僕が結婚1ヶ月で離婚した理由

2nd kanta

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サトルさんサトル君

「へー、アンタまた気付かず良子さんとやったの?」

 呆れ顔のメグミさんは冷やし中華を啜っている。

 昼休み、いつものカフェが冷やし中華を始めたので皆んなで注文したのだ。

 パスタ専門店でも麺類は美味しかった。今度ラーメンもやって欲しいと思う。

「で、週二、三回混ぜらせろとね。
もし、結婚してもね。ふ~ん……」

割り箸を咥え斜め上を見る。

そして、急にニタリ顔のメグミさん。

嫌な予感しかしない……

「よし!私も乗った。それで行こう!」

「何よ!メグミ!遊園地に皆んなで行くんじゃ無いのよ」

「いいじゃん!いいじゃん!三和子も楽しんでいたでしょう?良子さんも加わり三人だよ!色んな事出来るじゃん!」

「えーー!」

結局は押し切られた三和子さんだった。

「まあ、しっかし、それに対応出来るサトル君が可笑しいんだけどね」

「そうなの?」

「気付いて無いか、三和子らしいよ」

「あのぅ、僕の意見ですが……駄目だ目も合わせてくれない……」

 人気のカフェなのだから混んでいる。
その中での赤裸々な会話をする二人、他の会社の子も沢山居るのに不安になる。




 辛い……辛いんだ……僕が寝不足と知り二人が代わりに仕事を片付けてくれる。

 だが、両手を二人に握られ僕は睡魔と闘いながら、画面の変わらない資料を見詰めるしか無いのだ。

 何もさせて貰えず睡魔と闘うのは、ヒノキの棒だけで、ダンジョンに突入しラスボスのドラゴンと対峙するようなモノなのだ。

 頭の可笑しいあの連中は初心者講習会と称して、やらせていたけど……

 僕の異変に気付いたメグミさんと三和子さんは少しでも僕に刺激を与えようとして、自身の太腿や内腿に僕の手を持って行こうとする。

「やめて下さい!仕事中です!」

 と声を小さく上げても聞き入れてもらえず、更なる奥地にいざなおうとする。

 流石に僕の意識も覚醒するが一時的なモノだった。

 断続的に意識が途絶える僕の頭の中はクラッシュ寸前の前世代のPCのようだ。

五時、業務終了のチャイムが鳴り響く。

 まるで、無人島への遭難一ヶ月、やっと救難ヘリの爆音が聞こえたような感激だった。

「ママ、僕はやったよ……」

神島はママとは絶対に呼ばない。

それ程過酷なモノだったのだ。


「早く帰って寝るよー!」

「嫌だぁ、サトルさんみんなの前で」

一人ふらふらと部屋を出るサトル。

「おい!大丈夫か神島の奴!」

「一人にしちゃ不味い!」

「ああ、トラックに撥ねられ異世界に転生してしまうぞ!」

慌てて後を追う山下と中田の二人。

彼らは神島に恩義を感じているのだ。




「ありがとうございます。中田さん、山下さん。神島さんはぐっすりと寝ています。メグミもね」

「わたしゃ、ついでかい」

 溜息を吐きながらブラックコーヒーに口を付けるメグミに、三和子はカッコよく見えた。

 私なんて、まだまだ足元にも及ばない。
そう感じていた。



「それじゃ、これ以上居ても騒がしくなるから帰るわ。サトル君の事はアンタに任せたからね。明日きちっと報告するように!
行くわよ!」

「あっはい!」

「了解ですメグミさん!」

「なっ!メグミさん?……お前いつの間に松坂さんを名前呼びに……」

 中田氏を睨みつける山下の目は悔しそうだった。

「メグミさん今日もこの僕が御自宅までお送りします」

「そう、お願いするわ」

何ですとーー!自宅を知っているのかー!

 山下さんの顔はハンカチを噛み締めキーィと言う人見たいだなっと三和子は思った。昔の漫画に良くあった気もした。

三人は部屋を出て階段を降りて行く。

 山下さんが納得がいかず、まだ中田さんに食って掛かる声が聞こえていた。

 テーブルの上を片付けコーヒーカップを洗いう。

「サトルさんと一緒じゃ無いと、食事も美味しく無いから、彼が起きてからでいいや」

 薄暗い寝室、蛍光灯の小さな橙色の光だけが当たりを照らす。

 私はサトルさんのベッドの脇に腰掛け彼の顔を見ていた。

「ああ、サトルさん、私の初恋の人、私の初めての人、私が大好きな人!……」

「はぁ、はぁ、思わずキッスをしてしまったわ」

 けど彼は未だに、深く眠りについている。

「サトルさん!しゅき!」

 気がつくと私はサトルさんのベッドに潜り込んでいた。

「こんな私にした。サトルさんが、いけないんですからね!」

彼は最後まで目覚める事はなかった。



がっ?左腕の感覚が無い、痺れている?

僕は右手で慌てて辺りを弄った。

「はっ!この大きな幸せの塊は……まさか
良子さん!」

 横を見ると僕の腕枕で幸せそうな三和子さんが寝ていた。

あぶねー!また貸しを増やすとこだった何で三和子さん裸なんだ?おっ!僕もだった。

「あ~、あっ!サトルさん目が覚めたの私、心配したんだから!こんなに元気になって、私嬉しい!」

 そっちの元気かい!とは突っ込めなかった。だが、何かが変だ。

 僕は三和子さんの眼をじっと見て言った。

「やったでしょう?」

目が泳ぎ回る三和子さん。

 えへっ!笑って誤魔化そうとする三和子さん可愛いと思った。

「だって、サトルさんのサトル君が元気良過ぎて可哀想になったの……それで……」

「えー!本人のあずかり知らぬところでそんな事が……」

 僕はショックを受けた!
長年連れ添った親友が僕の知らない内に僕の彼女を寝取られた気分だ!

「何てこったい!この僕が!」

「サトルさん多分それは違うと思うよ。
サトルさんのサトル君もサトルさんなのだから……」

「ですよねー!」

 その後二人で軽い食事をして再び布団に入りました。
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