入って来た時の同じように剣で大きな丸を作り出した。
丸には次元のトンネルじゃない風景が見えた。さっきまで俺が居たテラスがあって、十年後はそんなに変わっていない。
慎重に丸い穴をくぐる。
トンネルから無事に出られた俺は、十年後の何処が変わっているかをキョロキョロと周囲を確認する。
「ノエル、何処か変わってるか?」
自分じゃ見つけれないので、ノエルを頼る。
すると、ノエルが街並みを指さして、「お兄様がシャリルさんを倒した所です」と、決定的な違いを言って見せたのだ。
そうか、十年前は穴が空いていたじゃないか。十年後には穴が空いていた所が塞がれて綺麗に整備されている。
で、景色を見ていたら、俺は肝心な事に気づいてしまった。
「あっ! ノエル、十年後の昨日だ! 間違えた」
「そう思いまして、今日が十年後の昨日ですよ」
おぉ、優秀な妹を持って幸せです。
「ノエルはテトナの所へ行って、ビックリさせて来い!」
俺はシシシと笑い、ノエルは「そうですね、行ってきます」とテトナの所へ行った。
俺はテラスからバッと走って世界樹から飛び降りる。
バシンと足で着地して、全身の骨が揺れる。
周囲の目がいきなり子供が落ちて来たと思うんだろうか? いや、そりゃそうだ。
手足を動かしても、問題なさそうだので、ブーンと走る。
街並みを抜けて、ベンチがある。そこには見覚えのある人物が。
マド・ラックーサ。俺が勇者やってた時のパーティーメンバーだ。
近付くまで分からなかった。子供になっているせいだろう、感知の範囲がだいぶ狭くなっている。
まぁ、目でも気づけたが、走りながら屋台を目で追ってたから全然気づかなかった。
クソっ、何で妖精の国にこんな危険生物が?
俺はポーチに手を入れて、剣を掴んでいつでも取り出せる様にしておく。そして危険生物にあったら、背後は見せずに後ずさりだ。
「おい、お前。なにを取り出そうとしている? しかも子供が出していい気配じゃないな。何者だ、お前」
マドは楽しそうに口角を上げて、俺を見下す。
俺が勇者になって1000年間で強さランキングがあるなら、コイツが1位だ。
俺が勇者だった時は毎回挨拶のように死合をさせられて困ってたんだ。
今の俺じゃどう考えても倒せない。
物はマドのスキルで直るんだが、死んだ人は治らない。だから俺は警戒を緩めない。
……そうだ、そうだ、俺は子供なんだ。勇者の姿でもないし、こんな街中で、しかも子供に死合をやるバカが何処にいるって言うんだ。
俺はポーチから手を離して、警戒を解く。そしてマドの言葉に返してやる。
「えぇ、僕わかん……」
俺の頬に何かが掠めた。手の甲で頬を撫でる。甲を見てみると血が付いていた。
俺の後ろでは時間差でガタガタガタと、ガシャーンと大きな音が鳴り響いていた。
後ろを確認出来ないが、家でも倒したか?
「私が聞きたいのは何者だってことだ。丁寧に答えろよ、次は頭が吹き飛ぶぞ」
こわっ、子供にも容赦しねぇのかよ。
「お前に名乗る名はねぇ」
俺のポーチから転移の弓を、弓を、弓を……。
ない!
俺にはまだ時間停止の剣がある。
ポーチから剣を、剣を、剣を……。
「ほぅ、殺されたいらしいな」
あれ? どっちもノエルに貸したままだった。
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