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第七話 お見合い
「カロリーナ姫、私は獣王国で王太子妃として努力する貴女の姿を見て恋をしたのです。異母弟に裏切られても、国のため民のために勤しむ貴女を愛しいと感じたのです。私は自分のこの感情を番の熱情よりも尊いものだと思っています。貴女はどうお思いになられますか?」
「私は……」
私はホアン様を見ました。
光り輝く白銀の髪に白銀の瞳、強い魔力を制御する角を持つ美しい龍人族の男性です。
多くの人々に慕われ、獣王国の神殿の最高位である聖王に選ばれていた方です。結婚記念日の夜会で手を差し出してくださったときは、救われたような気持ちになりました。
「嬉しいです。求婚してくださってありがとうございます。でも……怖いのです。ホアン様にもいつか番が現れるのではないかと考えてしまうのです」
「それはそうでしょうね」
ホアン様は頷きました。
そして、懐から小瓶を取り出しました。
蓋を取って、私達ふたりの間にあるテーブルの上へ置きます。
「……これは『番殺し』です」
「はい?」
「と言っても信じられませんよね」
話しながらホアン様は、今度は懐から小刀を取り出しました。
外した鞘をテーブルの上に置いて、小刀の刃をご自身の指先に当てます。
私が戸惑っている間に、ホアン様はその刃で指先を切り裂きました。
「ホアン様っ?」
「ご存じですか? 『番殺し』は飲んだものの魔力の波長を捻じ曲げる薬です。ですので、魔力の宿る血液を混ぜると……」
ホアン様が指から滴る血液を小瓶の中に注ぐと、真っ赤な液体は淡い虹色の煌めきを放った後で色を失いました。
「ほら、こうなるのです。この小瓶の中身が『番殺し』だと信じていただけまし……」
「ホアン様、御身を粗末にしてはいけませんっ! 還俗なさったからといって、貴方を慕っていた人々の想いが消えるわけではないでしょう? 自分を選んで大切にしてくれた人のためにも、貴方ご自身が自分を大事にしなくてはいけませんわ。……だれか、だれか傷薬と包帯を、早く!」
私は座っていた椅子を倒して立ち上がり、ホアン様に駆け寄りながら侍女達に指示をしました。
「ああ、傷口を洗うための水も……」
「ごめんなさい。カロリーナ姫、大丈夫です」
「え?」
「龍人族は獣人族の中でも特に魔力が強く、丈夫なのです」
ホアン様に差し出された指を見れば、もう血は止まっていました。私が自分のハンカチでこびり付いた血液を拭うと、傷痕はすでに塞がって一本の線のようになっています。
「なので、この程度の傷ならすぐに治ります」
「……心配させないでください」
「心配してくださったのですね、ありがとうございます」
自分の席に戻りながら、私は侍女達への指示を取り消しました。
「私は……」
私はホアン様を見ました。
光り輝く白銀の髪に白銀の瞳、強い魔力を制御する角を持つ美しい龍人族の男性です。
多くの人々に慕われ、獣王国の神殿の最高位である聖王に選ばれていた方です。結婚記念日の夜会で手を差し出してくださったときは、救われたような気持ちになりました。
「嬉しいです。求婚してくださってありがとうございます。でも……怖いのです。ホアン様にもいつか番が現れるのではないかと考えてしまうのです」
「それはそうでしょうね」
ホアン様は頷きました。
そして、懐から小瓶を取り出しました。
蓋を取って、私達ふたりの間にあるテーブルの上へ置きます。
「……これは『番殺し』です」
「はい?」
「と言っても信じられませんよね」
話しながらホアン様は、今度は懐から小刀を取り出しました。
外した鞘をテーブルの上に置いて、小刀の刃をご自身の指先に当てます。
私が戸惑っている間に、ホアン様はその刃で指先を切り裂きました。
「ホアン様っ?」
「ご存じですか? 『番殺し』は飲んだものの魔力の波長を捻じ曲げる薬です。ですので、魔力の宿る血液を混ぜると……」
ホアン様が指から滴る血液を小瓶の中に注ぐと、真っ赤な液体は淡い虹色の煌めきを放った後で色を失いました。
「ほら、こうなるのです。この小瓶の中身が『番殺し』だと信じていただけまし……」
「ホアン様、御身を粗末にしてはいけませんっ! 還俗なさったからといって、貴方を慕っていた人々の想いが消えるわけではないでしょう? 自分を選んで大切にしてくれた人のためにも、貴方ご自身が自分を大事にしなくてはいけませんわ。……だれか、だれか傷薬と包帯を、早く!」
私は座っていた椅子を倒して立ち上がり、ホアン様に駆け寄りながら侍女達に指示をしました。
「ああ、傷口を洗うための水も……」
「ごめんなさい。カロリーナ姫、大丈夫です」
「え?」
「龍人族は獣人族の中でも特に魔力が強く、丈夫なのです」
ホアン様に差し出された指を見れば、もう血は止まっていました。私が自分のハンカチでこびり付いた血液を拭うと、傷痕はすでに塞がって一本の線のようになっています。
「なので、この程度の傷ならすぐに治ります」
「……心配させないでください」
「心配してくださったのですね、ありがとうございます」
自分の席に戻りながら、私は侍女達への指示を取り消しました。
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